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つづき 思想戦争と心理戦争
 
 
近い実例では、数年前の参議院議員の選挙であった。(これは、一般に選挙戦といわれて「戦」という字がつかわれていることに注目しなければならない。これは心理戦争であり、言葉の戦争であった)自民党はこの選挙戦においてハッキリと敗北した。何故敗北したかというと、それは参議院選挙における各党の政策として、当時の新聞に概要的に公表せられたる「社会党の政策」と「自民党の政策」ともならべてみれば、ただそれだけでも社会党が勝利を収めた理由がわかるのである。社会党の主張として当時の「朝日新聞」は次の如く報道した。

 
社会党の主張ー憲法改悪のねらいは米国のための傭兵際軍備を公然化し、天皇制、家族制度を復活し、戦時の暗黒政治に逆戻りさせることにあるから、社会党は参議院の三分の一を占め、逆コースをくいとめる。


実際に憲法改定というものが「改悪」であり、その改悪の目的が再軍備を公然化することであり、その再軍備は、アメリカの傭兵をつくることであり、アメリカの前哨戦に立って日本人が血を流さねばならぬことであり、天皇制や家族制度が、本当に戦時の暗黒政治の原因であり、それを戦時に復帰さすことが、憲法の改定であるならばまことにも自民党が計画しているこれらの憲法改定というものは誰だって賛成する余地のない改悪であり、これらの改悪を強行しようとする政府や政党があるならば、そんな政府は早く退陣してもらわなければならないし、そんな政党の議員候補者に投票することは真平御免だ、ということになるのは当然だといわなければならない。
 
 
しかもそれが本当の如く見える文章で権威ある「朝日」に公表されていたのであるが、それに対抗する言論を自民党が行ったかというと何にもやらないで「斬捨御免」がまかり通ったのである。


 
谷口雅春著「私の日本憲法論」
 
 

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