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現在視聴しているのは、韓国MBC制作のドラマ『揺れないで』である。これはかなり長く、100話を超えるのだが、現在半分ほど見た。全部見るには、あと数カ月かかりそうだ。そんなわけで、中間報告。
いや、これは韓国における家族の在り方がよく分かる作品。日本でもある、ホームドラマの体裁で、『IRIS−アイリス』のような映画的作りではない。タイトルは、『揺れないで』だが、登場人物の心理状態は甚だ不安定で、むしろ『揺れまくり』と改題したいくらいだ。登場人物とあらすじを出来るだけ分かりやすく整理すると、ま、ざっとこんな感じ。
主要登場人物:
ハン・ガンピル(キム・ナンジン)−ナリホームショッピングという通販会社の経営者を父親に持ち、父親に後継者として、会社の理事に据えられているが、実は音楽を勉強していたこともあり、本当は作曲に未練があり、家族や周囲には内緒で、夜はキム・ミニという別名で、音楽スタジオを運営し、作曲をやっている。作曲は、初恋の女性ヘギョンの影響が大きいのだが、これを問題視した父親に交際を反対された挙句、バイクにヘギョンを乗せて走行中事故を起こし、ヘギョンが重傷を負い、その後、ガンピルとの将来の展望に絶望したヘギョンが服毒自殺するという、悲しい過去を背負っている。わりとマザコン的なキャラクターで、ちと優柔不断だが、正義感が強いような感じの男性。
パク・ミンジョン(キム・ダイン)−24歳の女性。アメリカに音楽留学していたが、途中で挫折し、帰国。10年前に母親が再婚した関係上、弟と一緒に、キムチ工場を経営する、イ・ヨンデの家族に戸籍上編入。まっこと偶然にも、キム・ミニ、つまりハン・ガンピルが、家族にお忍びでやっている音楽事務所の助手となる。キム・ダインは、ヘギョンとミンジョンの一人二役。つまり、彼女らは、ドッペルゲンガーのように瓜二つでござい。死んだヘギョンとそっくりの助手が現れ、ガンピルは大いに動揺。以前にもまして、音楽への情熱が掻き立てられ、なんだかんだと、ミンジョンもそんなガンビルに惹かれていく。明るいが、どことなく、自分に自信が持てない感じの性格。しかし、ここぞというところでは、強固な意志の強さが前面に出る。
イ・スヒョン(ホン・ウンヒ)−ガンビルが理事を勤める、ナリホームショッピングの戦略開発室チーフというキャリア志向の女性。会長であるガンピルの父親に認められたこともあり、ガンピルの許嫁でもある。ところがどっこい、のこの女性、ミンジョンの義姉である。つまり、ミンジョンの義父の実の娘。スヒョンは、ミンジョンの母親が、自分の実の母親を追い出し、自分の家に収まったと言う固定観念をもっており、その事が許せず、実父にも、継母(つまり、ミンジョンの実母)にも、誰にも心を開かず、かなり性格が歪んでしまっている。こんな家など、糞くらえというわけで、ガンピルと結婚することにより、自分の家にケツをまくり、経営者夫人として社交界に君臨することを狙い、その実現は目前に迫っている。ところが、憎い義妹が、ガンピルの助手となり、お互いが惹かれあい始めていることに、スヒョンは気付かない・・・。有能でやり手の美人だが、ちと、性格が屈折しており、愛情に飢えている感あり。
チャ・ヨンミ(ソヌ・ウンスク)−ミンジョンの実母。前夫は、冴えない登山家で、ヒマラヤ登頂中に行方不明となり、死んだと信じられており、当時、職場だったキムチ工場の経営者イ・ヨンデと再婚する。気立ての優しい感じの女性であるが、他家に後妻として入った関係上、舅(つまり、ヨンデの父)やスヒョンの手前、どことなく遠慮がちな毎日を送る。
イ・ヨンデ(イム・チェム)−ヨンデはキムチ工場の経営者。従業員だったヨンミの夫が「死んだ」という事で、絶望する彼女の心の支えとなり、また、もともとヨンミに惹かれていたこともあり、ヨンミと再婚し、彼女の娘のミョンジュンと息子のドンヒョクも迎え入れ、実の子供のように大事に育てる。かなりの人格者であるが、この再婚により、前妻とは別れることとなり、それは彼の娘のスヒョンに暗い影を落とすこととなる。もっとも、ヨンデの前妻がどういう人物であり、ヨンミとの再婚の経緯がどうであっのかは、少なくとも、ドラマの中間部まではあまり明らかにされていない。しかし、彼自身は、なかなかの人格者で、見ている方は、彼が現れると、なんとなく安心するようなところがある。
パク・ヒョンチョル(キム・ギュチョル)−ヨンミの前夫。ヒマラヤで遭難、死んだと思われていたが、妻の再婚10年後に意識不明の状態で再び現れる。意識を取り戻し、結果、ヨンミとヨンデとの間に三角関係のような状況が現出。生活力はあまりなさそうだが、性格的には穏やかな感じ。
あらすじのようなもの:
さて、いちいち、書いているとキリがないので、ここまでの話しを纏めると、とにかく全員隠し事が多いので、正直に言えばうまく行きそうなものが、どんどんこじれて、泥沼の人間関係となる。このあたりは、要は「アジア的」なのである。アメリカあたりだと、正面切って糾弾するとか、正直にうち明けるとかなりそうなのだが、さにあらず。例えば、ガンピルは、昼父親の会社の理事をやり、夜は音楽をやるという二重生活になっているのだが、これを家族や周囲に打ち明けられないのは、それは、両親(特に、父親)が息子が音楽をやることに強烈に反対しているからである。どうやら、一般論として、韓国の企業では、伝統的に世襲が多いようで、父親の権力は絶大。よって、父親に逆らうと、家族から見捨てられるも同然の状況となる。戦前の日本の家父長制のような感じである。そこに、ミンジョンという、失った初恋の人そっくりの女性が助手として現れる。
スヒョンは、途中で婚約者のガンピルの様子がおかしいことに気付き、ガンピルを尾行したりして、ガンピルが実は夜は音楽をやっていることを突き止めるが、なぜか、それを本人に問いただすような事はしない。「ガンピル、あなたの気持は分かるけど、それはご両親の許しが絶対に得られないわ。考え直して」とでも、言えば良さそうだが、さにあらず。さらに悪いことに、スヒョンは、婚約者の助手が、自分が快く思っていない義妹のミンジョンであることを突き止める。ここで、スヒョンが、ミンジョンに「ミンジョン。あなたが助手をやっているキム・ミニという作曲家の正体は、実は私の婚約者なの。節度を持って接してね」とでも言えばよさそうなものだが、さにあらず、彼女は、ガンピルとミンジョンの関係を疑い、探偵を雇ってガンピルの尾行調査を命ずる。
ここで、誰もが疑問に思うことが一つ。だったら、スヒョンが、婚約者のガンピルに直接、「あなたの助手は、私の継母の連れ子なのよ。問題が複雑になると行けないから、私からも言うけど、あなたからも、彼女にそのことを留意するように言って」とでも、言えば万事解決ではないか、と。ところが、さにあらず。スヒョンが、ガンピルの婚約者として、ガンピルの両親からも認められているのは、彼女の家系が「真っ当」であることが暗黙の了解となっているからである。ガンビルの家系は、一応筋金入りの名家であり、そこに嫁ぐ以上、自分の家系も、名家とまではいかなくても、一応「ちゃんとしている」ことが必須であり、両親が離婚し、母親が実母ではなく、義弟や義妹までいるとなると、ガンピルの家からは拒絶されることが明らかであり、結婚するまでは、そのことを隠し通さなくてはならない。よって、スヒョンは、そのことを家族にも因果を含め、協力するように、言わば強要し、家族全員が、これに不承不承協力する。
日本でも、皇室とまではいかなくても、そりゃそれ相当の家系ともなれば、家柄が不釣り合いだと、やはり婚姻による縁戚関係を結ぶのは、そう簡単ではないかもしれない。だが、普通なら、「お前、気持ちは分かるが、そんないずれバレてしまうようなことを隠してまで結婚しなきゃいけないような関係は不自然だし、長い目でみてお互いの為にならないから考え直すか、しっかり先方に説明するかどちらかにしなさい」となるはずではないか。だが、さにあらず。ズルズルいってしまい、事態が複雑化する。どうしてそうなるかと言うと、スヒョンの実父のヨンデも、継母のヨンミも、再婚がスヒョンを傷つけたという負い目をどこかに抱えているから直言できないのと、やはり、見ている方が不自然と感じないほどに、このような場合、「家柄」というのが、韓国社会では大変重要であるという暗黙の了解があるからだろう。要するに、ガンピルも彼の家族も、スヒョンの家族の実情を知らない状態が延々と続くのである。
そこにきて、ヒマラヤで遭難死亡したと信じられていた、ヨンミの前夫が病院で意識不明となって突然現れるという事態が。ヨンミは、家族には内緒で、意識が回復するまでと決意し、彼の看病に毎日通う事になるが、そのことを自分の家族の誰にも言わないのである。普通なら、彼女は自分の現在の夫のヨンデや子供達に「みんな。信じられないことが起こったの。あなたたちの実父が実は生きていて、病院にいるの。家族には迷惑をかけるし、心配もかけると思うけれど、今は戸籍上関係ないとは言え、前夫だし、他に看病出来る人もいないから、私がしばらく行くわね」と、家族の理解を求めれば万事丸く収まりそうなものだが、さにあらず。ヨンデや子供たちに気兼ねして、動揺を与えまいと、ひたすら隠して、看病に通うこととなる。ところが、不審に思ったヨンデが、ヨンミを尾行したりして、妻の前夫が生きていることを突き止めてしまう。そこで、普通なら、「ヨンミ。実は、オレは知っているんだ。こっそり突き止めたりして悪かったが、前夫が生きていたんだな。身寄りがない状態ならしょうがない。しばらく看病して、一段落したらまた家業に集中してくれ。オレは、お前の事を信じているから」とでも言いそうなものだが、さにあらず。妻が、前夫とのヨリを戻すのではないかと不審に思うヨンデは、そのことが心配で、ヨンミに真実をしってしまったことを打ち明けられない。
要するに、登場人物の誰もが、自分の素直な気持ちを、素直に相手に伝えられない状態なのである。あまり断定的に言うのは避けたいが、やはり一般論して言えば、これはかなりアジア的−特に、東アジア的−なドラマと言えるのではないか。さて、50話くらいまで見て、現在どうなっているかと言うと、スヒョンが探偵を雇ってガンピルの身辺を調査させていたことを、ガンピルが知る。そのことで、親とスヒョンの強烈なアプローチに引っ張られ、もともと気の乗らないスヒョンとの結婚を、ガンピルは破棄し、親に背き、実は惹かれつつあったミンジョンを連れだして、二人で結婚式を挙げてしまう。要するに、駆け落ちである。ミンジョンは、自分の母親を奪った女の娘に、今度は婚約者まで奪われる事態に激怒。怒髪天を突き、抜き差しならぬ事態となりにけり。今後の展開や如何に。全部見たら、評を書きます。
ああ、疲れた・・・
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まさか脚本は野島伸司じゃないでしょうね。
2012/6/17(日) 午前 2:58
人間関係は、野島並みにドロドロしてますけど、なんとなく上品さがあるんですよね。そこが違います。俳優の演技が実に良いし、コミカルな部分もありますね。
2012/6/17(日) 午後 10:58
「さもありなん」だらけの梗概のドラマなんて、日本じゃ即刻却下されてしまいます。さすが!韓流ですね。
『揺れないで』は韓国では30分×164回の昼or朝のドラマなのだそうで。毎週? ウィークデイに毎日?
日本の朝ドラマはNHKでも15分×156回(半年)。
毎週単位なら、164回は3年以上の長さのドラマとなります。
観る側も、俳優も脚本家も、かなりの長丁場を覚悟しないと大変でしょうね。
それとも視聴率が上がったので、「さにあらず」で話数を引っぱったのでしょうか?
これぐらいの長さのドラマだと、視聴者の方が、例えば子どもの進学とか家族や自身の病気とか、自分の仕事上の変化などで、『観続ける』のが困難なことだってあるでしょう。
七海さまが、『揺れないで』を最終回まで視聴できますようお祈り申し上げます。
2012/6/22(金) 午後 11:12
只今100話を突破しましたw。かなり凄いことになってます。弱点もありますが、良いところも多いです。引っ張り感はありますが、それでいて、わりとこのタイプのドラマの王道を行っていて、定石を踏まえています。つまり、この長丁場を飽きさせずに引っ張る力を、役者も脚本も持っているということです。
2012/6/30(土) 午後 11:44
えっ?
≫ドラマの王道を行っていて、定石を踏まえています。
≫この長丁場を飽きさせずに引っ張る力を、役者も脚本も持っているということです。
そんなに実力があるのか! 韓流ドラマは・・・
だとすれば、シナリオ勉強のためにも、毛嫌いせずに韓流ドラマをわたしも観ましょう。
人気のあるものには、やはりそれなりの≪実力≫と≪長所≫があるのですね。
2012/7/2(月) 午前 10:32
あれ、「さすが!韓流」などと言うから、観たことがあるのかと思いました。まあ、「毛嫌い」は、「気になる」と表裏一体ですから。ただ、シナリオの勉強に使うなら、参考程度ならともかく、朝鮮語が理解できたほうが良いでしょうね。字幕や吹き替えでは、微妙なニュアンスが落ちてしまいますから。
2012/7/2(月) 午後 1:51