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2009年08月

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■Ryoやエルフに起こったことを、どんなふうにたとえるといいのだろう。

 生後何か月目に起こったことなのか、記録はあまり正確ではない。また、ここでは、

 正確に記す必要はないだろう。

 ふたりは、生まれて間もないころ、「親から離れた」。そして、その後半の人生で、

 「親とは再会していない」。

 生まれ持っていた何かのせいか、あるいは幼い時に経験したもののせいか、心に「トラウマ」をもって

 育っていた。

 Ryoは「ひどい虐待」を受けていて警察に保護され、エルフは孤児院で暮らしていた。

 共に、リリノエとクフレイナニというハワイの日系二世夫婦に引き取られ、育てられていた。

 引き取られたころから、ふたりはそれぞれの「トラウマ」を目覚めさせ、普通ではない姿を

 養父母に見せていたという。

 Ryoは「人格」が何度も入れ替わり、しかも彼自身はそれに気づいていない状態…。

 エルフは、北海道の美しい自然の代表とも言われる、朝の風景と夕暮れの風景が

 目の前に展開されるたびに、ひどいパニックを起こした。

 いきなり呼吸が荒くなり、ヒーッ、ヒーッと長い呼吸の後、震えだしてうずくまった。

 過呼吸の症状を見せ、目の前に浮かんでいるらしい風景(?)…そばにいる者には見えていない…を

 手で払いのけたり、かきむしるように床を、はいずりまわっていた。

■それは、RPG、ゲームがいきなり途中から始まったようなもの。

 場面も、状況も、そこにいる必然性もわからない。ルールも、コントロールのしかたも、

 何が味方で、何が敵かさえわからない状態だった。

 医師たちにとっては、Ryoには「虐待」が「トラウマ」の原因、エルフには、置き去りにされて、

 一晩中見知らぬ場所に放置されていたことが原因の「トラウマ」で、似たような精神的な不安を

 感じると、フラッシュバックを起こすのだろう…ということだった。

 精神医学の細密な状況や知識や治療方針は、わたしにはわからない。わたしが言えたことは、

 虐待されたからすぐ「トラウマ」になる…親に捨てられたから「パニック障害」になる…それは

 どこかおかしい。人はそんな弱いものではない。たとい生後間もない「幼児」でも…ということ。

 医者たちは「治療」を目的としていた。言い方が悪いが、「モルモット」を見つめるように観察し、

 データを集めてファイルする…自分の研究資料をグレードアップしていく「保身」に見えた。

 なぜなら、彼らが、「この治療で回復するかどうか、わからない。薬で精神の安定を保ち、その間に

 彼らに起こったことをさぐり、自分で語らせ、少しずつ過去にさかのぼって、真の元凶に至ると

 きっと、すべての原因究明がなされ、おそらくはねじれたひものような精神は、統一されて、

 落ち着くと思われる」といっていたからだ。

 長い引用になったが、要するに、「やってみなければわからない」のひと言に尽きた。

■確かに、それは「治療」なのだろう。私は精神科医ではないので、「治療」などしない。

 牧師として、彼らを救うことを考えていた。

 彼らの「人格変異」「意識障害」「家庭内暴力」が、おだやかになる言葉かけをして、彼らの心に

 しみこむ「言葉」を見出す。それを心にしみこませた彼らは、潜在意識に語りかえる「道」を、

 自分で見出す。

 からだは、人の本来の姿、「霊性」を持つもの、誤解をおそれずに言うならば、人間の本来の姿は

 「霊」そのものである。それは、今では、からだ=精神のの奥世界、潜在意識の奥に入り込んでしまい

 人の自由にはならなくなっている。

 しかし、「霊」は、それを目覚めさせるいくつかの方法や「キーワード」を待っている。

 Ryoというかぎ穴に、エルフというかぎ穴に、当てはまるのはどんな「言葉」か、それを探すこと…

 彼らが喜んで耳を傾ける「お話」を、ただ「話し伝える」。感じる心が育って、心に響く言葉を

 自分の中で育てていく。それは、潜在意識に届く言葉を発見する手がかりとなる。

 ★耳を楽しませ、心を喜ばせ、魂を満足させる「言葉」や話を聞かせる。いつか、「霊」に至る道を

  自分の中に目覚めさせる準備とさせることだった。

■かれらは「今」、戦っていた。わたしには、その元凶の説明や心の病の医学的知識をふたりに

 説明し、彼らを混乱させるよりも、その現状の中で、まず「笑い」、みんなといっしょに楽しみ、

 仲間から受け入れられている意識を高めながら、生きる力を育てることを意識した。

 それはRPGゲームの中のキャラクターに命を吹き込み、ゲーマーに動かされるのではなくて、

 自分で判断し、自分で経験し、自力で戦っていくことだったかもしれない。



◆未熟児で生まれた子を「無価値!」と言いきり、「何をやってもだめだ」と見放した医師の話から

 Ryoが何を学んだかはわからない。しかし、あれほど荒れていたRyoが、

 その家庭内暴力を封印した

 ことからみて、話に出てきた人のように、自分が大切なものを心の奥にしまい込んでいることに、

 思い至ったのだろう。(20日「霧のとびら」参照)

 幼いころに受けた虐待は、人格分裂の引き金になったけれど、それは、もっと以前に経験した

 大切なものを守るために「とびら」となった。忘れないように、ひとつの痛みとして、心に残った。

 自分の人生の大変なときに力となってくれる、「大切な何か」!

 幼くて、記憶できないために、虐待の痛みは、「道標」(みちしるべ)になったと。

◆このことで自分をとりもどしたRyoは、医大に合格し、外科医としてインターン生活を開始した。

 しかし、国試に合格した頃から、何かの新しい変化が彼の中に起こり、Ryoは消えた。

 それは、エルフの書いたものの中にあるので、くわしくは書かないが、彼の計画には

 新たに心療医をめざす必要性が生まれて、アメリカに行っていた。

 そこで彼は、フランチェスカに出会っている。

 自分は心の奥(潜在意識の中)に何を閉じこめているのか。虐待の痛みを忘れずに、それを

 「とびら」にして、しまいこんだものとはなにか、それをさぐりたかったのだろう。

 それが、Ryoのこれからに必要なことだった。

 それは、心を病み、虐待の悲しみと痛みから離脱して、自分という「宇宙」(そら)を飛ぶための

 学びだったといえるだろう。

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◆あなたが親なら、生まれてすぐのこどもに、何をしてあげただろう。

 その耳に届くように、言ってあげた言葉は、なんだっただろう。

 あなたが子なら、最初にされたこと、ささやかれたことは何だっただろうか。

 記憶できている人は、ほとんどいないかもしれない。

◆しかし、20日の「霧のとびら」に書いたように、生まれてすぐに聞いた言葉は

 恐ろしいことに、その人の一生を決定するほど、大切なのだ。

 生まれた子の左の耳に、「神は偉大なり」とささやくことを日常にしている人たちがいる。

 イスラムの人たち。これは「コーラン」(聖典)に書かれている言葉。

 もちろん、おなかの中にいるときに、母の声を覚え、父の声に親しんでこどもは生まれるけれど、

 生まれてすぐに「母の愛語」「父の愛語」を聞くことは、大切なことだと思う。

 このすばらしい習慣が、世界に広がっていくことを願う。生まれた後、どんな環境に暮らしても、

 積極的に生きるかどうかが、それにもかかっている。

◆「HP2」に、それを書いて、新しくした。その間、ブログに来なかったことをエルフに

 あやまらなければならない。

 http://www.justmystage.com/home/wingsofdream

◆見やすいように「大画面」にしています。PCの右上のボタン「F11」を押して

 大きくしてからお楽しみください。



◆記録者:pastor


◆リストカットの傷がまだ回復しないうちに、Ryoは自宅にもどってきた。

 母親はもちろんサヤカはRyoに抱きついて、その帰宅を喜んだ。いつもは

 厳しい表情をくずさない父親さえも、病院のエントランスまでわざわざ出てきて、

 Ryoを迎えた。数時間かかってここまでRyoを乗せてきたオバは、家族の

 再会を軽くかわし、院長室へとひとり足早に去っていった。

 高三になるRyoには、医大への受験戦争が待っていた。成績を問題にしたのではない。

 それまで、正常で健康な精神を回復できるかが、重大な問題だったからだ。

 優秀な医師二人の手を借りても、1年、いや、数ヶ月後に行われるセンター試験に

 普通に臨めるのかさえ、不安だったからだ。

 精神が、ひどく揺れていた。人格も、分裂する。ただ授業を聞いているだけで、すべての

 知識を吸収して、校内で行われる試験には、常に満点をとっていたRyoだったけれど、

 突然、プライドを失い、(自分はダメな人間だ・・・)と青ざめてふるえ出すことも多かったから、

 それに、私が心配していた通り、家庭内暴力が、嵐のように押し寄せてきた。

 その激しい暴力は、母親に集中していて、まだ7歳だったサヤカは、それを目撃するたびに

 山のリリノエの家に駆け込んできていたという。

 『オジさん、何か良い方法はないの? Ryoパパもオバさんも、一生懸命なんだけど

  高い山に、1歩ずつ登ってるみたいで、ちっとも頂上につかないよ』

 エルフの電話の声は、恐怖とも、不安ともとれる、悲痛な響きだった。

 医学的には…父親とオバの専門的治療がベストなのだろう。ただそれは、エルフの言葉の

 ように、エベレストの頂上に向かって、ふもとから1歩ずつ足もとを固めながら登るようで

 いつ登り切れるのかもわからない、気の遠くなるような処置だった。

 エルフは…その直感から、いきなり山頂にワープするような方法がないのかと、尋ねたかった

 のだろう。

 エルフやリリノエの心痛を、なんとかしてあげたいし、特に、Ryoの母親、とりわけ

 小さいサヤカを安心させたくて、休日の午後、私は山の家に車を走らせた。

◆「すぐれた実業家がいた。世界を自家用ジェットで飛び回っていて、忙しく、いくつもの

  会社を経営して大成功をおさめていた…。でも、その大成功をどんなにまわりがほめたたえても

  彼は、笑顔ひとつ見せなかった。心の奥で、自分は人生の負け犬だと思っていた」

 エルフとサヤカは私のそれぞれのヒザに手を乗せながら、Ryoはベランダからの初夏の風が

 心地よい、白いカーテンのそばで、リリノエはもうひとつのソファーにRyoの母親と座り、

 私の話に聞き耳をたてていた。

 (どんなに成功しても、自分は負け犬…)と思いこんでいた実業家の話は、実話で、心理学の

 文献に載っている。難しい表現なのに、サヤカが一番その言葉に反応していた。

 『どうして? 大成功してたのに、どうしてそう思いこんでたの?』

 エルフが尋ねてくる。話の根本をえぐる、直球の質問だった。

 「病院で産まれたとき、早産で、未熟児だったんだ。ナースがからだをふいてあげようとしたとき、

  お医者さんがこう言ったそうだ。

  (何をやってもダメだよ、ダメな子だ。助からないよ)

  産まれて数分後、お医者さんがナースにだけ聞こえるように、小さく言ったひと言だった

  けれど、その子の耳には届いてた。その言葉が、まだ赤ちゃんだったその人の心の奥に、

  ザクザクと突き刺さったんだ…」。

 「どうして? 赤ちゃんのお医者さんなんでしょう? 赤ちゃんが大好きだから、赤ちゃんの

  お医者さん、してるんでしょう? どうしてそんなこと、言うの?」

 サヤカの握りしめた手のツメが、ひざに痛かった。Ryoは、何を思いだしているのか、

 強く口の中で舌をかんでいたのだろう、くちびるを血がす〜っと尾を引いた。

 「こう思うんだ。お医者さんの言葉が、産まれてきて一番最初に聞いた言葉なら、その人は

  早いうちに自分の気持ちに押しつぶされて、成功なんてしなかったと…」

 『なに? なにか、すごいことがあったの? その赤ちゃんに!』

 エルフが下からにらむように私を見つめ、立ち上がって、私の肩をゆさぶり始めた。

 「そう! あったんだ。・・・ダメな子と言われる前に、聞いていた言葉があった。

  おなかの中にいたときに、産まれてすぐに泣きながら神様に感謝したママの、

  喜びの言葉をね! でも、産まれたばかりで、良く覚えられないから、お医者さんの

  (ダメな子)というきつい言葉を覚えた。ショックを受けた言葉のほうを、人間は

  覚えるものだからね。それを(心のフタ)にしたんだ。そのフタさえ開ければ、

  ママの喜ぶ声と、自分に向かって語られたママのうれしいひと言がよみがえる。

  そして、人生の大変なときに、自分は負け犬なんかじゃなかったと思えるようにね」

◆この話が、それぞれの心にどのように響いたかはわからない。ただ、サヤカは笑顔になり、

 エルフは何かを決意したように、うなずいていた。リリノエと母親は目頭を押さえ、Ryoは

 少し高く目を上げて、まだ雪をかぶって光っている山々を見ていた。そして、Ryoの暴力は

 この日をさかいに、終わったのだった。

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