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「人生ではじめての死を見た娘」
ひたいを汗でいっぱいにしてエリカが帰宅したとき、クーニャンのからだは
わたしの手の中だった。
エリカは、自分が抱きたいと言って、両手に受け、ほほをすり寄せた。
どうしてそんなに悲しめるのか。ポロポロと涙をこぼして嗚咽(おえつ)している。
クーニャンは・・・10年は生きたのだろうか。桜の木の下に新居をかまえてから、
2倍に大きくなっていた。その生涯の半分近くを、エリカと過ごした。
エリカが話せるようになって、会話をはずませるようになって3年。
そうか。3年も毎日会話を弾ませた相手なら、わたしもポロポロ泣くだろう。
エリカにとって、人生で最初の、親しいものとのお別れなのだ。
しかし! 幼稚園児なら、金魚が死んだら、まっさきに「お墓」でしょう!
なのに、エリカは・・・クーニャンを・・・「火葬」にした!
どんな精神的構造を・・・わが娘は持っているのだろう。
言葉を選びながら、わたしはやっとたずねた。
エリカの答えはいつものように単純だった。
『クーニャンがそうしてほしいって・・・。
土の中でからだがとけてくのは、かなしいんだって。
虫さんたちのごちそうになりたくないって・・・えっ?』
自分で話しながら、エリカは「えっ?」という顔をした。
『お墓、作ってあげたら、虫さんたちのごちそうになるの?』
おいおい・・・自分でそう話していたんだよ。
知らないで? 知識もなく、そんなこと、話したの?
それに、それ、いつ聞いたんだよ・・・。
残留思惟(ざんりゅう・しい)?
ついてけない。
エリカが「ニュータイプ」なら、クーニャンも「それ」だったのかもしれない。
あ。。。わたし、洗脳されてる?
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2012年02月10日
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