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老化現象としては、一般的に身体の生理機能低下があらわれます。
たとえば
視力低下、
聴力力低下
筋力低下
思考力低下
記憶力低下 等等
その他、ありとあらゆる生理機能は青年期に比べて衰えると言えます。
現代医療の進歩のおかげで、それぞれの生理機能改善の治療方法、補助方法が開発され、
高齢者の生活機能改善に役にたっているのは事実です。
しかし、人間としてこのように身体の生理機能が低下することは悪いことなのでしょうか?
むしろ自然の摂理を考えた場合、理にかなっていることではないかとさえ感じる時があります。
私なりの持論に友人の医師仲間も
「そうだよね・・・・」などと共感を示してくれる者もおります。
年老いて、視力が低下すれば、若い時に美人・美人ともてはやされた過去の名声がすっかり消えうせた
自分の顔を鏡で見てもそう絶望することもないでしょうし・・・
配偶者の顔や様相が老いていても、ぼんやり見えればそう気にもならないでしょう。
娘や嫁や孫達が
「おばあちゃん(おじいさん)は、年老いてぼけているから・・・・」
とか、悪口を言われても、聞えにくいためそう気に留めることもなく、大きな問題にはならないで済みます。
筋力が衰えているので、引ったくりにあっても追っかけて行くことは困難だし、
腕力で、相手を殴り返すこともできないでしょう。
でも、もし筋力が衰えていることを忘れたり、たまたま筋力が保たれていて、
走って追いかけていったとしたら、その他のもっと深刻な事態が発生することが充分懸念されます。
たとえば、心肺機能が低下しているので、狭心症や心筋梗塞が誘発されたり、
急激な血圧上昇が起こり、脳出血が誘発されたり、
このように、引ったくりに物を盗まれるよりモット重大な生命の危機を招くことにもなりかねません。
何よりも救われるのは心が鈍くなり、記憶力や思考力が低下していくことです。
他人に何か言われても、あまりよくわからないので
ただ、ニコニコ、ウンウン。と言っていれば
愛想のよいおじいさん(おばあさん)と近所の評判を勝ち得ます。
記憶力・洞察力・思考力・推理力等が若い頃と同じだけ保たれていた場合は悲劇です。
100年近い間に蓄積された知識・感情の情報がすべてがリアルに日々の生活の中に生きているのですから苦労が何十倍もあり大変です。
目の前に起こるすべての事象に対して、過去の膨大な記憶と感情を思い出し、且つ、時代の流れと
整合性をして判断したり、思ったりしなければならないからです。
もし、家のものとの揉め事で
「君は、60年前にこのような事を言っていたではないか!
ましては、75年前はXXOO だったくせに・・・・」
等といわれても、相手はもちろん覚えているはずはないので、噛み合う訳はありません。
私の遠縁の明治生まれの大祖父はある財閥の本社社長まで勤めたほどの人物です。
今も頭脳明晰・知力・記憶力・記銘力とも衰えていないためある意味では苦労が多いのかもしれません。
彼は、私が会いに行くと常に
今の社会情勢、日本の経済状態、についての憂いを投げかけます。
その内容は、テレビ等の評論家顔負けの分析に基づくものなのでいつも驚かされます。
そして、いまだに自分が社長だった時代の会社経営についての反省を語ります。
それも、30年間前の自分の判断が正しかったのか、どうか
30年後の現在の状況を見て緻密に分析をしています。
時代の流れに流されてしまったのは何故かと熱く問いかけます。
もちろん、家の者たちはそのような大祖父をけむたがります。
そんな大祖父の気持ちを慰める唯一の生き物は、妻でもなく、子供、孫でもなく、
迷子になって迷い込んだ一匹の愛犬だけです。
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