海にふる雪・・・・ 空のぼる雲★

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 「クーニャン式、オスメスの見分け方


 『エリカちゃん・・・エリちゃん・・・っちゃん・・・っちゃん・・・ぁちゃん・・・
  ははは! かあちゃんだって! まだ5歳なのに』

 リビングから、またエリカの、クーニャン相手の笑い声が聞こえてる。

 ふしぎな感じ・・・。2,3歳のエリカがそうしてるなら、文句なしにほほえましかった。
 でも、5歳の今は、赤ちゃんぽい、と思っている自分がいる。

 親とは・・・こんなに身勝手なものか。

 エリカはおもちゃをほしがらない。絵本も、靴も、バッグさえも。
 だから、卒園式のときのロングドレスには、狂喜乱舞(死語なの?)だった。

 ステキなお人形さえ、軽く髪をなでて、ほほをつんつんしただけ。
 気に入った絵本は、てのひらを絵本にあてて、す〜っとスキャンする。
 それでいいらしい。

 でも、家についてから、そのお人形につけた名前で「想像遊び」をして、
 ブックセンターでスキャンした絵本を、自分で作りだす。

 まるで、保有しない。だから、彼女の部屋は、いたってシンプル。
 女の子、らしくない。

 女親としては、少し、さびしい・・・かな。

 そんなエリカが、「フィッシュセンター」では、顔を赤らめたことがあった。
 もじもじして、緊張で肩をすくめ、わたしに言うのも照れていた。

 わたしが質問したからだ。

 「どうしてそれが、オスだって、わかるの?」

★年長組になって数日、水ぬるむころ、わたしたちは家族そろって出かけた。
 クーニャンも一緒だった。夫が水族館のスタッフと共同で作った、

 「お出かけハウス」に入って。

 小さなこどもの両手におさまり、重くもなく、軽くもない、厚手のプラスッチク製。
 密閉されていて、中にあるのは、水草とクーニャンとバクテリアだけ。

 水草は、光合成の結果としての酸素を放出。クーニャンは呼吸をして
 水草を助ける。
 
 単純だけれど、必要十分な画期的な世界。

 車のルーフウインドウのように、上にスライド式ドアがあって、
 エリカが指を入れたり、クーニャンや水草を出し入れするのに便利だった。

 お店に1番に入ったエリカは、しずしずと歩いていたが、クーニャンの仲間を
 大勢発見、おたけび(?)を上げていた。

 興奮した顔で、ミニ水槽「お出かけハウス」を突き出して、

 『さあ、クーニャン。どの彼がいいの?』

 少し動き回って、(これ?)・・・(これ?)ときいている。
 あきらかに、金魚を選んでる。

 「さすが、ドクターのおじょうさんですね。きちんと(オス)を見分けてる

 店長の言葉に夫が頭をかいた。

 わたしにはわからない! 金魚の性別判定なんて。
 そんなことより、どうして5歳の彼女にそれができるのかが、
 ふしぎでならなかった。

 「どうしてそれが、オスだって、わかるの?

 『クーニャンが、教えてくれるの。イケメン金魚さんを・・・』

 「それから?」

 わたしだってエリカの母親を5年続けてる。わが子が、
 そんな単純なことだけで行動する子ではないことを知っている。

 誰かにきかれたら、すばやく答えられる理由を、いくつも学んでいるはずだ。

 『ほっぺのおひげがりっぱで・・・それとね・・・』

 このときだ、エリカはみんなにきかれることを恥ずかしがって、
 わたしの耳にそっとささやいてきた。

 店長がエリカの後ろに近寄って、それをきいていた。

 『(あのね・・・おしりの・・・あそこのところがね、女の子より、ほそいの。
 
  それと、女の子の・・・ウンチより、男の子のウンチのほうが、
  やっぱり、ほそいの・・・きゃっ、はずかしい!)』

 (ええっ、あそこの形で性別がわかるの? 
 
          ウンチの太さで?
 
                  女のほうが・・・ウンチが太い!?)






 「この子って、ホントにわたしの娘?」



 「クーニャンが、そう、言ったの?」

 落ち着け、わたしの心臓。これくらいでどきどきして、どうする。

 卒園式で「送る言葉」を読む代表になったエリカ。
 ごほうびにドレスをプレゼントした帰り道・・・。

 そ〜っと指先をぬらし、わたしの手にさわってきたエリカが、
 心を読んだ直後に言った話!

 『あのね、ママ。クーニャンがけっこんしたいって!』

 「クーニャンが、そう、言ったの?」

 『そうだよ。けっこんしきは、春をすこし、すぎたころだって』

 「で、どうやって、おむこさんを、さがすの?」

 『社長さんが、クーニャンを買ってくれたお店で!』

 うん。筋は通っている。

 時々わからなくなる。これは他愛ない、エリカの想像したお話の続きなのか、
 それとも、本当に(クーニャンの希望)なのか。

 そんなときは、わたしが少し疑っていると表情を読んだときは、
 エリカは決まって、笑顔でわたしの顔をのぞき、にこっ・・・と笑った。

 (だいじょうぶ。なんでもきいて?)

 ・・・というわけだ。

 「人間はね、お見合いっていうものをするんだけど、クーニャンもする?」

 『相亲・・・シーアンクィン・・・だめだぁ〜。クーニャンみたいに
  じょうずに言えない・・・。あ、ごめんなさい。春が、あたたかくなったらね』

 「ね、エリカ・・・。今の(シー)なんとかって、もしかして(お見合い)?」

 『うん・・・。でも、じょうずにまねできないから、パパに聞いてね』

 (パパにだって、わからないわよ、中国語のお見合いなんて・・・)

 ためらうのはこういうときだ。どう考えたって、5歳児の作り話を
 はるかに越えているのだもの。
 
 「ねぇ・・・エリカ。どうして春が暖かくなってからなの? 
  今はだめなの?」

 『あのね、暖かい春になると、おとこの金魚さんに、白いおひげがはえてくるの。
 それが、いちばんにあって、りりしい金魚がいいんだって』

 「白い、おひげ!?」

 ねぇ、金魚って、オスにおひげがあった? それも、白いヒゲ?
 いやだ、サンタクロースしか浮かばないよ〜。

 『だいじょうぶ、だいじょうぶ。クーニャンが、じぶんでえらぶから』

 いつものように(にこっ)とすてきな笑顔を見せて、エリカはわたしの背中を
 軽く指先で打った。わたしのクセが、確実に娘に伝わっている。

 (それはそれで、感動〜)と喜んでいたら、エリカがきいてきた。

 『ねぇ、ママ。(りりしい)って、どんなこと?
 クーニャンが、そう言ったんだけど、わたし、わからない』

 「クールビューティのことかな・・・」

 と言った瞬間、エリカはその言葉を日本語にした。

 『クールでかっこいい、イケメンさん・・・なんだね』

 自分の産んだ娘・・・なんて、恩着せがましくこだわっているわけじゃない。
 わたしはふしぎでたまらない。これが、わたしの娘なの?

 わたしがわが子に望むことと「育児日記」に書いた、最高、究極の資質は

 「どんなところに堕(お)ちても、汚れない魂の子」・・・だった。

 でも、現実は、人は、こどもは、ちょっとしたことで傷つき、逃げ出してしまうもの。

 エリカに「ニュータイプ」の力が覚醒するためには、何かの、
 大きな出来事が必要なのだろう。

 わたしは知らなかった。その大きな出来事が
 「わたしの死」にかかわっていることを!

 そのときは、まだ・・・。


 
  「ローズピンクのドレス」


 わたしは、自分が「おいしいコーヒー」を飲めさえすれば、それでいいの。
 コーヒーをおいしくしてくれるすべてが、好き。 大切なの。愛してさえいるわ。
 その「愛」が、わたしをおいしくする。わたしの声を、言葉を、表情を
 輝かせてくれる。

 しあわせを感じているんだもの、なんだってしあわせ色に染めちゃうわけ。

 そのために生きてる。その「生き方」に出会うために、
 わたしは生まれてきたのだもの。

 育てる母のしあわせ感とは、こんなものだ。

 最初は、動くのが、ただただふしぎだった。

 ことばを手に入れてはじめて、それにかわいらしさが加わった。

 今は、わたしの言葉にどんな返答をするか、それが面白い。

 何よりも、家族のしあわせは、「今を喜べること」だ。

 笑って泣いて、はしゃぎまわった友達いっぱい少女の「過去」じゃないし、
 恋にあこがれ、胸をどきどきさせて、結婚・不倫まで匂って来る「未来」でもない。

 平凡さいっぱいの、「今」を。

 しあわせだった「過去」をなつかしむことでも、今をがまんして
 「未来」にしあわせを先のばししなくてもいい。
 
 「今」に、しあわせがあるのだから。 


 エリカが卒園式で「送る言葉」を読むことになった。
 
 けっこう幼稚園では人気者になっていたらしい。それで、

 「エリカちゃんがいい」

 ということになった・・・らしい。

 それで、ちょっと、ごほうびに、ひらひらのついたロングドレスをプレゼントした。
 かなり少女趣味、もちろんわたしの。アメリカの少女が、クリスマスに着るような。

 うすい「ローズピンク」。前から背中にまわる、大きなリボンがかわいらしい。

 わたしがときどき訪れるお店でオーダーしたので、エリカはお店ではカチンコチン、
 緊張しまくっていた。
 
 大人の、それも美しい大人たちに囲まれて、今まで見たこともないようなドレスを
 試着する。

 オーナーはフランス人だし、スタッフにはアメリカ人も、イタリア人もいるし、
 店長はフランスと日本の混血。わたしだって、最初はカチンコチンだった。

 そのドレスが自分へのプレゼントで、卒園式に先輩達の前で着ても良い、
 と知ったときのエリカの言葉を、わたしは一生忘れない。

 スタッフのお針子さんのマチ針に気をつけながら、まっ赤にほほを染めて、
 涙さえ浮かべていたのだ。

 『ありがとう、ママ!
  すてき! おじょうさまみたいだよ・・・。
  みなさん! ありがとうございます。
  すてきなドレスにしてくださって!
 
  こんな春風のような服で出かけたら、
  どんなすてきなことに出会えるのかしら・・・。
 
  もう、期待で、むねが、ふるえてる!

  ドレスを、しあわせ色に染めてくださったから、
  きっと、わたしの毎日も虹の色になるのね。

  ようふくやさんって、季節の色やしあわせの色を
  みんなにお届けするお仕事なんですね!

  すてき・・・毎日、しわせをお届けするなんて・・・」

 オーナーがエリカに近寄り、ひざまづいてその手にキスをした。
 みんなが拍手をして、彩(いろどり)をそえた。

 帰り道、エリカがわたしの手にさわってきた。
 後ろを向いて指先をぬらしてから。

 そっとさわり、わたしの心を読んでから、ほっとしてわたしを見上げた。

 まだまだわがままをきく心の広さはあるというのに、エリカは遠慮している。

 「なあに? 言ってみなさいよ。ごほうびは、ひとつだけじゃないかもよ」

 『ママ、あのね、クーニャンが結婚したいって』!



 『娘がニータイプだったら?』・・・わたし、何だか、変!


 小さいとき、泣き虫で、いじめられっ子で、ひとりでトイレにも行けない
 「おもらし娘」・・・ちょんと小突かれるとこてんと転ぶこどもだった。

 家族からも見放され、しかも、慢性の便秘症。幼稚園時代は辛かった。

 だからこそ、自分のこどもだけは、そんな無責任に育てたくなかった。
 高校生になって、少し強い女の子になったとき、育児日記をつけ始めた。

 笑われたってへへ〜んだ。ただ恋愛や遊びに青春をついやしたって、
 いい母親になんかなれない。そんなことばかりしてるから、無責任な
 育て方しかできない親になるんだ。

 大人は、自分を、「大人」に育てられない!

 だから、こどものことは、青春時代にこそ、考えておかなくっちゃ、
 いけないのだ。


 水族館の仕事を終わって、夫がいつもより早く帰ってきたときだった。
 珍しく、シャワー室を出ると、そのままキッチンにきた。

 「なによ〜。シャツくらい着てきてよ」

 と怒ると、エリカの笑い声が気になって仕方がないと言う。

 「部屋にひとりでいるのに、なんでケラケラ笑ってるんだ? 
  なにが楽しいんだよ。テレビでも買ってやったのか?」

 楽しいのはテレビ。テレビがあると笑いがいっぱい・・・なんて、
 いつの時代のこと?

 夫の時代はそうだったのかもしれないけど、エリカは違う。
 誰かのまねじゃない、自分で見つけた、本当に個性的な遊びのせいだ。

 「ほら、シールゲームが終わったときよ。シールシートをじっと見つめて、
 
 (これ、目にしたい)

 と言い出したの」

 「目? 目って、この目か?」。夫は指先で自分の目をさわってみせた。

 「シールをワンセット、ほしいって。あげたら、機種変更して、使わなくなった
 ケイタイをカメラにして、色々写すようになったの。
 雲とか、砂とか、空とか、森とか、家とか・・・」

 「わからんなぁ・・・。それと目と、どんな関係があるんだ?」

 「少し、ショックよ〜。娘のしようとすることを、まるで理解できない大人に
  なっちゃった・・・って」

 「おいおい・・・それは、違うだろう。まあ、エリカの頭の回転が早くなった・・・
  とは言えるけど」

 「色々写してきて、年賀状用にしか使っていないプリンターをこども部屋に
  持ち込んで、ひとりで印刷してるの」

 「おいおい・・・ジョ−クだろう? 使い方もそうだけど、コードの接続や
  印刷モードの変換なんて、無理だろう?」

 「でも、完璧にこなしていたわ。あとからきいたら、ゆりこさんに
  教えてもらったみたい」

 「クリニックの、まさか、あの子に?」

 「きいてみたらね、

  わたし、一度しか教えていません。それも、ぐだぐだになりながらでしたけど。

 だって」

 「そりゃあそうだ。彼女、機械の接続系、まったく苦手だからな。なら、どうして?」

 「エリカったらすごいのよ。プリンターを見て驚いた。接続する部分に、
  同じ色のシールがはってあるの。同じ色のシールどうしをつなぐためにね。
  それも、先につなぐのは「緑」。次に「オレンジ」、次に「赤」・・・」

 「信号か!」

 「そう、信号順! それから、赤→白→黄色」
 
 「なんだ、それは・・・」

 「歌よ、チューリップの・・・。歌詞だから、順番が変わることはない。
  まいったな〜」

 「ほんとうだ。怖いくらいだ」

 「ね・・・笑わないで聴いてね。すごくおかしなこと言うから」

 「驚かすなよ・・・。ボクの子じゃないなんて言うなよ」
 
 「バ〜カ。・・・わたし、エリカって、(ニュータイプ)かなって、思うの!」






 『楽しい笑い声の子』

 エリカは本当によく笑う子に育った。

 話を聞きながら、絵本を読みながら、自分ひとりの空想の世界にひたりながら、
 声を上げてケラケラと笑っている。その声をきくと、

 どうしてそんなにおかしいの?

 と、聞かずにはいれなくなるほど、楽しい笑いだった。

 わたしが高校のときに書いた育児日記の中に、

 「シールをはがせる子」

 という項目がある。

 最初は、目を閉じさせておいて、少し大き目のシールを手にはり、
 目を開けさせて、はがさせる。そう、小さな子の運動機能を育てる単純なものだ。

 からだのあちこちにはって遊ぶ。手が終わると、顔。腕。ひざ、ふくらはぎ、足・・・。

 これは、「おふろゲーム」にも発展した。
 
 背中にはって、それをはがさせる。

 肩甲骨(けんこうこつ)の間になんかはられたら、大人でもはがせない。

 手のゲームでもよく遊んだ。

 てのひらを目の高さに固定して、親指を鼻につける。
 その上に、お手玉を乗せて歩き、おじぎをしてお手玉を落とす。
 じゅうたんにもお手玉が置いてあって、それに当てるとビンゴ!。

 かくれんぼも活用した。自分が隠れるのじゃなく、自分の分身、
 ぬいぐるみだったり、指人形。ビー玉、おはじき。マッチ棒のときもあった。

 最初の頃は、エリカが隠してあるに場所に近づくと、大げさにあわててみせた。

 「ああっ・・・」とか、「もうダメ・・・」とか、声を出したり、目をおおったり。

 わたしのおかしな声が楽しいのか、前に行ったり、さがったり、
 近づいたり、離れたりして、隠し場所を特定していた。

 ドイツに行ったときに買ってきた「秘密のボックス」は、小学生になっても
 よく遊んだ。これは遊びというより、「なぞ解き」の訓練だった。

 それは、文字つみ木のようなもので、いくつかつなげると「言葉」ができる。
 それが、わたしがしかけた「言葉」と同じだったとき、ファンファーレが響いて、
 箱が全部開く・・・というもの。

 正解したときは、箱からごほうび。キャンディーだったり、ヌガーだったり。
 幼稚園時代には、そのころ気に入っていた「ままごとセット」のフィギアを
 いれておいた。

 そんなこともあって、エリカは「なぞ解き」の大好きな少女に育っていった。

 色々な遊びを知っていて、それに「なぞなぞ」も得意。

 わからないことから逃げないで、笑顔でチャレンジする。

 そんな女の子になってほしかった。それをさりげなく練習させるのに、
 ゲームが最高に便利だったのだ。



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