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第60作「ラストチャレンジ」の撮影が無事見終了しました。今回の作品は美男美女の役者さんのおかげで、最高に華やかな作品になりました!! 協力くださいました皆さん、ありがとうございました。作品の出来上がりにご期待ください。
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こんにちは、ゲストさん
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第60作「ラストチャレンジ」の撮影が無事見終了しました。今回の作品は美男美女の役者さんのおかげで、最高に華やかな作品になりました!! 協力くださいました皆さん、ありがとうございました。作品の出来上がりにご期待ください。
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プロローグ
●病室
ベッドに横たわる老人。
老人は息も絶え絶えに今にも死にそうな様子。
そこへナースがやってくる。
ナース「河田翔太さん、おはようございます」
翔太「……」
ナース「今日のお加減はいかがですか?」
ナースは翔太の腕を取って、血圧を測る。
翔太「いよいよ今日かな」
ナース「何がですか?」
翔太「お迎えが来るようだ」
ナース「……」
ナースは無言で血圧の数値をカルテに書く。
翔太「すまんが俺が死んだら、身の回りのものはすべて処分してくれ」
ナース「どなたかお身内の方はいらっしゃらないんですか?」
翔太「みんな死んでしまった。もう長い間、天涯孤独の身だよ」
ナース「そうですか……」
翔太「あんた、結婚は?」
ナース「私ですか? いえ、独身です」
翔太「良い人がいたら、必ず結婚しなよ」
ナース「えっ?」
翔太「俺も、昔、好きな女性がいたが結婚しなかった。そのため子どもおらず、こうやって死ぬときも誰にも看取ってもらえない。こんな寂しい死に方をしないためにも、早く結婚しなよ」
ナース「どうして好きな人と結婚しなかったんですか?」
翔太「こうやって死を目前にして、俺の人生は後悔ばかりだ。あのときこうしていれば、あの場面でこう言っていればと、反省することばかり……」
ナース「好きな人と結婚しなかったことを、後悔されているんですね」
翔太「俺がまだ20代だったころ、大切な女性二人を事故で同時に亡くしたんだ」
ナース「事故で?」
翔太「ああ、彼女たちは海水浴に行って海に流されて死んだ」
ナース「その方が河田さんの好きな女性だったんですね」
翔太「俺があの時、沖に遊びに行くのを止めていれば二人は死ぬことはなかった。今思い出してみても、悔やんでも悔やみきれない」
ナース「でもそれは事故だったんですよね。河田さんのせいじゃないですよ」
翔太「いや、最後に会ったときに俺が彼女に告白をしていれば、死ぬことはなかったはずだ。俺の人生も全く違ったものになったかもしれない」
ナース「その方を深く愛されていたんですね」
翔太「でも告白できなかった。俺はいつも挑戦することなく、人生の傍観者だった……。人生の最後を迎えて後悔するなんてバカだな。うっ……」
翔太に痛みが襲い、苦しみだす。
ナース「河田さん、痛いですか?」
ナースは翔太の身体をさする。
翔太は苦しむ。
ナースは注射器をとりだしてくる。
ナース「痛み止めを打ちますね」
ナースは翔太の腕に注射を打つ。
翔太の顔のアップ。翔太の表情は和らぎ、夢の中へ。
○海全景
夏のビーチ
波が砂浜に打ち寄せる
○海辺にある白いカフェ全景
ビーチにある白いカフェ
○白いカフェ内
翔太は気が付くと、白いカフェにいて、エプロン姿で盆を持って立っている。
翔太「ここは……」
翔太は手に持っていた盆を見る。
マスター「しかし今日は暇だな。天気も良くて絶好の海水浴日和なのに……。午後から嵐になるという予報だからかな」
翔太「マスター!」
翔太は驚いて大きな声を出す。
マスター「なんだ? びっくりするだろ」
翔太「これはどうなっているんですか? ここは天国ですか?」
マスター「何を寝ボケているんだ。さては居眠りしていただろ」
翔太「居眠り?」
マスター「やることないから仕方がないが……」
翔太「はあ……」
マスター「しかし翔太、俺の店を手伝ってくれるのはうれしいが、早くちゃんと就職しろよ。もう大学を卒業して3年だろ。フリーターなんかしていたら人生うまくいかないぞ」
翔太「……そうですよね。マスターの言うことを聞いていれば、こんな人生にならなかったです」
翔太は思い出したように言う。
マスター「そうだろ。お前が卒業する年の夏だ。バイトに来ていた時、俺は何度もどんな会社でもいいから就職しろって言っただろう。今からでも遅くないから、ちゃんと就職活動しろよ」
ドア鈴「チリン、チリン」
小川ほのかと新田あずさがカフェに入ってくる。
マスター「いらっしゃいませ」
あずさ「翔太! 遊びに来たよ〜」
ほのか「河田君、こんにちは」
翔太「小川さん! あずさ!」
翔太は二人の顔を見て驚く。
あずさ「何をそんなに驚いているの。今日から遊びに行くって言っていたでしょう」
マスター「なんだ、翔太のガールフレンドか」
あずさ「こんにちは。翔太がお世話になっています」
マスター「こんにちは。君は翔太の彼女か?」
あずさ「違いますよ。私は翔太の幼馴染で新田あずさと言います」
ほのか「私は河田君と大学のゼミが一緒だった小川ほのかです」
あずさ「私たち大学時代の仲間なんです」
マスター「ああ、そうなの。まあ、ゆっくりしていってください」
マスターはほのかとあずさをテーブル席に促す。
ほのか「ありがとうございます」
ほのかは席に着く。
翔太はほのかをまじまじと見ている。
あずさ「何をじろじろと見ているのよ。いやらしい目つきはやめて!」
あずさは翔太の肩をたたく。
マスター「いやいや、二人は美人さんだね」
あずさ「マスターは、見る目ありますね」
あずさはニヤニヤして言う。
マスター「翔太、こんな素敵な女性がいるのに、なんで彼女にしないんだ」
翔太「えっ、いや…、それは…」
マスター「ほのかさんとあずささんでしたっけ? どちらかが翔太の彼女となってこいつの面倒を見てくれないか。俺はこいつのことが心配でな」
翔太「マスター、何を言っているんですか」
翔太は恥ずかしそうに言う。
マスター「余計なお世話か。ははは。それでご注文は何にします?」
ほのか「何がおすすめですか?」
マスター「当店自慢のミックスジュースはいかがですか?」
ほのか「じゃあ、それをお願いします」
あずさ「わたしも!」
マスター「ミックスジュース2つね。翔太、お二人のお相手を頼むぞ」
マスターは奥へ引っ込んでいく。
あずさは椅子に座る。
ほのか「お仕事大丈夫だったら、河田君も座って」
翔太はほのかの顔を見ながら、椅子にゆっくり座る。
翔太の心の声「これは一体どうなっているんだ…。死ぬ間際に人生が走馬灯のように現れるというが、俺は今、過去を追体験をしているのか? それともタイムスリップ?」
ほのかは翔太の視線に気づき、にっこり微笑みかける。
翔太の心の声「ああきれいだな……、憧れの小川ほのかが俺の目の前にいる」
ほのか「河田君、まだ就職先決まらないの?」
翔太「えっ、ああ。小川さんは商社に就職したんだったよな」
ほのか「ええ」
あずさ「ほのかは優秀だから、すでに海外にもよく出張に行っているのよ」
ほのか「まだ入社3年目だから、使いぱっしりだけどね」
あずさ「でも、すごいよね。女性で商社マンなんて、かっこいい!」
ほのか「そんなことないよ。あずさだって今度、自分の雑貨店をオープンさせるんでしょう。夢を叶えるなんて素敵よ」
あずさ「私は親が経営する雑貨店を手伝っているだけだから、まだまだ親のすねをかじっているだけ」
翔太はあずさの顔に目を向ける。
翔太の心の声「あずさもこんなにかわいかったんだ。子どものころから兄妹のように育ったから気づかなかったけれど、あずさも実はいい女だったんだな。そういえばあずさは俺のことをずっと想っていてくれたっけ。俺は知らないふりをしていたけれど、あずさが俺のことを好きなことはわかっていた」
あずさ「ちょっと翔太、聞いている?」
翔太「えっ?」
あずさ「だから、ここのバイトは何時で終わるの?」
翔太「ええと…、何時だっけ?」
あずさ「もう! バイトを早く切り上げて、案内してくれるって言ったじゃない!」
翔太「そうだっけ? なんせずいぶん前の話だからな…」
あずさ「何言っているの、昨日メールしたでしょう」
マスター「翔太、今日はお昼まででいいよ」
マスターがミックスジュースを3つ持ってきて、テーブルに置く。
翔太「でも……」
マスター「今日は暇だし、昼からカミさんも出てくるし、大丈夫だ。それよりほのかさんとあずささんをご案内しなさい」
翔太「はあ……」
ほのか「それじゃあ、河田君のバイトが終わるまで、私たちビーチで遊んでいるから、終わったら来てね」
翔太「ビーチ?」
あずさ「ここの海は本当にきれいだよね。ほのか、シュノーケリングしようよ」
ほのか「マスター、シュノーケリングの良いスポットありますか?」
マスター「そうだな、ビーチの右側に岩場があるんだけれど、そこではいろんな魚が観れるよ。運がよかったら、カクレクマノミも見られるかも」
あずさ「へえー」
翔太の心の声「そうだ! 今日は二人が海で亡くなったあの日だ! 俺のバイトが終わるまで、彼女たちは海でシュノーケリングしていて、沖に流されたんだ。今だったら彼女たちを救える! でも、これは単なる俺の人生の回想だったら、過去を変えることはできないのかな」
ほのか「私、クマノミ大好き! ねえ、早く行ってみようよ」
あずさ「そうね。これ飲んだら行こうか」
マスター「じゃあ、楽しんできてくださいね」
マスターは立ち去ろうとする。
あずさは立ち上がり、小声で言う。
あずさ「マスター、お手洗いは?」
マスター「こちらです」
マスターとあずさは奥に消える。
ほのかと翔太はテーブルに二人だけ残る。
ほのかはミックスジュースのストローを加えて飲む。
翔太はほのかを眺めながらミックスジュースのストローを加える。
翔太の心の声「そうだ! このチャンスだ。小川と二人っきりになったこのチャンスに、俺は告白しようと思ったんだ。そう今だ、このタイミングなんだ」
ほのか「どうしたの? なんかいつもと違っておとなしいね」
ほのかは翔太がだまって見つめているので、にっこりと笑って問う。
翔太「お…、お…、小川さん」
ほのか「はい」
翔太「今つきあっている男はいるのか?」
ほのか「えっ? 突然どうしたの?」
翔太「いや、別に…いいんだけど…」
ほのか「いないわよ」
翔太の心の声「やった! 小川は現在フリーなんだ! でも待てよ…、小川はバリバリのキャリアウーマン、一方俺はただのフリーター。小川につきあってくれなんて言う資格が俺にあるんだろうか…」
ほのか「どうしてそんなこと聞くの?」
翔太「いや、商社だとエリートで良い家柄の男がいっぱいいるんだろうなあと…」
翔太の心の声(俺、何を言っているんだろう…)
ほのか「そうね、同期に、頭もよくて、かっこよくて、優しくてという3拍子揃った男の子がいて女子に大人気な人がいるわよ」
翔太「へえ〜フリーターの俺とは大違いだよな…」
翔太はぼそっと言う。
ほのかはちょっと困った顔をする。
ほのか「そんなことないよ」
翔太の心の声(俺はバカだ! 昔も同じことを言ってしまった気がする…)
あずさが帰ってくる。
あずさ「ただいま! 何を話していたの?」
ほのか「あのー、わたしもちょっと行ってくる」
ほのかは立って奥に立ち去る。
翔太はほのかの後姿を見送る。
翔太の心の声(あー、俺は何をしているんだ。このチャンスを逃すなんて…)
あずさ「ねえ、翔太。まだ就職決まっていないんでしょう?」
翔太「ああ、そうだよ」
翔太は機嫌悪そうに言う。
あずさ「今度、私が企画した雑貨店を出店するんだ」
翔太「よかったな。自分の店を持つのがお前の夢だったもんな」
あずさ「それで相談なんだけど、私の雑貨店を一緒に手伝ってくれない?」
翔太「俺が?」
あずさ「お父さんにいったら、翔太だったら安心して任せられるからって賛成してくれたんだ」
翔太「おじさんが?」
あずさ「ええ」
翔太はあずさの顔を見る。
翔太の心の声「そうだ! このとき俺は、あずさと結婚するのもまんざらじゃないなと思ったんだ。こうやってみると、あずさもかわいいし、なんといっても子供のころから妹みたいな存在で、気楽だから……。このチャンスにのっかれば、俺の人生も安定した幸せを手に入れることができたのにと、あとで何度も後悔した。この際、OKしちゃおうかな〜」
翔太「そうだな〜」
あずさ「うん」
あずさがミックスジュースをとろうとして、手を滑らしてコップをこかす。
あずさ「うわ、ごめん」
あずさはあわてて、コップをおこし、こぼれたジュースを紙ナプキンでふく。
ほのかが戻ってくる。
ほのか「どうしたの」
あずさ「ドジちゃって、こぼしちゃった」
ほのか「大丈夫?」
あずさ「うん」
翔太の心の声「あ〜、あずさにも言いそびれてしまった…。俺って決断力がないなあ」
ほのか「じゃあ、シュノーケリングに行こうか」
あずさ「よし、行こう!」
ほのかとあずさは残ったジュースを飲み干す。
二人を眺める翔太。
翔太の心の声「だめだ! このままだと、二人は海で死んでしまう。なんとしても止めなければ…」
ほのか「準備は良い?」
あずさ「いいよ」
ほのかとあずさは荷物をもって立ち上がる。
翔太「あの、もうすぐ天気が悪くなるようだから、ホテルのプールで遊んだらどうかな?」
あずさ「何を言っているの。今は天気が良いから、今のうちにたっぷり楽しまなくちゃ」
ほのか「クマノミ見られるか楽しみね」
翔太「いやいや、今日は水が冷たいからやめた方が良いよ」
ほのか「さっきちょっと浜辺にいたけれど、暑かったわよ」
翔太「もうちょっとここにいてくれたらバイトも終わるので、車で案内するよ」
あずさ「バイト終わるまで、まだ1時間以上あるでしょう」
翔太「う〜んと、二人が行ってしまうと寂しいな」
あずさ「何を子どもみたいなことを」
翔太「う〜ん」
翔太は言葉に詰まる。
ほのか「へんな河田君ね」
あずさ「ほっといて、いこいこ」
ほのかとあずさは出ていこうとする。
翔太「あっ、ちょっと待って!」
翔太は二人を追いかけようとして、転倒する。
翔太は椅子のカドに頭をぶつける。
翔太は気が遠くなる。
○病室
翔太が気づくと、年老いてベッドに横たわっている。
翔太は息苦しく、息をする。
ナース「やっぱり同じでしたね」
翔太は声をする方を見るとナースが立っている。
翔太「どういうことだ?」
ナース「チャンスをあげたのに、あなたは何も変えられなかった」
翔太「これは夢か」
ナース「夢じゃなくて、タイムスリップ」
翔太「タイムスリップ?」
ナース「そう。あなたが死ぬにあたって人生を後悔しているから、もう一度やり直すチャンスをあげたのに」
翔太「それじゃあ、今見た光景は?」
ナース「そう。あなたが一番やり直したいと思った人生の分岐点にタイムスリップさせてあげたのよ」
翔太「そうか! そうだったんだ」
ナース「でも、あなたはチャンスを活かせなかった」
翔太「君が何ものかは知らないが、もう一度俺にチャンスをくれ! もう一度チャンスがあれば俺はきっと… うっ……」
翔太は痛みに苦しみだす。
ナース「河田さん、痛いですか?」
ナースは翔太の身体をさする。
翔太は苦しむ。
ナースは注射器をとりだしてくる。
ナース「痛み止めを打ちますね。これが最後のチャンスですよ」
ナースは翔太の腕に注射を打つ。
翔太の顔のアップ。翔太の表情は和らぎ、夢の中へ。
○海全景
夏のビーチ
波が砂浜に打ち寄せる
○海辺にある白いカフェ全景
ビーチにある白いカフェ
○白いカフェ内
翔太は気が付くと、白いカフェにいて、エプロン姿で盆を持って立っている。
翔太「ここは……」
翔太は手に持っていた盆を見る。
マスター「しかし今日は暇だな。天気も良くて絶好の海水浴日和なのに……。午後から嵐になるという予報だからかな」
翔太「マスター!」
翔太は驚いて大きな声を出す。
マスター「なんだ? びっくりするだろ」
翔太「もう一度、ここに戻ってこられた! 今度こそ人生をやり直して見せる!」
マスター「何を寝ボケているんだ。さては居眠りしていただろ」
ドア鈴「チリン、チリン」
小川ほのかと新田あずさがカフェに入ってくる。
マスター「いらっしゃいませ」
あずさ「翔太! 遊びに来たよ〜」
ほのか「河田君、こんにちは」
翔太「小川さん、あずさ、待っていたぞ」
翔太は二人の顔を見て意気込んで言う。
あずさ「ええ、ありがとう」
あずさは翔太の意気込みにちょっとたじろぐ。
マスター「なんだ、翔太のガールフレンドか」
あずさ「こんにちは。翔太がお世話になっています」
マスター「こんにちは。君は翔太の彼女か?」
あずさ「違いますよ。私は翔太の幼馴染で新田あずさと言います」
ほのか「私は河田君と大学のゼミが一緒だった小川ほのかです」
あずさ「私たち大学時代の仲間なんです」
マスター「ああ、そうなの。まあ、ゆっくりしていってください」
マスターはほのかとあずさをテーブル席に促す。
ほのか「ありがとうございます」
ほのかは席に着く。
翔太はほのかをまじまじと見て言う。
翔太「こんどこそ言うぞ!」
あずさ「何をじろじろと見ているのよ。いやらしい目つきはやめて!」
あずさは翔太の肩をたたく。
マスターがミックスジュースを3つ持ってきて、テーブルに置く。
ほのか「マスター、シュノーケリングの良いスポットありますか?」
マスター「そうだな、ビーチの右側に岩場があるんだけれど、そこではいろんな魚が観れるよ。運がよかったら、カクレクマノミも見られるかも」
あずさ「へえー」
翔太の心の声(このあと、小川と2人っきりになった時がラストチャンスだぞ!)
ほのか「私、クマノミ大好き! ねえ、早く行ってみようよ」
あずさ「そうね。これ飲んだら行こうか」
マスター「じゃあ、楽しんできてくださいね」
マスターは立ち去ろうとする。
あずさは立ち上がり、小声で言う。
あずさ「マスター、お手洗いは?」
マスター「こちらです」
マスターとあずさは奥に消える。
ほのかと翔太はテーブルに二人だけ残る。
ほのかはミックスジュースのストローを加えて飲む。
翔太はほのかを眺めながらミックスジュースのストローを加える。
翔太の心の声(よし、いうぞ!)
ほのか「どうしたの? なんかいつもと違っておとなしいね」
ほのかは翔太がだまって見つめているので、にっこりと笑って問う。
翔太「お…、お…、小川さん」
ほのか「はい」
翔太「俺と、俺と、つ、つ、つ」
ほのか「つ? つ?てなあに?」
翔太「つ、つ、つ」
ほのか「つ? 釣りかな?」
翔太の心の声「いや、違う。つきあってくれだ! でも、待てよ。俺は、ほのかに告白すれば、人生が変わると思い込んでいたが、彼女がつきあってくれるとは限らないことに、今気づいた。この場であっさりふられたら、俺はどうすればいいんだ? 方やバリバリのキャリアウーマン、方やフリーター、普通、どうみてもふられるよな……」
ほのか「ツーリングかな? それともつくし? えーわからない」
あずさが帰ってくる。
あずさ「ただいま! 何を話していたの?」
ほのか「河田君がつ、らしいよ」
あずさ「つ?」
ほのか「私もちょっと行ってくる」
ほのかは立って奥に立ち去る。
翔太はほのかの後姿を見送る。
翔太の心の声(あー、俺は何をしているんだ!! ラストチャンスなのに迷ってしまうなんて!!)
翔太は頭をかかえる。
あずさ「翔太、どうしたの? 頭でもいたいの?」
翔太「そうだ! まだチャンスはある」
あずさ「えっ?」
翔太「いや何でもない」
あずさは翔太の顔をまじまじと見る。
あずさ「あのさ、今度、私が企画した雑貨店を出店するんだ」
翔太「よかったな。自分の店を持つのがお前の夢だったもんな」
あずさ「それで相談なんだけど、私の雑貨店を一緒に手伝ってくれない?」
翔太の心の声(きたぞ!)
あずさ「お父さんにいったら、翔太だったら安心して任せられるからって賛成してくれたんだ」
翔太の心の声「こうなったら、次点のあずさと一緒になるしかない。即、OKと言うんだ!」
あずさがミックスジュースをとろうとして、手を滑らしてコップをこかす。
あずさ「うわ、ごめん」
あずさはあわてて、コップをおこし、こぼれたジュースを紙ナプキンでふく。
翔太の心の声(でも、一番手の小川ほのかをあきらめて、ここで妥協するのもどうかと思うが……)
ほのかが戻ってくる。
ほのか「どうしたの」
あずさ「ドジちゃって、こぼしちゃった」
ほのか「大丈夫?」
あずさ「うん」
翔太の心の声「う〜ん、やっぱり結果は同じじゃないか!! 2人に何も言えていない。」
ほのか「じゃあ、シュノーケリングに行こうか」
あずさ「よし、行こう!」
ほのかとあずさは残ったジュースを飲み干す。
二人を眺める翔太。
翔太の心の声「結局、俺はこれまで何にも挑戦せずに、ただ人生を傍観しているに過ぎないんだ。タイムスリップしても、自信が持てず迷ってばかりで決断できず、何も変えることができなかった。俺自身の考え方を変えない限り、なんど人生をやり直せたとしても結果は同じだ」
ほのか「準備は良い?」
あずさ「いいよ」
ほのかとあずさは荷物をもって立ち上がる。
翔太「あの…」
ほのか「な〜に?」
翔太は二人の前に立ちふさがり、いきなり土下座をする。
翔太「頼む! 海に行かないでくれ!」
ほのか「どうしたの河田君!?」
翔太「昨日の夜、二人が海で死ぬ夢を見たんだ。あれは予知夢だと思う」
あずさ「何を子どもみたいなこと言っているの」
翔太「バカバカしいお願いをしていると思うけれど、俺にとって小川ほのかと新田あずさはもっとも大切な人なんだ。二人のことが大好きだから、ずっと俺と一緒にいてほしい」
あずさとほのかは顔を見合す。
翔太「頼む! 一生で一度のお願いだ!」
翔太は泣き出す。
あずさとほのかはあきれた様子で翔太を見る。
ほのか「へんな河田君ね」
あずさ「翔太はときどき子供じみたことをするんだよね」
ほのか「そんなにリアルな夢だったんだ」
あずさ「ちょっと、かっこわるいから泣かないで」
翔太「じゃあ、海に行かない?」
二人はうなずく。
○病室
ベッドに横たわる年老いた翔太。
ベッドの傍らに医者とナースが立っている。
医者「ご臨終です」
娘(ほのかとあずさ)「おじいちゃん!」
二人の娘(ほのか、あずさ)がベッドの傍らで泣いている。
医者「河田翔太さんにはご家族がいたんだ」
ナース「はい。お二人のお孫さんが」
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第60作「ラストチャレンジ」 プロット
プロローグ
●病室
ベッドに横たわる老人。
老人は息も絶え絶えに今にも死にそうな様子。
そこへナースがやってくる。
ナース「河田翔太さん、おはようございます」
翔太「……」
ナース「今日のお加減はいかがですか?」
ナースは翔太の腕を取って、血圧を測る。
翔太「いよいよ今日かな」
ナース「何がですか?」
翔太「お迎えが来るようだ」
ナース「……」
ナースは無言で血圧の数値をカルテに書く。
翔太「すまんが俺が死んだら、身の回りのものはすべて処分してくれていいから」
ナース「どなたかお身内の方はいらっしゃらないんですか?」
翔太「みんな死んでしまった。もう長い間、天涯孤独の身だよ」
ナース「そうですか……」
翔太「あんた、結婚は?」
ナース「私ですか? いえ、独身です」
翔太「良い人がいたら、必ず結婚しなよ」
ナース「えっ?」
翔太「俺は、昔、好きな女性がいたが結婚しなかった。そのため子どもおらず、こうやって死ぬときも誰にも看取ってもらえない。こんな寂しい死に方をしないためにも、早く結婚しなよ」
ナース「どうして好きな人と結婚しなかったんですか?」
翔太「こうやって死を目前にしても、俺の人生は後悔ばかり。
病室で最期の時を迎えた身寄りのない孤独な老人。
付き添っていたナースに老人は人生最大の後悔を告白する。
若かりし頃、想いをよせていた女性二人を海の事故で死なせてしまった。
あの時、自分が彼女たちに告白していれば、
彼女たちを助けることができ、人生ももっと違ったものになっていたかもしれない。
いつも傍観者で何にも挑戦しなかった自分の人生を老人は後悔する。
いよいよ死が迫ったとき、不思議な現象が・・・。
第1章 起こす
老人は若返り、彼女と最期に出会った海辺にある白いカフェテラスに
タイムスリップしていた。
翔太は就職活動に失敗したフリーター。
学生時代から夏休みに毎年バイトしている海辺のカフェで今年の夏もバイト中。
大城丈二は海辺にある白いカフェのマスター(オーナー)。
丈二は学生時代から翔太をバイトとして雇っている。
丈二は就職もせずにフラフラしている翔太のことを心配している。
そこへ、小川ほのかと新田あずさが水着姿でやってくる。
ほのかとあずさは夏休みを利用して、翔太がバイトしている海に遊びに来た。
小川ほのかは、翔太と大学のゼミで同じクラスの同級生。
ほのかは翔太がひそかに想いをよせる女性。
ほのかは商社で働く社会人2年目。
新田あずさは、翔太とは幼なじみで、ほのかの友人。
あずさは、翔太とほのかとは同じ大学のゼミ仲間。
あずさは子どもの頃から翔太を想っているが、翔太からは妹扱いにされている。
あずさは大学卒業後、親の経営する雑貨店を手伝っている。
第2章 承
翔太は、ほのかとあずさが、この後、海に遊びに行って、
ビニールボートが沖に流され、二人は死ぬことを思い出す。
翔太は二人が海に遊びに行かないようにしなければと決意する。
あずさがトイレに行っている間、翔太はほのかと二人に。
翔太は、このとき彼女に告白していればとずっと後悔していた。
翔太は、彼女に好きだと言おうとするが、憧れの女性だけに緊張する。
それに彼女は商社で輝いて働いているのに、自分はただのフリーター。言葉が詰まる。
結局、短いチャンスを活かすことができず、あずさがもどってくる。
今度はほのかがトイレに行き、あずさと二人に。
あずさは新しい店舗を出店するので、翔太に手伝ってもらえないか誘う。
あずさは、ゆくゆくは二人でお店をと翔太との結婚をにおわす。
翔太は、あずさが子供のころから自分のことを好いていることを思い出す。
翔太もあずさのことは自然体でいられる妹のように感じていた。
このとき、あずさの店を手伝い、自然な流れで結婚していれば
自分の人生も違っただろうとと、何度も後悔した。
あずさの店を手伝うか、それともほのかに告白するか…、翔太はやっぱり迷ってしまう。
またもや短いチャンスを生かせず、ほのかが戻り、話はうやむやに。
ほのかとあずさは、海に出ようとする。
翔太は、海に行かないほうがよいと、
「海が荒れるから」、「寒いから」、「寂しいから」などめちゃくちゃな説得をする。
二人はあきれて出て行ってしまう。
二人を追いかけようとする翔太だったが、滑って転んで椅子に頭を打ってしまう。
第3章
気がつくと翔太は病室で年老いて死にかけている。
ナース「やっぱり同じでしたね」
翔太「どういうことだ?」
ナース「最後のチャンスをあげたのに、何もできなかった」
翔太はタイムスリップして人生をやり直す機会だったことを知る。
翔太はもういちどチャンスが欲しいと懇願する。
ナースは、「これが最期だ」と翔太に注射を打つ。
第4章
翔太は再度同じ状況に置かれる。
今度は状況がある程度見えている。
翔太は、ほのかと二人になったとき、ほのかに「好きだと」と言おうとするが、
「ふられたらどうしょう」と別の不安が出てきて、やっぱり言えない。
翔太は、あずさと二人になったとき、あずさの店を手伝うと言おうとするが、
ほのかをあきらめて妥協する自分に腹が立ち、やっぱり言えない。
翔太はタイムスリップしても、
プライドや自信のなさ(マイナス思考)に囚われている自分自身が変わらなければ、
何も変わらないことを悟る。
二人は海に遊びに行こうとする。
翔太は二人の前で、土下座をする。
「ここを通さない。二人が海で死ぬ夢を見て、どうしても行ってほしくない」
「僕にとってほのかとあずさは大切の女性なんだ」
翔太は恥をさらして、泣いて頼む。
二人は翔太の子どもじみた話にあきれるが、
翔太の一身の思いをくみとってカフェにとどまることにする。
エピローグ
医者が老人を確認し、「ご臨終です」と言う。
老人は死んでいる。
ナースと医者がそばに立っている。
「おじいちゃん!」
二人の娘(ほのか、あずさ)がベッドの傍らで泣いている。
医者はナースに問う。
医者「河田翔太さんにはご家族がいただんだ」
ナース「はい。お二人のお孫さんが」
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