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ブログ10年記念焼き直し(7)
財布を落とした。 帰れない。
平成20年10月4日(土)のブログの焼き直しです。
これは昭和37(1962)年ころのことです。
あっ。ない。新宿駅で帰りの切符を買おうとしたら、ん?財布がない。ない。ない。
顔面蒼白、頭真っ白。へたり込みそう。どうしょう、どうしょう。もう暗くなっている。
帰れない。帰れない。
東京で知ってる人は居ない。いや、居る。ただ学生だ。学生は電話がない。
交番へ行こうか、お金を借りに。でも、こんな輩が多くて、また借りても返さない恩知らずが多いため、貸さなくなったと聞く。
少し落ち着いてきた。さて、落とした可能性の一番高い場所に戻ろう。
新宿・末広亭で落語を聞いての帰りだった。末広亭に戻って木戸口で事情を話したら中に入れてくれた。どうか見つかりますように。落語家の話と話の間に腰かけていたと思われる辺りをお客さんに謝りながら暗い足元を一生懸命捜した。だめだ、ない、ない。
万事休す。泣きたくなって途方に暮れていると声を掛けてくれた人があった。顔を上げてみたら煎餅売りのおじさんだった。地獄で仏だった。何回か煎餅を買ったことがあったので、顔見知りになっていた。事情を話すと「いくらあれば帰れるの?」と聞いてくれた。「130円あれば」と答えると「じゃあ」と言って200円貸してくれた。
なんとありがたいことか。電車が津田沼まで100円、それからバスが30円だった。
あ〜、帰れる、帰れる。
お名前と住所をお伺いして、後日礼状とともにお返しした。
私としては寄席の中で煎餅を買うのはちょっとした贅沢だった。でも、それが幸いしたのだった。
寄席の入場料は300円くらいだった。
今日もおいでいただき、
ありがとうございます。
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