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がまんできなくなって、Ryoは、腕にツメをたてるのをやめた。
いつもは「わき腹」を責め、「ほほ」をつねれば終わるのに、
その夜はダメだった。
もう何時間、のどの渇きをがまんしただろう。
口の中が乾き、舌が張りついている。
無理に動かすと、やけどのような痛みが走った。
部屋にあかりはなかった。
上から板が打ち付けられていて、スイッチは動かせない。
ドアは廊下から押さえられ、開けることは難しかった。
大人でもやっとのライティングデスクが、古本を山のように
積まれて そこにあった。
しかし、Ryoは、屋根裏部屋の暗闇から、簡単にぬけ出した。
身近にあったコースターを使って。
この生まれ持った賢さが、ギリギリのところで
この子を支えていたのかもしれない。
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2012年06月15日
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人生にも「季節」があるとしたら、あなたは今、どこに
いるだろうか。
「春」という名の季節に生まれ、今、青春という名の「初夏」を
懸命に生きているだろうか。
あるいは「初夏」を過ぎて、「夏」を生き、人生の「秋」を
迎えているかもしれない。
人生の季節が穏やかな「春」に始まり、さわやかな「初夏」から
生き生きと過ごす「夏」を生き、美しく彩られる「秋」を
迎えるのは、幸せなことだろう。
生まれてすぐに、いきなり人生の「冬」に投げ込まれる子もいる
と・・・気づいたなら。
これは、両親を一度に失い、里親の虐待を受けながらも必死に
トラウマを乗り越えた少年の物語である。
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