|
・
・
★肌の色や髪、目の色が違うことに嫌味を言われ、クラスの誰も助けてくれなかったとき、
ボクは急にひとりぽっちになったのように感じて、落ち込んだことがありました。
ふしぎなものです。ほかの人と違うのは、ひと目でわかることなのに、
言われると落ち込むのです。本当なら、それを理由に、もっと落ち込んだり、
グレたりするのだと思いますが、ボクはそうはなりませんでした。
オジという、たぐいまれな魂の導き手が近くにいたからでしょう。
彼の慰めてくれる言葉のひとつひとつが、いつも心に届いて、疲れたこころを癒し、
もう一度起き上がって歩き出せる、力を、与えてくれていたからだでしょう。
その感謝をオジに言うと、彼は笑いながら、こんなことを言ってくれました。
「キミに力を貸すことで、自分に言ってあげられなかった言葉を
伝えたいんだと思う。だから・・・私から礼を言うよ」
「私は、人を生かすのが仕事だ。キミも、医者になったとき、
私から聞いて魂で育てた言葉を、Ryoに言ってあげるんだ。
きっと、キミが待っていた言葉は、Ryoが待っている言葉と
同じような気がする・・・」
★戦争の後の混乱の時代、オジはボクと同じような境遇の中で育ちました。
そばに、自分の心を解き明かし、導いてくれる人のいなかったオジは、
自分の心に響く言葉を拾うようにして、必死に生きてきたのでしょう。
ボクに伝えてくれた言葉のほとんどが、小さいころの自分に言ってあげたかった
ものだという事実・・・。
ボクの想像のステージに、背中をまるめて向こうを向くオジがいます。
部屋のあかりが窓の外にもれて、降りしきる粉雪を照らしています。
大好きな読書の手をとめて、窓の外に視線を移したオジに、笑顔が浮かびます。
舞い降りる雪を見ていると、まるでエレベーターに乗っているように、
どんどんと自分が舞い上がっていくように思えるのです。
そんな他愛ないことに、やっと幸せを感じられるようになったころの
少年だったオジの笑顔・・・。
どんな辛いことがあっても、それを耐え抜けば、必ず誰かの役に立つ。
誰かを励ましてあげられる、そんな力になる・・・。オジは、
そう思うことで、辛い運命を乗り越えたのでした。
オジの心をあたためた言葉が、ボクの心をあたたかくしました。
「こんどはキミの番だ。それを待っているRyoに伝えてあげるんだ」
それがRyoのために生きるボクの、未来を確かなものにする、
大いなる力になったのでした。
|