Ryo物語再び

[ リスト | 詳細 ]

=『Ryoの物語』を書き直していただきました。
 ボクの日本語では伝わらなかったものも、
 表現にスピードが加わったせいか、読みやすく
 里帰りしました。より専門的になっています。=
記事検索
検索

全1ページ

[1]

 「幸せの食卓」

 
★その日は朝から空が澄み渡り、昨日の夜の嵐がウソのような
  始まりだった。

  ケラーは目を閉じたまま隣りに手を伸ばした。
  妻をさぐる・・・、それはいつもの習慣だったが、妻はもう
  ベッドにはいなかった。
  シーツが冷たい。起き出してかなりの時間がたっているの
  だろう。

  自分に気を使ってくれたのか、寝室のカーテンは閉めたままに
  なっていた。
 
 ベッドの中で (う〜ん) とからだを伸ばし、一気に飛び起きる。
 サッとカーテンを開けると青い空。マノア・パロロが 太陽の光を
 反射させ、きらきらと輝いているのがきれいだった。
 
 目の前の小学校には、そろそろ生徒達が登校してくるの
 だろうか、アロハを着た先生が門のそばに立っていた。

 バスルームに行き、さっとシャワーを浴びる。ひげを柔らかく
 したところで、シェービングを始める。
 なんとなく視線を感じてカガミの中をのぞくと、娘のルイカが
 珍しいものを見るように、父親のあわだらけの顔を見上げて
 いた。

 「おはよう、ルイカ。おじょうちゃんも おヒゲをそりましょうか?」

 シェービングクリームをひと押しして、ピンポン玉ぐらいのあわを   娘の鼻の頭につけた。
 いきなり鼻にのった白いあわに興味をしめし、ルイカはそれを
 そっと吹いた。小さなアワがふっと飛んで、鼻の上のかたまり
 ぷるるんと揺れた。
 
 きゃきゃっと笑って、娘はからだをくねらせて面白がった。
 
 刃がついていないことを確認して T字のカミソリを渡す。
 ルイカは父親を見上げ、そろそろとまねを始めた。
 
 ケラーは楽しくなって、キッチンから流れてくるジャズにあわせ、
 お尻を振りながらヒゲを剃る。
 
 そのかっこうが面白かったのだろう。
 ルイカが隣りに並んで立って、同じように腰を振りはじめた。

 洗面台にあごも乗らない小さな娘が、はじめてのシェービングを
 楽しんでいる。
 
 ケラーはニヤリと笑って、娘の顔の前にスタンド・ミラーを置いて
 やった。
 
 ノリのいい娘だ。ポーズをとって シェービング・ダンスを
 キメていた。
 
 「ルイカ、パパとバスルームで,何をしていたの? 
  とっても楽しそうで、ママもお料理やめて飛んで行きたかったわ」

 ケラーは(しまった…)と思ったが、ルイカは喜んで母親に
 報告した。娘の口を押さえ込むわけにもいかなかった。

 「あのね、あのね、あわあわしゃぼん玉ダンス!」

 「あ〜ら、とっても楽しそうね。こんどママにも教えてね。
  ルイカとパパとママと、3人で踊りましょう」

  カミソリを持って顔をこすったなど言われては、やっかいな
  ことになる。 
 
 (ルイカ、それ以上しゃべるな…)
 
 ケラーが肩をすくめたとき、電話がなった。
 チャンスとばかりに席を立つ。

 「黄色いビートル? 倒産したレストラン・オーナー
  ジャクソンの愛車じゃないか。
 
 それがなんでヘッドの ふもとにあるんだ…。
 うん、わかった。分署に出る前に,、ヤツの家に寄ってみる」

 ケラーは上着に腕を通し、カガミ越しに妻に話しかけた。
 
 「ケイティ、事件じゃないと思うが用事ができた。
  そろそろ出かけるよ」

  「あら、しっかり食べたの?」

 「君の料理の腕が上がっているから、ついつい食べ過ぎてる
  くらいだよ・・・。
 ルイカ、パパは行くよ。ママのこと、ちゃんと守っててくれよ」

  「は〜い。しゃぼん玉ダンス、教えてあげる!」

 ケラーは二人にお出かけのキスをして、車に乗り込んだ。
 
 ハワイは・・・どこの国も同じことだが、「常夏観光地の顔」が
 すべてではない。オアフ・ワイキキビーチも元はといえば、
 タロイモ栽培の湿地だった。そのせいで「蚊」が大量発生
 するために、リゾートの繁栄を願って、オーストラリアから
 きれいな砂を運んで造成したものだった。
  
 そして、成功した少数の者たちがいれば、小さな部屋に
 一家6人が雑魚寝する、貧しい人たちも大勢いた。
 
 雨もりがあれば、夜通しみんなで走り回る・・・、そんな
 暮らしが普通にあった。
 
 だから、そんな彼らが住む通りには、常に犯罪の影が
 ちらついていた。
 
 ケラーは車を走らせながら、サンバイザーからサングラスを
 はずしてかけた。
  
 事業に失敗したジャクソン一家に、貧乏生活ができるのか、
 それは疑わしいと、ケラーは思った。
 
 一度でも上流の生活を楽しんだ者は、貧しさは恥と思う
 ものだから。

『限界の中の希望』

 
 がまんできなくなって、Ryoは、腕にツメをたてるのをやめた。
 いつもは「わき腹」を責め、「ほほ」をつねれば終わるのに、
 その夜はダメだった。
 
 もう何時間、のどの渇きをがまんしただろう。
 口の中が乾き、舌が張りついている。
 無理に動かすと、やけどのような痛みが走った。
 
 部屋にあかりはなかった。
 上から板が打ち付けられていて、スイッチは動かせない。
 
 ドアは廊下から押さえられ、開けることは難しかった。
 大人でもやっとのライティングデスクが、古本を山のように
 積まれて そこにあった。
 
 しかし、Ryoは、屋根裏部屋の暗闇から、簡単にぬけ出した。
 身近にあったコースターを使って。
 
 この生まれ持った賢さが、ギリギリのところで
 この子を支えていたのかもしれない。
 
 
 
 
 人生にも「季節」があるとしたら、あなたは今、どこに
 いるだろうか。
 
 「春」という名の季節に生まれ、今、青春という名の「初夏」を
 懸命に生きているだろうか。
 
 あるいは「初夏」を過ぎて、「夏」を生き、人生の「秋」を
 迎えているかもしれない。
 
 人生の季節が穏やかな「春」に始まり、さわやかな「初夏」から
 生き生きと過ごす「夏」を生き、美しく彩られる「秋」を
 迎えるのは、幸せなことだろう。
 
 生まれてすぐに、いきなり人生の「冬」に投げ込まれる子もいる
 と・・・気づいたなら。
 
 これは、両親を一度に失い、里親の虐待を受けながらも必死に
 トラウマを乗り越えた少年の物語である。

全1ページ

[1]


.
愛理
愛理
男性 / AB型
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
検索 検索

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

標準グループ

Yahoo!からのお知らせ

過去の記事一覧

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト『さとふる』
11/30まで5周年記念キャンペーン中!
Amazonギフト券1000円分当たる!
お肉、魚介、お米、おせちまで
おすすめ特産品がランキングで選べる
ふるさと納税サイト『さとふる』
いまならもらえる!ウィスパーうすさら
薄いしモレを防ぐ尿ケアパッド
話題の新製品を10,000名様にプレゼント
いまならもらえる!ウィスパーWガード
薄いしモレを防ぐパンティライナー
話題の新製品を10,000名様にプレゼント

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事