錯乱気流

無茶苦茶忙しいやんけ・・・

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なにやら、こ難しそうなタイトルなんですが、中身はそんなこともありません。これは、誰にでも関係することで、私だってこれで悩むわけです。つまり、何が言いたいかと言うと、自分に関する諸々の事がうまくいかない場合、改善する方法として、大きく二通りあるということです。
 
(1)自分が変わる
(2)システムを変える
 
これは、どちらも近代的自我に関わる問題で、(1)は概ね自分でやるしかないのですが、(2)は独りではできない場合があるということです。例えば、非正規雇用で職場を転々とし、報酬も生存賃金に甘んじ、いつ解雇されるかわからない不安な日々を過ごしている方が「多数」いるとします。それで、その方々が、学校教育は人並みに受けて(例えば、高校は卒業しているとか)、それ相当の社会的常識と教養は身につけていると前提します。「常識」とか「教養」は、それ自体定義が難しいのですが、便宜上、読み書きそろばんは出来て、一般常識はあると考えて頂ければよろしいでしょうか。それでそういう方が、どういうわけか、定職に就くことができず、大変苦労されておられる場合、これは労働環境や雇用環境を変えなくてはならない可能性が高いわけです。つまり、システムを変えなくてはならない。これは(2)です。この場合、独りでこれを成し遂げることはほぼ不可能ですから、集団的に動き、且つ政治的に働きかける必要が出てくるわけです。もちろん、システムを変える主体は人間なわけですから、環境を対象化してとらえる、近代的自我が前提となります。例えば、動物にはこれが出来ません。彼らは、サルトルの言葉で言う即自存在ですから、環境と一体化してはいますが、環境を自ら変えることは出来ません。人間の歴史は、概ね、環境を自己に対置して、それに対して能動的に働きかけ、変革してきた過程であると言っても過言ではありません。動物なら、水のあるところに自ら移動するしかないわけですが、人間は水のないところに水を引っ張ってくることを始めたわけです。治水灌漑という行為がそれです。古代の王国の成立過程を説明する仮定的モデルとして使われるのが、この治水灌漑や水資源を中心とした灌漑モデル資源制限モデル戦争モデルとも言います)というやつです。
 
さて、一方、音楽家になりたい方がいるとします。作曲家でも演奏家でも良いのですが、便宜上、クラシックのピアニストにしましょうか。それで、その方が、努力すれどもすれども、まるで結果が出ず、地方の小さな舞台に一年に一度、わずかながらのギャラで登場するしかなく、ご本人はそのことを大変不幸に思っている。さて、この場合、(1)か(2)のどちらをやれば、状況は改善されるのでしょうか。私は、(1)だと思います。もちろん、不況時には衣食住が優先され、音楽市場自体が縮小し、機会も減るので、システム的要因は無視できませんが、こういう世界の場合、やっぱり「実力」だとなるわけです。この場合の実力は①「技術」②「音楽性」③「芸術性」④「容姿」などを含む総合的なものと考えて頂ければ良いとおもいます。クラシックのピアニストである以上、①が重要であることは言を俟たないでしょう。ところが、①だけでは難しいのがこの世界で、②もなくてはならない。③は曰く説明しがたい項目なんですが、②と多少かぶるところがあるかもしれません。④は、必ずしも「容姿端麗」を意味しているわけではないのですが、まあそういうことにしておきましょう。①から③までが欠落している場合、いくら「容姿端麗」でも、チャンスはないと考えるほかありません。④が「売り」のピアニストもいるでしょうが、①から③が、まあ、「そこそこ」の場合、やっぱりその程度の評価しか与えられないでしょう。それで、その方が(1)のアプローチで自らを変える場合、二通りのやり方があります。まず、ズバリ、ひたすら練習に練習を重ね、研鑽に研鑽を重ね、欠けている部分を身につける努力をするということです。もう一つは、ピアニストになるのを、言わば断念し、指導者の道を選ぶ、或いは、評論の世界に進むなどの方法です。この方法は、よく「環境を変える」と言いますが、本当はそうじゃなくって、自分で決断して、生き方を変えるわけですから、かなり主体的な行為です。この場合は、「諦める」と言うより、自ら進んで「決断する」という積極的な意味に捉えてもらったほうが良いです。ここでは「音楽が好きなのかどうなのか」ということが、その人の気持ちのあり方を決定すると思います。「ピアニスト」と言う器に拘っていると、ルサンチマンを引きずりことになり、それはその人の、言動や行動に現れることになります。芹沢俊介なんかが言う、「イノセンスの解体」というのがこれだと私は考えています。つまり、人間と言うのは、動物と違って、対自存在ですから、どこかの時点で、自分の人生は自分が背負うという決意をする必要がどうしてもある。つまり、この世に生まれたという偶然性を自ら引き受けるとういことです。もちろん、諦めることはなく、弾き続けていれば、フジコ・ヘミングのように、最盛期を過ぎて①はおとろえ、④も「売り」に出来ずとも、②と③だけで(多分③かな)、忘れた頃に大いに脚光を浴びるということもあり得るでしょう。いずれにせよ、これは哲学的には実存主義の範疇に属する議論で、極端になりすぎると、ハイデガー覚悟性被投性らの概念に近くなり、多少注意が必要です。
 
問題なのは、本当は(1)をやらなくてはならないのに、(2)ばかりやろうとしているとか、その逆の場合です。前者の場合、自分が人間として引き受けざるを得ない偶然性を背負えていない事実に気付かないので、ほとんど全て環境の責任にして、自分は変わらない。こうなると、ルサンチマンを引きずり、それは徐々に拡大し、その人の精神を蝕むことになります。私は、大学のミスコンなんかに圧力をかけて潰してしまう、ラディカルフェミニズムマルクス主義フェミニズムの集団なんてのは、因果を転倒しているのではないかと思っています。美人が脚光を浴びるのは、資本主義社会の男権主義が女性を商品としてコード化し、女性もその価値観を内面化しているからだというのが、彼らの主張ですが、果たしてそうなのでしょうか。私は、男性が綺麗な人に惹かれるのと同等に、女性も美男子が好きなんじゃないかと思うのですが。すると、それは先進資本主義社会に特有な商品化の過程がもたらしたフェティッシュとしての異性像であり、それが証拠に、消費資本主義が未発達の未開の部族なんかでは、首輪を何重にもはめた「ろくろ首」みたいな女性が美人だと思われているではないかなどという反論が出てくるかも知れません。ですが、それを言うこと自体矛盾していると私は思います。なぜって、そういう発言自体が、資本主義社会における「美」を基準に、他文化の美醜を判断していることに他ならないでしょう。さらに、最近では、人間が均整のとれたものに美を感じるのは、社会化の過程とは無関係で、先天的なものであるという研究結果もあるようです。例えば、生後3か月の赤ちゃんを被験者にして、均整のとれたもの(形とか絵)を見せて、反応を観察し、コンピューターにデータをインプットして解析するなどの研究ですが。その研究結果の信頼性をひとまずおくとしても、ミスコン壊滅運動に決定的に欠けているのは、「人はなぜ美を好むのか」という根源的な問題を括弧に入れてしまっていることです。「美」の観念が、悟性の経験的働きによって形成されるものであるならば、その社会文化的要因は綿密に分析されねばならないでしょう。
 
それはともかく、美醜は、「幸・不幸」の絶対値を判断する材料たりえないという当たり前の事実もあります。芸能界なんかですと、大変な美男と美女がウヨウヨいるわけですが、彼らが必ずしも「幸福」な人生を歩んでいるとは限らないのは、衆目の認めるところではないでしょうか。まあ、話を分かりやすくするために、(1)と(2)に単純化して見ましたけれど、(1)と(2)の両方の要素を必要とする事例がほとんどで、それはもうケースバイケースで、割合の問題だと思います。「自分が変わる」の(1)にせよ、人間が環境と他者の関係性の中において生きる存在である以上、他者から屹立した絶対的な自己はありようもなく、そのように考えるのはやはり誤謬でしょう。他者からの影響が、「自分が変わる」契機になるということは当然あり得るからです。その意味では、廣松渉『世界の共同主観的存在構造』は、「共同」「共感」という側面から、ハイデガー−サルトル流の実存主義に欠落しているものを補完する役割を果たしてくれるかもしれません。なんにせよ、近代的自我の限界を云々する場合、それは一種の近代批判となります。もちろん、何をしてもどうにもならないというような状況になっちゃえば、それはもう世の中がそうなんだと腹を括って、頼れる人に頼るしかないでしょう。例えば、今の東北の被災者や遺族の方々とか、もうそういう状況だと思います。
 
最後に、原発を止めさせたい場合は(1)なのか(2)なのか。道徳論者の「贅沢は敵だ」論から行けば、(1)となるわけですが、市民がいくら節電につとめても、原発が国の電力政策として重要な位置づけを与えられた総合的なシステムである以上、これを止めるためには、やはり政策論的な議論が欠かせず、優先度において(2)が閉める割合は極めて高いと言わねばならないでしょう。なのに、「ライフスタイルの見直し」とか「贅沢はあかん」とか、挙句の果ては「「我良の洗い流し」とか、(2)は無視して、(1)ばかりを強調する人がぞろぞろ出てくると、やっぱりおかしいぞと思うわけです。(1)の要素がゼロとは申しませんが。
 
*最後のパラグラフは加筆しました(5月9日午後11時15分)

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