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■Ryoやエルフに起こったことを、どんなふうにたとえるといいのだろう。
生後何か月目に起こったことなのか、記録はあまり正確ではない。また、ここでは、
正確に記す必要はないだろう。
ふたりは、生まれて間もないころ、「親から離れた」。そして、その後半の人生で、
「親とは再会していない」。
生まれ持っていた何かのせいか、あるいは幼い時に経験したもののせいか、心に「トラウマ」をもって
育っていた。
Ryoは「ひどい虐待」を受けていて警察に保護され、エルフは孤児院で暮らしていた。
共に、リリノエとクフレイナニというハワイの日系二世夫婦に引き取られ、育てられていた。
引き取られたころから、ふたりはそれぞれの「トラウマ」を目覚めさせ、普通ではない姿を
養父母に見せていたという。
Ryoは「人格」が何度も入れ替わり、しかも彼自身はそれに気づいていない状態…。
エルフは、北海道の美しい自然の代表とも言われる、朝の風景と夕暮れの風景が
目の前に展開されるたびに、ひどいパニックを起こした。
いきなり呼吸が荒くなり、ヒーッ、ヒーッと長い呼吸の後、震えだしてうずくまった。
過呼吸の症状を見せ、目の前に浮かんでいるらしい風景(?)…そばにいる者には見えていない…を
手で払いのけたり、かきむしるように床を、はいずりまわっていた。
■それは、RPG、ゲームがいきなり途中から始まったようなもの。
場面も、状況も、そこにいる必然性もわからない。ルールも、コントロールのしかたも、
何が味方で、何が敵かさえわからない状態だった。
医師たちにとっては、Ryoには「虐待」が「トラウマ」の原因、エルフには、置き去りにされて、
一晩中見知らぬ場所に放置されていたことが原因の「トラウマ」で、似たような精神的な不安を
感じると、フラッシュバックを起こすのだろう…ということだった。
精神医学の細密な状況や知識や治療方針は、わたしにはわからない。わたしが言えたことは、
虐待されたからすぐ「トラウマ」になる…親に捨てられたから「パニック障害」になる…それは
どこかおかしい。人はそんな弱いものではない。たとい生後間もない「幼児」でも…ということ。
医者たちは「治療」を目的としていた。言い方が悪いが、「モルモット」を見つめるように観察し、
データを集めてファイルする…自分の研究資料をグレードアップしていく「保身」に見えた。
なぜなら、彼らが、「この治療で回復するかどうか、わからない。薬で精神の安定を保ち、その間に
彼らに起こったことをさぐり、自分で語らせ、少しずつ過去にさかのぼって、真の元凶に至ると
きっと、すべての原因究明がなされ、おそらくはねじれたひものような精神は、統一されて、
落ち着くと思われる」といっていたからだ。
長い引用になったが、要するに、「やってみなければわからない」のひと言に尽きた。
■確かに、それは「治療」なのだろう。私は精神科医ではないので、「治療」などしない。
牧師として、彼らを救うことを考えていた。
彼らの「人格変異」「意識障害」「家庭内暴力」が、おだやかになる言葉かけをして、彼らの心に
しみこむ「言葉」を見出す。それを心にしみこませた彼らは、潜在意識に語りかえる「道」を、
自分で見出す。
からだは、人の本来の姿、「霊性」を持つもの、誤解をおそれずに言うならば、人間の本来の姿は
「霊」そのものである。それは、今では、からだ=精神のの奥世界、潜在意識の奥に入り込んでしまい
人の自由にはならなくなっている。
しかし、「霊」は、それを目覚めさせるいくつかの方法や「キーワード」を待っている。
Ryoというかぎ穴に、エルフというかぎ穴に、当てはまるのはどんな「言葉」か、それを探すこと…
彼らが喜んで耳を傾ける「お話」を、ただ「話し伝える」。感じる心が育って、心に響く言葉を
自分の中で育てていく。それは、潜在意識に届く言葉を発見する手がかりとなる。
★耳を楽しませ、心を喜ばせ、魂を満足させる「言葉」や話を聞かせる。いつか、「霊」に至る道を
自分の中に目覚めさせる準備とさせることだった。
■かれらは「今」、戦っていた。わたしには、その元凶の説明や心の病の医学的知識をふたりに
説明し、彼らを混乱させるよりも、その現状の中で、まず「笑い」、みんなといっしょに楽しみ、
仲間から受け入れられている意識を高めながら、生きる力を育てることを意識した。
それはRPGゲームの中のキャラクターに命を吹き込み、ゲーマーに動かされるのではなくて、
自分で判断し、自分で経験し、自力で戦っていくことだったかもしれない。
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何でもないと思っている自分が そうではない と 気づくことが 一番 難しい ことかも しれない。
2010/3/1(月) 午前 0:15