自分の生まれた街にも海と空がある。
だから、今、少し似ている街に住んでいるのかもしれない。
あの日、聖堂の路地に置かれて見た朝焼けの怖さは、今も
記憶に焼き付いている。
それは、わたしの「地上」…「引力」だ。
どんなに高く飛んでも、どんなに遠くに暮らしても、
すぐに「ここ」に連れ戻される。
それを、かつて、「原点」と呼んだ友がいた。
彼にはその「原点」の記憶がなく、長い間悩んでいた。
捨てられた朝の恐怖の記憶なのに、友は、ひと言、
「うらやましい・・・」と言った。
恐怖の中に、小さな光が見えた瞬間だった。
|