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音楽徒然草

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久々の音楽ネタ。オーストリアの作曲家、アントン・ブルックナー(1824−1896)は、生涯に9の交響曲を書いた。習作と目される、OO番(ダブルゼロ)と0番の二曲も含めると、全部で11曲ということになる。さらに、改訂癖のあったブルックナーの交響曲には、幾つもの異稿が存在する。例えば、4番の場合、初稿と最終稿では、スケルツォが全く違う曲だったり、終楽章もかなり違う。8番の初稿は、第一楽章がフォルティシモで終わるなど、ハース版やノヴァーク版に慣れた耳には、あっと驚きの相違点が幾つもある。なお、9番は未完である。

音楽学者じゃないので、これらの版の相違をくどくど述べる力量は私にはないが、先だって、新宿のとある中古CDショップに寄ったら、ブルックナーの交響曲全集が、たったの千円で売っていたので、つい買ってしまった。冒頭で述べた、0番と、声楽曲のテ・デウムも含めて、CD11枚組の全集が、千円なのである。これは、ネットの某通販サイトでも、1380円だかで売っており、価格破壊もここまで来ると、ちょっと凄い。これは、もともと、ドイツのレーベルから一万円を超える値段で売られていたもので、実際、そちらのほうも、まだ販売されている。同じ内容の音源が、かたや千円、かたや一万円で、併存して売られているのである。両方聴き比べたわけではないが、音質に差がないのなら、普通なら前者を買うだろう。演奏者は、ロバート・パターノストロというイタリア系の指揮者であり、日本でも東京フィルハーモニー交響楽団などを指揮して、ヴェルディの歌劇を録音したりしている。オーケストラは、Wurttembergische Philharmonie Reutlingenである。耳慣れないオケだ。

いくら、千円とはいえ、内容が聴くに堪えないものなら、持っている意味がない。結論から言うならば、一応ちゃんとしている。録音会場は、Basilika Weingartenという教会なのだそうだ。ブルックナーの交響曲は、俗に「オルガン的」と呼ばれるように、教会のようなライヴなアコースティックのほうが曲想にあっているのだが、録音エンジニアとしては、超大すぎる教会特有の残響をどう処理するかが大切になる。この場合、かなりうまくやっているという気がする。残響を計算に入れたのか、マイクがかなり、オーケストラに近い位置に配置されており、オケの直接音と残響のバランスは悪くない。俗にブルックナーパウゼと呼ばれる、総休止のときに、音が教会内に響いて減衰していくのだが、これがなかなか心地よい。

オーケストラの技量はそれほどではなく、編成も小さめのように思うが、豊かな残響が、それらの弱点をカヴァーしている。しかし、それゆえ、音楽の細部が、マスクされて、聴きとりにくいようなところは当然出てくる。金管も、部分的に押し出しが弱いし、弦もやや合わなかったりするが、大きな問題ではない。演奏は、後期の作品のほうが、出来が良いようである。特に、7番や8番は、水準以上であり、聴きごたえがある。それと、3番のスケルツォ(4:45秒あたり)で、教会の鐘の音が聞こえるのが面白い。9番では、さすがにオケの限界が露呈しているが、それは現代の機能的なオケの馬力に慣れているせいかもしれず、これはこれで妙に安らぎを覚える演奏で、ブルックナー自身は、意外とこんな風な演奏を好んだかもしれない、などと思ったりする。

これまで、夥しい数のブルックナー交響曲録音が生み出されており、個々の作品についてみれば、この全集の演奏を超える録音は他にもあるが、演奏のコンセプトには統一性が見られ、演奏も録音も、一応水準をクリアしており、これが千円というなら、間違いなく、クラシック音楽録音史上、もっともコストパフォーマンスの高い全集ということになるだろう。一万円ならそれほど売れるとは思わないが、3000円〜5000円のレンジなら買うという人はいくらでもいるはずである。それを、1380円で売るというのは、買うほうが、心配になるほどである。

ついでだから、私が聴いた範囲での、ブルックナー交響曲のベスト盤をあげておきたい。もとより、たった一つだけ選ぶのは、無理なので、5番はふたつ。

0番 朝比奈隆 東京都交響楽団 Fontec
1番 朝比奈隆 大阪フィルハーモニー交響楽団 Canyon Classics
2番 カルロ・マリア・ジュリーニ ウィーン交響楽団 Testament
3番 セルジュ・チェリビダッケ ミュンヘンフィルハーモニー管弦楽団 EMI
4番 ギュンター・ヴァント ベルリンフィルハーモニー管弦楽団 RCA
5番 朝比奈隆 新日本フィルハーモニー交響楽団 Fontec
   オイゲン・ヨッフム アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 Tahra
6番 セルジュ・チェリビダッケ ミュンヘンフィルハーモニー管弦楽団 EMI
7番 オイゲン・ヨッフム アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 Altus
8番 セルジュ・チェリビダッケ ミュンヘンフィルハーモニー管弦楽団 EMI
9番 カルロ・マリア・ジュリーニ ウィーンフィルハーモニー管弦楽団 DG

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