錯乱気流

無茶苦茶忙しいやんけ・・・

「平和=反戦」関連

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この度の、尖閣諸島問題が引き起こした短期的問題としては、まず、国民世論の全体的な右傾化と、日米同盟への依存強化、そして中長期的には、国民世論のかなりの部分が改憲の方向に流れた可能性が高いということが指摘できそうです。特に、米軍基地反対運動に関しては、極めて困難且つ複雑な状況が現出した申せます。私は、「中長期的に中国脅威論にどう対処するかが重要である」と以前から思っており、そういう発言色々なところでした記憶がありますが、妙な形でそれが現実となり、今後の展開を危惧せざるをえません。もうひとつの問題は、リベラル世論(共産党員をも含む)を二分したということがあります。これは、主に日本共産党のこの度の見解に関係することです。なぜなら、この度の日本共産党の領土見解は、1972年に党が公にしたものが、議論のプロセスを経ず、そのまま出てきたに過ぎないものであるからです。それが証拠に、これに関しては、私の周りにあまたいる末端の共産党員の間でさえ意見が分かれている。私が、コンタクトした、某議員の秘書は、「私もこの度の見解には違和感があるんですが、ちょっと私からは言えないので、むしろ有権者の皆さんのそういう意見をどんどん党にぶつけていただきたい」とまで私に申しました。さらにある議員秘書も、「方法としては、共同統治や管理もありうると思うのですが・・・」と言うようなことを申しました。ですが、このような見解を、公式に個人の立場で発表出来るような体制には、日本共産党の場合なっていないわけです。その意味では、中国共産党に似ていなくもありません(笑)。もっとも、ほとんど意見らしい意見を言わず、いたのかいなかったのかわからなかった社民党よりはマシとは言えるかもしれませんが。そもそも、どの政党が何を主張しようが、それはその党の自由ですが、今回の日本共産党の領土見解の「打ち出し方」は、やはり大きな「誤解」を生んだ、もしくは「しこり」を残したというのが私の印象です。その上で、今一度、日本共産党のこの度の領土見解のどこに問題があるのか、私見を述べてみたいと思います。
 
共産党の担当者と話してみた結果、特にそう思うのですが、ある種の循環論法の誤謬に陥っているのではないかということです。つまり以下のごとくです。
 
A1.物事がこじれるのは、日本政府が外交的な理を通していないからである。
Q1.理を通しても、物事がこじれることはあるでしょう。
A2.その場合、外交的な理を通して解決する。
Q2.それでも、抜き差しならない事態になることはあるでしょう。
A3.その場合でも、話し合いで外交的に解決する。
Q3.それでも解決しない場合はどうしますか。
A4.あくまで外交的解決を目指す。
 
と、こういうことになるわけです。つまり、A1の前提の根拠がA4であり、A4を支える根拠がA1である。つまり、相手が頑として立場を変えない場合、この議論はどこまでも平行線で、同じところをぐるぐる回るということです。そこで、ぐるぐる回るだけならまだよいのですが、相手が譲歩せずに、強く出た場合を仮定しますと、事によると「法理は我にあり。イケイケ」となる危険性を孕んでいるわけです。つまり、「国際法的な理」とやらが、「錦の御旗」になる可能性を否定できない。つまり、「平和的に」「話し合いで」という要素と、「毅然」「占有」の両者を架橋する媒介Xが欠けていて「危ういな」と思わせるものがあるわけです。なぜ、「危うい」と感じるかというと、やはり、過去の国家間紛争が、国民国家の独善的主権行使や領土帰属問題等によって引き起こされてきたという歴史的事実があるからでしょう。人類は、そこを乗り越えようと試行錯誤を重ねてきた。フォイエルバッハは『キリスト教の本質』の中で、「我々が神を理解するのは、神には最も人間的なものがあり、われわれ人間には最も神的なものが宿るからだ」と論じていますが、そういう「止揚」の視点がそこには全く見受けられないわけです。それどころか、事によると、本当に抜き差しならなくなったときに、「ヤレ、ヤレ」になってしまう可能性さえあります。「力の解決も必要」とする自民党の立場と違うのだと言いながら、本質的には事実上同じ議論をやっているとさえ言えます。「法」や「理」というものを無視することは出来ず、それらは極めて重要なのですが、それだけで全てが解決するかというと当然そうはいかないわけです。結局、人間のやることですから。たとえば、尖閣諸島が日本の領土であるということは国際法上も明確というのは、あくまで記録上の話です。しかしながら、日清戦争期に編入された事実はあるわけですから、植民地政策と「全く」無関係と言うのは、やはり強弁のそしりを免れないと思います。特に、抗日教育を受けてきており(それが、中国共産党政府による洗脳であろうとなかろうと)、中国人の立場からすれば「割り切れない」ものが当然出てくるでしょう。法律は白黒をはっきりさせる。つまり「勝訴」「敗訴」というように、勝ち負けは決めますけれども、勝者、敗者に残る心の問題までは解決しないからです。共産党のこの度の議論に一種の危うさを感じるのは、実定法的な態度が強すぎると感じさせるものがあるからです。私のような人間は、そういうところに敏感なので、これには個人差があるかもしれません。ですが、法で物事の白黒つけても、法律では「割り切れない」変数がどうしてもあり、これが世論や国民感情のようなものであれば、その実定法的把握と解決は極めて困難なものになる可能性があります。つまり、言いたいのは、日本共産党の見解は間違いとは言えないが、問題があるということです。もちろん、実際、物事がこじれそうになれば、臨機応変に対応することになるでしょうけれど、上にも書きましたように、「理」と「法」だけに頼ろうとすると、それが「錦の御旗」になりかねないわけです。少なくとも、現時点での日本共産党の見解をみる限りでは、後者に傾く危惧を払しょくしきれません。なぜなら、A1からA4が、一貫して実定法的領土主権の論理に依存しているからです。つまり、革命は、法的権威の無批判な依存や打倒ではなく、実定法的授権を離れて、法的権威を確立するところにある。そういう視点が、日本共産党の見解には全く見えない。およそ、「共産」を標榜する政党とは思えません。まあ、その意味では、中国共産党も同じですが。
 
領土主権を超えるという考え方は、何もそんなに突拍子なものではなく、様々な問題を抱えながらも、もう既にEUはあり、ASEANもあるわけです。だいたい、日中双方とも、尖閣諸島の帰属問題をごちゃごちゃ言い出したのは、あの領域に海底資源があるということが判明した1970年以降からであり、それ以前は、両国の教科書にすら載っていなかった(笑)。日本共産党だって、1972年以前に、党として公式にこの問題について発言した記録はないわけです。結局、どちらさまも、今さら尖閣諸島が「俺のもんだ」と言い張るには、ちと後ろめたいものがあるのではないでしょうかねえ。
 
折も折、四川省を中心に、反日デモが起こっているようですが、日本での中国抗議デモに呼応した動きのようです。まあ、一種の喧嘩ですね。別にデモをすること自体は結構ですけど、ナショナリズムということで言えば、中国も日本も五十歩百歩でしょう。だって、中国は、今のところ、自国のナショナリズムをかなり強固に抑え込むことが可能です。そういう政治体制ですから。だから、私は、中国が民主化されれば、日中間の緊張が緩和されるなどと言う意見は、相当な楽観論で、むしろ民主化要求が増大する時が危険とさえ思っています。日本のナショナリズムは、基本的には野放しなわけですが、あまり表立っては盛り上がらない。私は、日本でも有数の右派大学で教鞭をとっていますが、私が担当している学生で、日本に尖閣諸島が帰属することを歴史的に説明出来る学生は皆無です。皆無どころか、彼らは盧溝橋事件さえまともに知らない。一方、私は別の大学で、中国人20数名を含む留学生必修クラスをふたつ担当していますが、中国の学生は、真面目な学生であればあるほど、抗日教育の影響が効いているから、結構そのあたりには詳しい。もちろん、全く興味のない学生もいますが。あと、彼らのほとんどが、そのあたりのことには詳しくても、物事は穏便に解決すべきと思っていることです。そりゃあたりまえです。彼らは、日本で学んだ知識や言語の力を駆使して、両国をまたにかけて仕事をしたいと思っているのですから、日中の喧嘩から得るものがないのは、彼らだって知っているわけです。
 
参考リンク:

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中国の韓寒という作家がブログで「反日デモは無意味」と言って話題だそうですね。これとか、記事の中国人留学生の話とか、心強く感じます。「雇用」も「景気」も大事ですけど、あたしはやっぱり戦争が一番厭。

2010/10/17(日) 午前 2:58 ゆまりん

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まあ、10億を超える中国人の中で、数万人がデモ行進しようが、どうということはないですからね。それにしても、日本の左派政党は終わりましたね。この度の問題で、「尖閣は日本の領土」以上の事は全く言えないで、ダンマリ。赤旗なんか主張にも載せない。これほど重要な問題に、多角的に踏み込んだ発言が出来ない左派政党なんか、「鶏肉のない親子丼」みたいなもんです。

2010/10/17(日) 午後 0:22 och**obor*maru

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101017-00000041-jij-int
反日デモのニュース……。

2010/10/18(月) 午前 10:07 ゆまりん

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ああ、中国のデモは、一定以上のケースが官製です。だって、彼らは引き揚げ用のバスまで用意しているし。戦後の、日本共産党と学生自治総連合の関係みたいなもんです。ただ、この度は、官製のデモに、一般の暴徒が加わり、コントロール不能になったようですね。なかなか苦労してますよ、中国共産党もいろいろと。小規模なら抑え込めるんですがね。YahooやGoogleの中国版でも、デモのニュースは流れていませんね。日本の右翼が中国大使館に集まったということは出ていますが。

2010/10/18(月) 午前 10:30 och**obor*maru


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