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「捻じれ国会」ならぬ「捻じれ総理」の話である。人は、あんまり自分の意思を表に出すと、結構やっていけないから、匿名空間のネットじゃ言いたい放題の人でも、リアルな空間では、それ相当に妥協してやっているだろう。私は、結構、自分の考えていることと、外形的行為が一致しないと苦しいタイプだが、それでも、やっぱり抑えている部分はある。それは良く言えば、「自制」だし、悪く言えば「妥協」である。どっちの要素が強いかは、その時の状況によるけど、まあ、どっちにせよ、最近良く聞く言葉でいえば、「封印」ってことである。例えば、浅田真央なら、ここんところ封印しているのは、トリプルアクセルである。「いつでるかトリプルアクセル」みたいな。
そこで、安倍晋三だけど、彼は、現在の日本の政治家でも、かなり保守的で、自民党という政党が許容できるぎりぎりのところまで行ってる。あれ以上右に動くと、多分総理の座から降ろされる。なぜ「ぎりぎり」のところで踏みとどまっているかと言うと、彼は、御自分の歴史観を、今のところ「封印」しているからである。だから、各方面から、「いつでるか自爆史観」みたいな感じで、期待されたり、警戒されたりしているわけだ。誰が「期待」して、誰が「警戒」しているのかは、ともかく。参院選に勝ったら、「封印を解くか」みたいに言われることがあるけど、もし封印を解くことが、日本の戦争責任を否定するような行動なり発言なりということを意味するなら、恐らくそれはないと思う。河野談話ってのがあるけれど、あれを否定するってことは、彼はやらないだろうと思う。せいぜい、「未来志向」の「安倍談話」とやらで、日本の戦争責任を、「曖昧にする」くらいのことが関の山だと思う。なぜ本心を出せないかというと、そりゃ、もう日米同盟ってのがあるからである。
面倒くさいから詳しいことは省くけれど、日本と言う国の隅々まで根を張っている外国勢力と言うと、中国でも韓国でもなく、アメリカだってのは、言うまでもないことでしょうよ。なんせ、軍隊が居座っちゃってて、原子力空母の母港まである。それも昨日や今日のことじゃなく、太平洋戦争が終わって以降ずっとである。建前上、守ってくれてるってことだけど、考えようによっちゃ、抑えつけられてるとも言えるわけで。この外国の軍隊が、日本人に向かって銃を向ける可能性は、現状では、もちろん低いわけだけど、理屈から言えば、ありうるわけで、これが頭をかすめもしない人がいるってのが、私など不思議でしょうがない。アメリカってのは用意周到な、徹底したリアリズムの国で、当然、日本だって仮想敵国に入っているはずだ。
そこで、安倍さんだけれど、一応、彼の『美しい国へ』にも目を通してみて思うことは、彼を突き動かしているのは、一種の「憤り」で、それは、かなり個人的な経験に根差したものだと思う。ものすごく、簡単に言えば、「私の祖父は悪くない」。それではあるまいか。子供の頃見た、祖父の岸邸を囲むデモ隊の光景。そのデモ隊を見て、泰然としていた「大人物」の祖父に対する畏敬。戦犯なんてとんでもない。日本やアジアの為に尽くした祖父。「子孫に辱めを残すわけにはいかない」。この彼の言葉に、そういう安倍の情念を感じとることが出来ると思う。韓国の次期大統領パク・クネも、独裁者と言われ、随分と強権をふるったパク・チョンヒを父に持つが、彼女の場合は、一応、父親の施政について、「過ちも犯した」と、責任を認めている。だから、捻じれ度は、安倍より少なくてすんでいるし、もう韓国は、あの独裁的軍事政権には後戻りしないだろう。
ところが、安倍の場合、捻じれたままである。彼の情念は、幼少期に根差し、それはかなり根深い物があるが、それを出したくても出せないでいる。彼が、言わば大人の振る舞いとして、「自制」しているのなら、ある種の寝技を覚えたってことで、それはそれで、「やるじゃないか」ってことなんだけど、どうも、このままでは行かないような気がしている。彼には、期待を裏切るわけにはいかない信奉者の一群もいるし、取り巻きもいる。あの、如何にも目つきの悪い官房長官だが、男女別姓に理解を示したり、意外とリベラルな側面があり、一定のブレーキ役を果たしているようである。だが、無条件に安倍の神輿を担ぐ連中や支持者もいる。安倍と彼らの関係は、一種の供依存である。妥協もそこそこならともかく、自分のアイデンティティの核心に関わることをいつまでも表に出せないでいると、かなり頽廃してきて、精神が崩壊しかねないが、このまま最後まで行けるのか。
とにかく、日米関係は、過去半世紀以上の関係で、日本の隅々まで浸透している。それは陰謀でもなんでもなく、これだけ長い関係を維持してきたならば当然のことである。その利権構造の全貌を理解するのは難しい。もちろん、アメリカを中心として構築されてきた戦後秩序を否定し、戦前に回帰するような発言をしそうな雰囲気が色濃くなると、安倍政権は瓦解するだろう。安倍の「私憤」は、現在の世界秩序と真っ向からぶつかり合うからである。それをやると、極端な話、安倍さん、○されかねない。それと、一応、言っておくが、私は、所謂「反米」ではない。アメリカの知己はたくさんいるし、よく連絡も取り合っている。ただ、思うのは、日本は、アメリカの悪いところばかり仕入れて、いいところはスルーである。もちろん、アメリカのいいところってのは、ことごとく安倍さんの価値観に反するわけだけど。
石原慎太郎は、安倍よりもさらに強硬に右寄りで、中韓は及ばず、欧米からも「ああいう人」で良く名前が知られている。党名の英文名と言い、彼が共同代表とやらになったということは、維新もそのような政党であると、国際社会からは見られるだけである。さて、この石原も結構「私憤」で動く人だ。この人の場合、「日本が負けるはずがない」である。しかし、尖閣の時は見事にやってくれた。何をやったかは簡単だ。石原が、導火線に火をつけ、民主党が引き金を引き、実際の弾となって飛んで行ったのは、中国の若者である。で、被弾したのは、外国にある、邦人の財産である。もちろん、そこには中国人もとばっちりを食ったが、直接的に被害を被ったのは、邦人の企業や商店である。政治家がまず行なうべきことは、邦人の命や財産を危険に陥れないことであるはずなのだが、お構いなしである。相手の市民を使ってぶっ壊させる方法があったわけだが、もちろん、そこまで計算していたとは思えない。しかし、反省してないことも確かである。政治家が、私憤でぶっ飛ばすと、その被害が市民に及ぶという良い例である。安倍は、どうであろうか。捻じれを真っすぐしようとすると、当然、ひと騒動起こるわけだが。さりとて、そうしないでいられるのか・・・
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萬の事
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安倍のネット上での発信、何も見たことないんですが、リアルの会見なんかで見るよりもっとスゴいこと言ってるんでしょうか。支援者(?)も大勢いるようですし。
2013/2/3(日) 午前 7:51
[日米同盟]重視からは、「河野談話を変える」などという話は出ないと思いますが、問題は〔日米同盟を見直そう〕という勢力が強くなった場合です。ご存知のように強姦などの凶悪事件が沖縄米軍により引き起こされた結果、米軍への反感は強くなっている。共産主義の脅威は減り、日本が独自の軍隊を持つようになると、「日米同盟破棄」が大手を振って唱えられるような時代が来る可能性が高い。
日本国内の世論次第でしょう。
ご存知のように、現在主導権は、親米保守にありますが、次の段階では「反米右翼」が主導権を奪取しようとするでしょう。「東京裁判はでっちあげ。米国の洗脳」とか言っている人達は現状にストレスを感じていますから・・・
2013/2/3(日) 午前 11:37 [ kan ]
ゆまりんさん、
私も見たことないです。なので、なんとも言えませんね。今は総理だから、ネットだろうが、何か言えば、公にされるはずですけどね。
2013/2/3(日) 午後 3:18
kanさん、
自民内でも、やはり親米保守の勢力のほうが相当強くって、民族主義派とでもいいましょうか、彼らの実数は少ないと思います。いずれにせよ、日本は、孤立してはやっていけない国ですから、排他的民族主義となると、まず、財界がついてこないでしょう。世論も、ネットだけ見てると、なんだか怪しいんですが、実態はわかりません。北朝鮮の問題とかがありますが、日米同盟は事実上その役割を終えていますから、いずれは解消されるでしょうけど、いつどのような形でそうななるのかは予想がつかないですね。
2013/2/3(日) 午後 3:41
内緒さん
なんとかアクションってやつですか。「彼ら」ってのは、ネット連帯で、排外主義的言説を振りまく人達ですよね。こちらも対抗する以外にないと思います。私も、実際街頭で行動することがあるので、あの手の人たちとぶつかることがありますが、しょうがありません。
2013/2/3(日) 午後 3:49
安倍のネット好きは異常な気がします。党首討論をニコ動でと、テレビだと公平性に問題があるからと、強く主張してましたが、うちの親なんかはニコ動なんか見られないし、そもそもそんなもの知りもしませんよ。
2013/2/4(月) 午前 7:44
なんだかそうみたいですね。最近の政治家は引きこもりがちです。彼らの問題は、自分たちの親を乗り越えてないんですね。安倍なんかその典型です。「いい子」で育ったんでしょうね。でも、プライドだけは高い(-_-;)。政治言語がとにかく貧弱で、責任感が希薄。
2013/2/4(月) 午前 10:26