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★育ての父・クフレイナニの青春は、沖縄でイノシシを狩り、琉球空手を基本に
自分流の格闘技を極めるため、世界を旅して回る…それにつきる。
そして、その話はとても面白く、囲炉裏端(いろりばた)で聞くには、最高の
四方山話だった。
リリノエは、ハワイでの青春をほとんど話さなかった。戦争が起こり、収容所で
妹は発狂して自殺、両親も失った。戦後帰ってみると、家には他人が住み、
権利を主張しても、聞いてはもらえなかった。
そのときの怒りそのままに、彼女が背中にイレズミを彫ったのは、18歳のとき
だったという。
でも、夫との出会いの楽しさは、良く話してくれた。クフレイナニは体格も良く
堂々としていたのに、女性は苦手で、まるでデートをしたことのない小学生の
ようだったと笑っていた。結婚してからも、妻には頭が上がらない…
いや、愛妻家だったから、どんなことも広い心で受けとめていたのだろう。
リリノエが好きだった沖縄は、彼女の大切な人が戦死したところらしい。
Ryoの誕生日を決めたとき、リリノエはその人の誕生日をRyoに与えた。
そんな彼女が沖縄や長崎で買ったガラス細工が、今、ボクの窓辺にある。
ブルーはクフレイナニ、レッドはリリノエ、ふたつのビードロはRyoとボク…。
もうレッドとひとつのビードロはこの世を去ったけれど、輝く海の光の中に
四つそろえて飾るのは、楽しいことだ。
そっと、名前を呼んでみた。ぱぁ〜っと思い出が匂いたち、
あの頃の楽しい日々の会話が、潮騒のように聞こえてきた。
注連縄(しめなわ)や門松を飾るよりも、ボクにはこれが新しい年の
祈りのしるしにちょうど良い。
今年も、あと五日・・・ですね。良いお年をお迎えください。
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