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日本は戦略的枢要の地位にある
スイスやスウェーデンは中立であっても何処からも侵入されないではないかという反論もありますが、不幸にして、日本はスイスやスウェーデンと異なって、戦略的に重要地点を 占めております。そしてその重工業方面の発達と国民の工業生産能力とは、これを自分の陣営につけて自国の兵器廠としたら非常に自国の軍事力の増大ともなります。 そういう点で日本は垂涎おく能わざる「美女」とも言う訳でありますから、戦略上たいして価値のないところの「スイスやスウェーデンが中立であってもソ連圈から侵略を受けないではないか」と言う反論は成立たぬと思うのであります。
そのような点の専門的に詳しいことは次の先生が話して下さると思うのでありますから私はここに述べないことに致しますが、平和をモットーとしなければならぬ宗教家が何故日米安保条約に賛成するかと言いますと、現在の日本人の最大公約数的精神は、平和精神ではなく、闘争精神でありますから、仏教的三界唯心の原理によりまして、その闘争精神は必ず、同波長によって戦争を引き寄せる可能性がある。だから、そのように「心」によって戦争を起こさせないようにすることができない場合には、第二善として「力のバランス」によって、日本を侵略不可能ならしめなければなりませぬ。
軍備も安保も不要だと云う論は理想論であって、現実には調和しないのであります。人時処(じんじしょ)の三相応(そうおう)がなければ、どんな「善」も善にならないと申しております。
軍備不要も安保不要も、現代と云う「時」に於いて、米ソ間対立の中間にある日本の戦略的重要地点であると云う「処」に於いて、まだ弱国に対する侵略を止めそうにないソ連や中共と云う隣国を控えている現在に於いては、どうしても日本はアメリカと手をつないで自国を衛るより仕方ないと私は考えるのであります。
谷口雅春著「私の日本憲法論」 |
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2013年04月19日
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