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淡い朝焼けの海に 小舟がひとつ
きのうの夜から 今の今まで 7時間
起き出すころに 港に向かい
みんなの 今日の 食卓を飾る
夜は 朝に バトンタッチして 眠る前
昨日生まれた情報を 朝のUSBに 送信する
あなたの幸せも そこに記して
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高校時代に書き始めた「育児日記」には、こう書いてある。
1)からだをよく動かせる子にする。
そのために、「ビー玉」「おはじき」「とびなわ」
「石けり」「ゴムとび」・・・
思いつく「昔あそび」の利用を、細かく書き出した。
しかも、エクササイズにして、カリキュラムまで作ってある。
もちろん、それを見つけたクラスメイトが面白がり、うわさが
ひとり歩きして、「妊娠中」のレッテルを貼られた。
校長室に呼ばれるというオマケもついた。
注意を受けて腹が立ったので、「決めつける大人になるな」
なんて、端っこにメモした。
わたしは「おばあちゃんっ子」だった。だから、体力が弱って
寝てばかりのおばあちゃんの部屋に、いろいろなものを
運び込んだ。
冬なのに、元気で働くアリさんたち。
セミの抜がらに住み着いたダンゴ虫。
「ふきのとう」や「タンポポ」。
春夏秋冬の草花。
性格って、困ったことにもなる。
きれい好きのお母さんには、すぐに片づけられてしまった。
話すのもやっとになったとき、わたしは出入りを禁じられた。
からだに障るというのだ。
からだに(触る)からいけないなら、おしゃべりするだけだモン。
そう思って、こっそり忍びこんでいた、
どんどん部屋が片づけられて、清潔になっていくのを、
わたしはこわごわ見ていた。
「じっと見てられないものがある、太陽と死と」。
寝込んでいても、おばあちゃんは、やっぱりわたしの
おばあちゃんだった。
畳に正座している「借りてきたネコ」に、おばあちゃんは
たずねたものだ。節をつけて。
「これこれそこのおじょうさん…今日のお宝、なんですか」
わたしの服は特注で、ポケットがたくさんあった。
特注したのはわたしで、仕立てたのは、若いおばあちゃん。
わたしは自慢げに「リスト」を提示する。
ちっこいころは、何でもかんでも、畳の上にバラかしたけれど、
「清潔に、礼儀正しく」というから、言葉だけにした。
「アリさんのヨットの帆」(モンシロチョウの羽)
「キリギリスさんの足、3本」
「牛さんのヨダレの中でおぼれたケムシさん」
おばあちゃんは静かに聞きながら、時々、声を大きく笑った。
楽しくて面白いものがいっぱいあったのに、その日、
おばあちゃんがリクエストしたのは、「洗濯バサミ」。
ふしぎに思っていると、「すそにつけてごらん」。
簡単、すぐスカートにつけた。
「はずしてごらん」…サッ。簡単だ。
「おそで」「前髪」「鼻」「くちびる」・・・どんどん難しくなる。
「こんどは反対の手」・・・左利きだから、右手で
「耳」「おしり」「エリ」「背中」・・・。
それから「たなごころ」、「きびす」・・・。
おばあちゃんは、わたしのこと、ちゃんと考えていてくれた。
遊んでいたけど、勉強もしてたんだ。
わたしは「洗濯バサミ」を「シール」に替えて、エリカと遊んだ。
からだが柔らかいエリカは、絶対無理と思えるような背中の
スポットでも、す〜っと手を伸ばして、わたしが貼ったシールを
はがしたものだ。
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「イシケリ?」
エリカが祝辞の腹ごなしに選んだ遊びは、小さい頃に教えた
石けりだった。
小2のエリカが知っていて、女性隊員の岡崎さんも
知らない「昔遊び」。
エリカのポイントをついた説明のせいか、いえ、特救隊員の
彼らが持つ、鍛え抜かれた反射神経の勝利だろう。
たちまち、石運びは、「足から足の甲へ」、そして、「膝」
「太もも「背中」へと進んだ。
要するに、相手が選んだ平たい石に、自分の石を当てる。
言ってしまえば、それだけのことだ。
ただし、手は使わない。「背中」に石を載せ、すべらせて当てる。
当てるためには、相手の石に後ろ向きにならなければ
いけないし、すべらせるスピードやコース調整も大切になる。
あと少しで落ちるというとき、微妙にからだの向きを変えて、
精度を高める微調整は、そう簡単に身につくものではない。
エリカは考えて、このゲームを選んだのだろう。
エリートの大人たちから、子供扱いの屈辱を受けることなく、
対等に渡り合える。ゲーム運びで上手に闘えば、あるいは、
勝てるかもしれない。
「石けりなんて、古めかしいものを、いつ覚えたんだ?
今時の学校は、こんなことも教えるのか?」
「いいえ、わたしがシゴイタの。エリカは3歳の頃から遊んで
いる。わたしの(育児予定表)通りにね」
「あの、例の…。しかし、100発100中じゃないか。
どうなってるんだぁ?」
タネも仕掛けもない。からだで覚えたのはエリカ。
そうできるように教えたのは、母。この「わたし」なのだ。
昔遊びには、その時代を生きていた子供たちの体力と技術を
支える力で溢れている。
ゴム跳びだってそうだ。あんな高度なテクニックを、あの頃の
子供たちは、平気な顔で身につけていたのだから。
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朝起き出して、水辺で遊ぶ。
ウフィッツィ美術館から5分少し。
カヌーを揺らせて朝の散歩。
カナダほど壮観じゃないけど、
いや、ぜんぜん壮観じゃないけど
それでも夢見心地で散歩するには
程よいスピード。
また眠ってしまいそう。
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