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「エリカの質問箱」 |
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壮大な宇宙の闇を切り裂いて進む艦隊の道行き。
そんな荘厳さを感じさせる曲想、力強い詞の流れ。
「シリウスの光」という印象的な言葉から、広大な宇宙の空を
思わせる。
宇宙に生きるためには、地球の引力というしがらみを捨てて、
新しい感覚を身につけなければならない。
地上という基盤の上では、自分を中心に上下、左右が決まって
しまう。
しかし、宇宙ではその「基盤」さえ捨てなければならない。
そして、上下・左右・前後という方向性をすべて奪われたところで
生きなければならないのだ。
けれども、地上の引力の中に生きて、自分が経験したひとつの
生きかたにしがみつき、自分の価値観を絶対と思い込み、
他者を排除するわれらに、宇宙はあまりにも広大で、絶望的な
闇を思わせる。
だからこそ、立ちふさがる人生の闇を切り裂いて
進まなければならない。
自分の自由な空を探しながら、引力を捨て去り、夢によって
結ばれる友を求めながら・・・。
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「銀河英雄伝説 第二章」 この物語は、銀河における150年戦争から始まっている。
そこには、砲弾の飛んでこない都市に暮らし、優雅に遊び暮らす貴族や、
大儀という名目で国民を上品に支配する特権階級・・・政治家や「戦争」を
チェス盤の遊戯にしている軍人たちが描かれている。
これは、時代がどんなに発展しても、未来永劫変わらない社会の現実だろう。
そんな彼らの権威主義を淡々と描き、どこかの国の軍隊の歴史そのものを
ベースにして、逆らう人を抹殺する国粋主義集団まで登場させながら、
物語は進む。
目を引くのは、宇宙で戦っているにもかかわらず、地球の引力から脱しきれず
数と常識と目先のことしか見られなくなっている老いた将軍達の愚かさ・・・。
権力者の言いなりにならない生き方を願いながら、頂点を目指す
若きリーダーたる知将の対立が見てとれる。
テーマ曲は、心の輝きを探して遠く銀河の空に思いをはせる乙女が、
愛する人の心にある光を見つけられず、ただいつか、自分の元へ
帰ってきてくれることを祈る切なさと、自分の前に立ちふさがる「戦争」という
現実がどんなに悲惨でも、若者よ、夢を持て、夢を捨てるなと歌っていた。
新曲は、4月4日配信リリースの「Searching for the light」。
この曲は舞台「銀河英雄伝説 第二章 自由惑星同盟篇」のメインテーマ曲であり
舞台に出演される河村隆一さんが
「河村隆一 with 銀河英雄伝説 Choir」
として配信限定でリリース。
彼の名曲、「ガラスの心」や「I love you」のフアンとしては、うれしい登場だ。
明日が見えない人生という闇の中で、手探りしつつ生きるには、
どんなことが必要だろう。
ささやかな夢をともし、守るべき愛する人を心に抱いて歩くこと。
立ちふさがる闇の中を、胸の奥に輝くシリウスの光に導かれ、光を信じ、
夢を乗せ、この空を羽ばたいていけと歌われている。
休むことなく、闇を切り裂き進め、星が消えても・・・と。
人生という広大な銀河の空は、確かに「闇」そのものだろう。
でも、ささやかな夢を抱く。
愛する人を守りたいと願う。
それが胸の奥で、強く輝く星となるなら、それを信じ、夢を星につないで
はばたける。
逃げ出さず、あきらめず、闇を切り裂いて生きる。
星が消えそうになるこの人生の大宇宙を。
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「Searching for the light」 河村隆一 with 銀河英雄伝説 Choir
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『たましいの生まれるところ』
「パパはサル!!わたしは人間なの!」
エリカの声がクリニックに通じるドアから聞こえた。
珍しい。エリカが興奮して大きな声を出している。
それも、大好きな父親に向かって・・・。
続いて、階段を上る足音。1分もたたないのに
もう興奮は冷めているらしい。静かだった。
「エリカ、怒ってたか?」
少しして、夫がリビングをのぞきにきた。
「引きずって八つ当たりする子じゃないわ」
「いやあ、まいった。魂について議論してたら、
いきなり怒り出してさ」
「訂正したほうがいいんじゃない?
(たましいについて議論させて、怒らせてしまった)」
「おいおい・・・。かよわい夫の味方になってくれる妻は
今日はルスなのか?」
「そうよね。剣道+柔道+空手、あわせて14段のあなたでも、
議論では負けるようになったんだものね」
「あいつの知識の深さには舌を巻くよ。
議論の組み立て方は、キミそっくりだ」
「家庭訪問のとき、担任が言ってたけど、エリカ
学校の図書館の本、全冊制覇したらしいわ。
読むのがとにかく速くて、記憶力もすごいって。
それはあなたゆずりね」
「マチで見かけたら、普通の小学生なのになぁ」
「何よ・・・エリカがあなたに声を荒げるなんて」
「つい、クーニャンのことをナジっちゃってさ」
「それならわかる。あなたのことだから、
金魚にたましいなんかない・・・なんて言ったんでしょ」
「そうだよ、その通りだよ・・・聞こえてたのか?」
「まさか。防音防火のドアを通すほど、あなたの声は
大きくないもの。エリカが開けたとき、聞こえたのよ」
「オレの祖先はサルで、自分の祖先は人間だってさ。
ナースたちが笑う笑う・・・。オレってサル顔か?」
「なら、結婚しなかったわ」
「だろう?だろう? サルって顔じゃないよ」
(サルじゃない、オランウータンでしょ)という
妻の心の言葉には気がつかないで、夫は戻っていった。
二階は静かだった。エリカを見たいと母は思った。
初めて父に声を荒げた娘は、出窓のクッションに座り、
ぼんやり海を見ていた。
何も言わずに、サイドテーブルにメロンソーダを置く。
じゅうたんに座り、部屋をひと通りながめてみる。
最近までピンクピンクしていたインテリアが、薄いブルーと
オレンジになって、大人っぽさを感じさせる部屋になっていた。
エリカはおもちゃをほしがらないこどもだった。
誕生日に贈ったピンクのうさぎは、一度包装をとき、
カメラにおさめてから、園のバザールに出された。
夫は何か言いたそうだったけれど、
娘はほほえみで黙らせた。
そのときわたしが夫に見せたアルバムが、
少し枚数を増やして、ベッドサイドにある。
ピンクのウサギの写真が10枚ほど貼られ、エリカとの
ツーショットも何枚かあった。同じページにエリカの字で
思い出のエピソードがぎっしりと書かれてあった。
「この幼さで物に執着しないなんて、おかしくないか?
知事賞をとった絵さえ飾ってない」
というのが夫の心配だったけれど、わたしも笑って無視した。
プレゼントはすべて、思い出日記と一緒に、アルバムの中。
8歳までの思い出は、写真にしてから、手放している。
そのエリカの心を、わたしたち夫婦は、完全に誤解していたのだろう。
金魚のクーニャンの死以来、命の短さ、物のはかなさを思い、
自分のそばで汚れて朽ちていくことに恐怖を感じているなんて、
エリカに限ってそんなことはないと、高をくくっていたのかもしれない。
「あっ、たましいが、のぼってく」
急に立ち上がり、エリカが言った。
胸騒ぎの言葉だった。
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