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オーストリアのインスブルック生まれの指揮者で、NHK交響楽団の名誉指揮者、オトマール・スィトナー氏が逝去されたとの報に接しました。87歳であったとのことです。ここ10数年健康がすぐれず、表舞台から姿を消しておられましたが、昨年の若杉弘氏、ホルスト・シュタイン氏の逝去に続き、日本楽壇にとって重要な人物がまた一人世を去ったことになります。私の世代ですと、NHK交響楽団と言えばやはり、ウォルフガング・サヴァリッシュ、ヘルベルト・ブロムシュテッドあたりをどうしても思い出します。前者は、引退されましたが、後者はまだ健在で活躍しておられます。 実は、私は、スィトナー氏と接近遭遇したことがあります。あれは、もう20年ほど前のことでしょうか、仕事でホテルオークラを訪ねたことがあるのですが、エレベータに乗りこんだら、中にスィトナー氏がいて面食らったのです。おそらく、近くにあるサントリーホールで、公演か何かがあったのだろうと思います。彼は、すぐに別の階で降りましたし、別に話をするでもなかったわけですが・・・ スィトナーは、ベルリン国立歌劇場やドレスデン国立歌劇場等、専ら旧東ドイツで活躍し、英語圏ではあまりその功績が知られていませんが、NHK交響楽団との関係が深かったために、日本の音楽ファンには旧知の存在です。彼の真骨頂は、独墺系の音楽ですが、ドヴォルザークの交響曲の全曲を録音した、数少ない(唯一?)の独墺系の指揮者ではないかと思います。マーラーやブルックナーの作品とも相性が良かったと思うのですが、いずれも、それほど録音に恵まれたという感じはしません。テンポは概して速めで、颯爽且つ多彩なニュアンスを感じさせる、センスの良い音づくりが印象的でした。NHK交響楽団とは、モーツアルトの交響曲や、R.シュトラウスの「英雄の生涯」の録音が以前あったと思います。日本のデンオンレーベルと、シューベルト、ベートーヴェンの交響曲全集を録音していますが、これらは今でも容易に入手可能です。 ご冥福を祈ります。
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