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★海に面した窓辺に並び、紅茶のカップで指を温めながら
リリノエが思い出を語る。
彼女は本当にいつも、気になる人の心を、特に悲しさを
強く思っていた。
「どうして?」「なぜ?」「どうしたら救える?」・・・
そんな彼女が、ボクのトラウマを解決するために、心をくだいたことは
いつもボクの胸に響いてた。
「あそこに何かがいる! 何かわからないけど、恐い…。
今にも飛びかかってくるようで…。こどもの不安が恐怖を生み、
必死で救いを求める…。でも、助けはいつまでもこなかった・・・。
それで、あんた自身は、どうやってそれを解決したんだい?」
もちろん、トラウマの解消は簡単ではない。リリノエが進言し、
クフレイナニが山の男達に頼んで、ボクを鍛えたのだけれど。
「太陽? ・・・太陽が、あんたを救ったって、言うのかい?」
・・・
「あんたらしい解決策だね…。でも、ふしぎだねぇ。あんたの心は
辛いトラウマを作り出しながら、その救いも隠してたんだ。
そうか! それであんたは、Ryoのトラウマの中にもそれがある!
母親への憎しみじゃなく、慕う心があるとわかったんだ!」
自分の心の救いが誰にでも応用できる…とは限らないけれど、
Ryoには通じた。もちろん、牧師であるオジの助言がなければ
そのことにはまったく気がつかなかったのだけれど。
でも、不安や恐怖の中に、自分の心がたくわえている「救い」があることは
疑いもない真実なのだ。
・・・
栄養のある食べ物を食べることは、大切なこと。
そして、自分の中に、その食べ物を栄養に変える『力』を持つことは
もっと大切。そのふたつのものが、セットになって大事なのだと思う。
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