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木の葉が散り
裸の木が立っていた
この寒さだ
きっと春や夏のころが恋しいに違いない
花にあふれていた春
青葉の生い茂っていた夏
やがて紅葉し、
散っていった
まぶしいほどの赤や黄色の葉が
草木の光輝をおしえてくれる
二月には
なにもない
何もない季節がつづく
花も
葉も
なにもない
白黒写真のように
ただ閑散として
とてもさびしい
このころを耐え忍んで
三月、四月となると
花ばながいっせいに咲き出す
いろとりどりの
うつくしくもかわいらしい花々たちが
顔をのぞかせて
笑顔をよこす
この冬を耐えたのだ・・・・
まちわびた春である!!!
よろこびもひとしおだ
地面に目をやると
いぬのふぐりが満開である
しろつめくさも咲いている
れんげそうも
愛らしい顔をわたしにむけてくれる
この冬を越えれば
あの春がまたやってくるのだ
記憶の中の春
甘い香りのする春
みつばちの舞い飛ぶ春
渡り鳥たちがシベリアに帰っていく春
息づく息吹の濃い空気の春
荒い熱のこもった
春の蒸気機関車のようだったむかし
いのちがあふれていた
やさしいこころが
満開の桜のように
薄桃色をして
恋語りをはじめる
わたしらしい季節
春
誰よりも
何よりも
自由な季節
春
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自由詩
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てんとうむし
かわいらしいすがたをしていて
過去は
決してそうではない
ただ
いまは
かわいらしいかたちをして
クローバーの葉にたわむれあそぶ
無邪気さの陰に
哀しみを
のりこえてきだぞ
そういう
自負がかいまみえる
苦難に
わたしは負けなかったわ
という
偉さがつたわってくる
しろつめくさの花の咲く
野原にとてもよくにあう
かつては
砂漠の旅人だったにちがいない
水をもとめて
さすらい人となった困難の歴史を
かかえていて
尚
かわいらしい姿をして
わたしたちの目をなごませてくれる
そういうてんとうむしを
わたしは大好きだ
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彷徨詩吟のうたうたいつも
こころの言葉とちがっていることがわかる
自由を好む気質のもたらした
行き場をなくした若さの勢いも
萎えはじむ。
みとめられようと、そうでなくとも、
生きることはたやすいはずだった。
さりとて、「生きる」に値す生命が盲目の憂き目に
太陽の眩しさに目を射ぬかれたイカロスのごとき
もがいた果てに
うつくしいこころとなった。
いのちがきざまれていることの
不思議さに
やがて老いがやってきても
この若い今を覚えていようと
なにも誇れるもののない、なにも持っていない無力さのなかにあっても
ありがたさに
歓喜した。
苦しみの懊悩
熱いなみだ
孤独と親しみすぎたが故のからだの弱り
言うことにためらいながら
ふれあいに飢えた
少女時代が過ぎてゆく。
大人へと何もかも移り変わってゆく。
からだもこころも変わってゆく。
まだ、異性を知らぬ。
求むこころがありとも
自分の力だけで立とうとしていたことを
本音を言えば
誇りたい。
街の川辺に立ちうたう吟遊詩人も老いを知り
若さの意味を
わたしに問いかけるかのようだ。
うたいつも
街っ子の出でないうたうたいのまなざしに
一抹の寂しさのかいまみえ
自由の先にあったものは
生きて
やがて幾度かそれを繰り返し
ただ
年召してゆく
子をなして
ともに月日を追ってゆくにも
まずはひとをおもえねばはじまらないものがたりだ。
まだ
安心と
愛のあたたかさを知らないまま
この若さがおわろうとしてい、
絵のような
うつくしいことはなけれども
秘めた思いが
二十歳のまなざしに
光と影の
強い対比を与えた。
苦しさが逃れようと光に焼かれ
残ったものは
しずかな自身の生き方をただひたむきに
つづけてゆくという
決心だ。
生命の体謝が狂気の振り子を
とめてはくれまい。
こころが動いてしまうのも
感動できるのも
季節のなかで風を甘受できるのも
青春が
うつろい
そして
終わりを告げる日を
どこか待望していたのか、
少女の肢体を惜しみつつ
もぉ
子どもとはいえないことが
わかっていた。
なみだは
そんなときながれた。
あるいは
同年代の友達と
笑いさざめくことのかなえば
輝かしい青春といえたのかもしれないけれど
そのことができなかった
不器用な子であるのなら
今は
吟遊詩人の唄に耳澄まし
遠いむかしの青春にこころはせよう。
まぶしさに
こころがはずむ。
いきることをふたたびはじめた。
この歌の世界があるので
ひとときのいどころがある。
一生を酔生夢詩であってもかまわぬ。
人生はもぉはじまっていたという気づきが
こころにやすらぎをあたえてくれたことに
おもいのほか
青春に終着のない恋のあることを
そのころは
矜持とてもてた。
星灯りのもと
ロマン派の詩人のようなこころとなって
あふれるいきていることのよろこびが
憂いを
明るい笑顔に似つかわしき
わかいこころとしてくれる。
過ぎてしまったことでも
思い出せば
いつでも帰れる。
考えていたという
精神のふるさとに。
尊い時を
授かった。
お礼を言いたいのだけれど
ひとり、
流れ去ってゆく星を見送った。
赤く咲いたいのちが
今も心のなかに生きていて
これでいいのだという気持ちとしてくれる。
このことを
なにより嬉しいとおもえて、しあわせだとあまんじて暮らしてゆこう。
平凡な毎日を
ただ繰り返して。
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まだきともにおさなし
夕墨の地平
へと沈みゆくに陽の末後のまたたき
ちごのままこころにて
静かなる光景をきざんだ。
うつくしき風景に
握るこぶしに汗のにじんだ。
月日のうつろい。
今は春。
季節は秋めいていても
人生の早春。
若きまなざしにて
みつむる
先にあたたかき団らんの家庭のふところのあること
進む道は学びにあれど
いかに高き水準にあれども
手と手
にぎりあうやわらな
ともしびの果てぬやさしきこころとこころつなぐも
なべて
学びの先にてや
さうにあらず。
いましもてにいれむことあるもことかかむ。
いずれにし
あきらむことの先決なること傍目にはあきらかなり。
それもこれもえらべぬままに
時だけはすぎゆき
としはもゆき
ちまたにはとしごろなりとも
またふたたび
学びて
あの
早春の夕墨の広大なるところ
あかねの空に渡り鳥の舞う
凍てついた
かげろうのごとく
揺れるのも
こころと似て
一体どちらが主なのか格なのかわからなきほど
没入したむが
大自然ともなればわかるべくもありて
近郊の
ちいさきものなり。
ちごのまなざしにありて
天秤のごとくにあれ。
みぎにひだりに
揺れるのも意趣あるこころのペイジ。
夏の終わりに導音のあることおぼえているぞ。
なべて
そこに帰結する。
はじまりのあることよろこびとす。
ありがとうの言葉。
幾度も幾度も
今朝がたの朝陽にいう。
「だてにとしはゆかむことはじなきこと。ながるるにまかせいまをつかまむ。」
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夜明け方
りんごのかおりにさそわれて
ふと
なつかしいきもちとなっている。
畳敷きの床の間の前で
しずかに正座をし
儒学の御本をよんでいる。
この思いはどこからくるのか。
わからねども
まじめな
真摯なこころからだということはわかる。
知りたい。学びたい。
負けたあの日から
生涯
学び続けようと誓った。
勉学の意味について
深く考えた。
決して見栄などない。
こころより、
向学の思いあり
おしんのごとき
はなひといろのごとき
寂しさの
募る道の先にしか
わたしの青春はありえないのだと
しんじていた。
ほかに生き方もあっただろうが
これ以上
ぴったりとくる生き方を見つけるのは難しい。
もとより、女子に生まれ受けたこのいのち。
ずいぶんと、からだを苦しめた。
やがて、ひとを愛する頃
女であることをうけいれることも、
生まれてきたことの喜びも知った。
いちばんきれいだったころ
青春を
若さを
誇れなかった。
わたしは雨の中を走っていたのだから・・・・・・・・・
子供を産めば
あるいは自分が女であることが分かったかもしれない。
どんなに勉強したくても、今、それはかなわない。
大学の勉強よりも
高校の勉強をしなければ
上級の学校にはいることはかなわない。
みな自分で積み重ねてしまった
失敗のつけ。
犬がにひきあのころいた。
りょうすけと
ららちゃん。
山鳩さんも、庭のつげの木に
巣をつくって暮れた。
りょうすけと山鳩さんは仲が良かった。
やがて、
ららちゃんが死に
りょうすけも死んでゆき
ひとりぼっち
わたしひとりがのこった。
あいかわらず学び続けているが
その根底に
青春に破れたくやしさがあることをしっている。
誰と戦ったのでもない。
自分自身と戦って
破れたのである。
目前に
老いが見え始めた頃
尊い身体を思うまま動かすこともままならずできるようになった。
いのちつきるまで
悔いのない
わがままをとおしたい。
自分勝手な母を許してね。
雪ちゃん。
晶彦。
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