錯乱気流

無茶苦茶忙しいやんけ・・・

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鶴橋点描

所属学会の全国大会で、和歌山大学に赴いた。私は事務局長なので、朝から晩までそれ相当に気を配ることも多く、実行委員会の皆さんのご尽力もあり、無事終了した。ホッとしている。そんなわけで、左側のPR広告欄には、和歌山のホテルが踊っている。広告が、自分の行動の足跡になっているのは困ったもんだ。それに、いつの間にか、左側のプロフィールやら履歴欄が横に太っている。
 
帰りに、大阪の鶴橋に寄った。在日コリアンの集住地区としては、日本で一番名前が知られたところだろうか。今では、新大久保がむしろ有名だが、歴史的にはこちらのほうが古い。その由来については、関連書籍や、韓国の近現代史をひも解いていただくほうがよろしいだろう。いっぱしに学問らしきものを齧り、少数派やら、多文化共生やら、それなりのお題目を振り回すようになり、そういう意識を持って訪ねてみて思うのは、やっぱり見る側としての「主体」意識を持って物事を見ていることに、どうしても気付いてしまうのである。新大久保ではそういう意識が浮上することがあまりない。「どうしてだろうか」と、考えてみたが、結局のところ、新大久保は、ここ10年で俄然全国区化した「観光地」だということだ。ところが、鶴橋はそうではない。コリアタウンと銘打って、宣伝もして売り出しているけれども、昔からの集住地区で、「商店街」としての顔のほうが大きいのである。だから、横浜の中華街並とはいかないけれど、それに肉薄するほどの歴史を背負っていて、人々の生活の息吹がより身近に感じられるのである。もちろん、鶴橋にも、ここ数年、韓流グッズを売る店がオープンしてはいるけれど、コリアタウンにはあまりなくて、その周辺に点在しており、コリアタウンにある韓流グッズ店は、なんとなく浮いて見えるということだ。韓流は、やっぱり新大久保ということになるだろう。
 
観光地というのは、そもそも「見られる」ということを意識して物事が配置されていて、そこで商売をしている人間は、客体としての自分達の存在は自明のこととして了解している。だから、新大久保で、街並みや、商店を写真にとってもそんなに違和感がないのだが、鶴橋の商店の店先には、経営者の生きてきた歴史のようなものが感じられて、断りもなく写真をとるのを躊躇したくなるような、何かがある。実際、写真はお断りという店に一軒出くわした。「撮らないで」という声が、奥から聞こえてきたのである。その店は、所謂臓物を扱う店で、店頭には豚の頭やら牛のアキレス健やら、その他牛の内臓の類が並べてある。要は、ホルモン素材で、単価がそれほど高くない代物だ。在日コリアン−この呼称自体、それなりに問題を含むものではあるが−に対する就職差別や社会的偏見が今以上に強かった時代、京阪神地区の在日コリアンが就いていた仕事と言うと、養豚業、アメ屋、露店、紡績、機械修理等である(手許にある、1950年代の史料による)。養豚業や家畜の解体作業などというのは、所謂「醜業」の類と認識されていた。そうした歴史的背景で、家業を継いできた関係者からすると、どこの誰かも解らない、観光客風情に写真など撮られると、観察される側としての「客体」意識が浮上して、いい気分がしないということなのだろう。自分が、「なんだかんだ言っても、私は多数派の側だし、そのように見られるのだな」ということを意識するのは、こうした時である。これが、アメリカあたりに住んでいて、日本人などあまりいない、南部の小さな街とかに行くと、立場が逆転して、「見られる側」である客体としての自分を意識することになるが。要は、関係性のあり方は、時間・空間に既定される相対的なものだとういことだ。それと、見る主体を語る場合、肉眼で観察するのと、「写真に撮る」(=即ち、記録する意識)のとでは、かなり意味合いが異なっていることも無視できない。
 
と、能書きは、色々あるが、とりあえず、「見る側」として立場を重々自覚しつつ、今や鶴橋も、訪問者向けのガイドブックが出ているくらいだから、ここに幾枚かの写真を掲載するのもそう悪くはないだろう。以下、ご覧あれ。鶴橋点描である。
 
イメージ 1
 
 
 
イメージ 2
 
 
 
イメージ 5
 
以上の三枚は韓国系のキリスト教会。韓国の教会につきものなのは、赤い十字架である。これが夜になると、ライトアップされ、漆黒の闇に赤い十字が浮かび上がる。ソウルの夜は、街の至る所に、この赤い十字架が現れるが、鶴橋にも幾つかあった。これは、新大久保にはない。
 
 
イメージ 6
 
 
イメージ 7
 
民族衣装を売る店が幾つかある。ブライダル用の韓服を売る店も。新大久保に、こういう系統の店は少ないように思う。
 
 
 
イメージ 8
 
イメージ 9
 
鶴橋には、このような、個人商店が沢山あり、むしろ店舗のほとんどが、惣菜を表に並べる個人商店である。新大久保の韓国広場やソウル市場のような量販店は見当たらない。その意味では、上野のコリアタウンに近いものがある。あと、肉屋は沢山ある。
 
 
イメージ 10
 
キムチ専門店のショーウィンドー。ターミネーターがキムチを握り、足元には皿に積まれた唐辛子の粉が。わけがわからない。
 
イメージ 3
 
「在日コリアン」ということは、当然国籍は韓国か、所謂「朝鮮籍」(北朝鮮の意味ではない)である。帰化した場合は、どう呼ぶか。「日本人」である。あたりまえだ。そういうわけで、大韓民国に国籍のある在日コリアンは、なんらかの形で、韓国の大統領選挙に「参与」することが可能なわけだ。日本国籍を持つ日本人であれば、永住権を保持してアメリカに定住していても、在外投票権を一定のレベルで行使できるのと同じようなものだ。出来ることなら、私も、アメリカの大統領の投票権が欲しいくらいである。51番目の州とも言われる日本だから、それくらいの便宜は図っていただきたい。
 
 
イメージ 4
 
もちろん、このような韓流グッズの店も。ちょっと訊いてみたが、やっぱり、ここ数年で結構増えたのだそうだ。かなり大規模な店もあった。ちょっと見ると、やはり客層は若い世代の女性が多い。
 
まあ、こんなところだが、関東あたりから鶴橋を訪ねる場合は、新大阪→大阪→鶴橋が良いだろう。30分とかからない。電車が鶴橋駅に着いて、電車を降りたとたん、肉を焼く煙の匂いが「どかーん」と来る。東武線の野田駅を出ると、大豆を煮る匂いがしてくるのと同じようなもんだ。

閉じる コメント(3)

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面白い体験談ですね。わたしは新大久保へは行ったことがないので、新大久保を知っている方から見た鶴橋点描に大変興味を持ちました。

わたしが最近、観光気分で「普通の人が暮らしている街」へ踏み込んだ場所は、大阪市の大正区。NHK大阪の番組で「住人の40パーセントが沖縄出身者とその末裔・・・」と、沖縄情緒たっぷりの街のように紹介していたので(ついでにあの橋下市長によれば『大阪市バスで一番赤字が多い区』と発言されていたので)、興味をもって足を運びましたが神戸と殆ど変わらない街並みでした(ホルモン焼きは食べられました)。

鶴橋の街を楽しんでいただき、ちょっと嬉しいです。

2012/10/26(金) 午後 1:45 nit*ic*84

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レス遅れました。住人の40パーセントが沖縄出身者ですか。そういうのは珍しいですね。新大久保は、なんだかんだ東京だから、鶴橋よりは垢ぬけてますね。でも、鶴橋も、コリアタウンのゲートを作ったり、なんとなく、横浜の中華街を意識してますね。昔はあんなものはなかったそうですが。鶴橋には、徳山物産という有名な在日系の食品卸屋がありすし、済州島経由で大阪に来た人たちが多いですね。下関もそうですが。

2012/10/27(土) 午後 9:44 och**obor*maru

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内緒さん、

了解しました。近いうちに伺います。少々お待ちを。

2012/10/27(土) 午後 9:45 och**obor*maru


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