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今年は、某大学で留学生必修クラスというのをふたつ担当していて、一応日本文化を教えるということになっていて、一つは韓国・中国の学生総勢23名(内中国人が21名)、もう一つは、韓国、台湾、中国、マレーシア、香港、スリランカ、ネパール、フランス、タイ、カンボジアの混成で、33名。特に、中国人がほとんどのクラスでは、何かと尖閣を巡る話題にどうもなっちゃう。「先生、今中国の内陸で日本語しゃべるとまずいですよ」なんて、ある中国人学生が言うと、笑いが起こる。こちらのメディアの報道では、中国内陸部での反日デモは中国では報道されてないなんて言うけど、日本にいる学生には当然筒抜けで(笑)、彼らはメール等で家族や友人に教えているから、本国の若者が知らないなんてことはないわけです。
一方、日本を代表する親米右派大学でも教べんをとっているわけですが、ここも外国語学部があって、中国語は看板だし、色々な理由で中国や韓国の学生も多い。こちらでは、日本人の講座をふたつ担当しています。それで、こちらでも領土問題を討議することがあるわけですが、日本人と中国人の学生を比べてみると、後者のほうが「まとも」です。別に、彼らを贔屓目にみているわけじゃないですよ。中国は、一党独裁で言論の自由がないなんて言うけれど、彼らは「政府」と「国民」の区別がちゃんとついているし、何より、近現代史に関する知識は、日本の学生のそれをはるかに上回っていて、自国のこともよく知ってます。もちろん、中国共産党は「抗日」がきっかけで成立した政党だし、それが今でも看板だから、彼らはその影響を当然受けているけれど、バリバリに反日かというとそんなことはない。ほとんどの学生が、中国各地で起こっている反日デモを、相当に醒めた目で見ています。私が、「私は、左派と思われていて、日本の政府を良く批判するので、『反日』と呼ばれています」と彼らに言うと、上海から来たある女学生が「中国でもそうですよ。共産党政権を批判すると、『反中』と呼ばれます」と答える。もちろん彼らは、「五・四運動」も、「盧溝橋事件」もよく説明出来る(もっとも、天安門事件のことは学校では教えられないみたいだけれど、私が言っちゃう^^;)。別に、自治区の独立を支持するような発言が公の媒体にでも載らない限り、大使館に「お茶に呼ばれる」ようなこともないですからね(笑)。翻って日本の学生はというと、な〜んも知らん(笑)。この度の騒動に関しても無関心か、せいぜい「中国ウザイ」程度の反応しかできない。
さて、「外交とは、主権国家どうしが対等の立場で行うものだ」なんてことを訳知り顔で言う、左派(!)がいたりするわけですが、外交ってのは、国家の権利行使主体たる政府だけがやるもんじゃないわけです。私は、「権力政治」というリアリズムの観点からだけでなく、企業、メディア、学生、教員、旅行者等の全ても含めて外交というものを考えないと、物事を見誤ると思います(特に、21世紀の今日では)。 だから、私も教員、研究者という立場で、「外交」に関わっていると言って良いわけです。私が受け持つ中国人学生をはじめとする外国人学生にとって、私という存在は、日本を知る窓口の一つでもあるわけです。他にももちろん色々窓口はあるわけで、それは日本人の学友でああったり、バイト先の上司であったり、日常接する日本のメディアであったりするわけですが、それらに劣らず、「私」という存在は重要な窓口であるわけです。私の専攻は日米文化交渉史ですから、多くの知己がアメリカにいるし、彼らとは長年教育交流活動をやってきていますから、ささやかながら、日米交渉のパイプの一翼を担って来たという自負があります。そこに、中韓やその他アジア諸国の学生が加わったことは、喜びであっても、負担などではありえません。そういう意識が保守派に希薄だというならともかく、リベラル左派も、排他的な「国民国家」という原則から一歩も出ようとせず、多分に内向きなのはいかんともしがたく、私は、この度の領土問題で、左派政党にはつくづく幻滅したと言わざるを得ません。
およそ日本の公党であれば、尖閣にせよ北方領土にせよ、「日本の領土です」と言わなきゃしょうがないのはわかりますが、その正当性をひとまず認めたとしても、そっからいきなり教科書的に「外交的・平和的に解決すべきです」となる。「日本の領土です」という排他原理を掲げた時点で、こちらとしては「では、『外交的解決』とやらがどうしてもうまくいかない場合どうするのですか」と問わざるを得ないでしょう。そうなると、「自衛隊の派遣も辞さず」「日米同盟を深化させる」「改憲する」という保守政党の議論のほうが、現行体制の延長線上で物を言っているだけに、「わかりやすく、且つ、安心」でき、国民世論がそちらに動いていくのは見易い道理でしょう。それと、左派政党−特に共産党−に欠けていると思える視点は、文化の「脱中心化」という概念です。これがほとんど欠落しているので、彼らの主張は、「反戦」というよりも、ナショナリスティックな「反米」に傾く嫌いがある。しかし、これは反省したとのことで、HPにその旨記載されてますが、果たしてどうでしょうか・・・。それと、どの国にせよ、ナショナリズムが実定法的にコントロール出来るものではないことも頭に入れておく必要があるでしょう。
領土問題に関する、私なりの主張はありますが、色々なところで言ったので、もう疲れた(笑)。
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明日、赤旗まつりにお気楽まんまんで行く私ですが、NANAMIさんが仰っていること、何となくわかります。
で、日本の学生ってそんなに無関心なんですか?
そっちの方が危ない様な気が…【無関心】って一番ダメな対処方ですよね。
無関心からは何も生まれない。
2010/11/6(土) 午後 7:02
まけおさん、外国語系統の学生は世事に疎いんです。教員もそういう傾向がありますね。本当は、外国語系統だから関心がなくちゃいけないんですが。
分かっていただけるようなら嬉しいです。共産党員には知り合いも多いので、なおさら物を言うということもあります帝国主義戦争は、近代国民国家を主体として展開されたわけで、帝国主義を批判しつつ、その国民国家の根本原理である「領土主権」を堂々と主張する左派政党はどうなってんの?、と思います。
2010/11/7(日) 午後 11:48