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現行憲法は良俗を犯す病根
現行憲法は武藤貞一氏の言われるように「いまに、殺人も放火も人間の権利だ、これを罰するのは人権憲法に背くという気違いが出るかも知れない」ということが杞憂でないほどに良民は憲法を盾にとってその良俗を犯されているのである。
最近、その判決をきいて驚いたのは、入社のときに「結婚したら退社いたします」という誓約をして或る会社へ入社した婦人が結婚したためにその会社を退社させられたのである。するとその婦人が解雇無効の訴訟を起こしたのである。裁判所は、憲法第二十七条には「すべて国民は、勤労の権利を有し」とあるし、憲法第十四条には「すべて国民は、法の下に平等であって、…性別、社会的身分…により差別されない」とあるから、女性であり、妻という身分になったからとて、男性と特別の取り扱いはできないから、そもそもそのような契約を入社時に結んだことが違憲であるから、その契約は無効であるから、会社は解雇していないとみとめて、解雇した時から今日にいたるまでの給料何百万円かを原告に支払えという判決であった。そういう契約が違憲であるかどうかは知らぬが、雇われた女性もみずから承知して自由意志で契約したのであるから、一方的にその契約が違憲であるとて責任を会社だけに負わせて「給料を支払え」というは判決はどういうものだろうか。
これでわかる通り、この憲法は人権を濫用して「約束は守らないでもよい」という実例を示したものである。しかし解雇のときから今日まで彼女は出勤していないのであるから、国民が「法の下に平等である」という理由で「出勤しない人」も「出勤した人」と同様に「平等に給料を支払え」という判決が下るならば、人間はウソの契約をするほど得になる、憲法はそのウソツキを支持するということになるのである。 もう1つそれに似た判決が下ったのを新聞で見た。それは或る社員が大学生時代に共産党員だったという経歴を入社時の履歴書に書かなかったのである。入社後、過去に共産党員であったということが明らかになったので、会社はイツワリの履歴書で入社したというので、その社員を解雇したのであった。するとその社員は解雇無効の訴訟を起こした。裁判所は「憲法第十四条に、すべての国民は法の下に平等であるとし、第十九条で思想、信条の自由が保障されているし、第三十八条には、自己に不利益な供述は強要されないとあるので、共産主義を信じていようと、それを履歴書に書いて不利な場合には黙秘する権利が許されているので、自己に不利益なことを書かなかったからとて解雇は無効であるから、会社は、解雇してから今日までの給料を出勤していないでも支払え」という判決を出したのである。この判決は会社の財産権を侵すことにならないだろうか。これからこの社員は出勤しないでも会社はずっと給料を支払わねばならないだろうか。
つづく
谷口雅春著「私の日本憲法論」
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2013年04月25日
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