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デュカスというのは大変自分に厳しい作曲家で、友人が止めるのもきかず、生前自分の作品の多くを破棄してしまった。そんなわけで、現存する彼の曲は大変少ない。「魔法使いの弟子」というオーケストラの小品が圧倒的に有名で、コンサートではよく取り上げられる。しかし、掛け値なしに傑作と呼べるのは、彼の唯一の交響曲ハ長調である。これは、当時のフランスの交響曲に多い3楽章構成で、フランクの影響を強く受けたものだが、魅力ではフランクの交響曲をはるかに上回ると、私など思う。なのに、コンサートの演目にこれが上がることはまことに稀である。推進力とメロディの魅力に溢れた第一楽章。夢幻的な第二楽章。活気に溢れ且つ構成力に優れた最終楽章と、これはフランス人の手になる最高の交響曲と言うにやぶさかではない。
先ごろ引退したジャン・フルネはこの曲をレパートリーにしており、都響と2度演奏した。実は2回目(昨年の1月)の演奏会には私も足を運んだのだが、フルネが演奏家の前日に体調を崩してしまい、当日指揮台に上がることが出来ず、都響は指揮者なしでこの曲の演奏に望んだ。実は、一回目の演奏はコジマ・レコーディングズによって録音されており、CDとして入手可能である。フルネにはオランダ放送管弦楽団を指揮した盤もあり、デンオンのCREST1000のシリーズで安価に手に入るが、録音に不満があり、総合的には都響とのライヴ盤を推したい。
フルネ・都響のライヴもなかなかよいのだが、この曲の決定盤はジャン・マルティノンがフランス国立管弦楽団を指揮した録音であるが、EMIの国内盤はどうやら廃盤のようである。しかし、中古屋を漁れば出てくる可能性があるし、再発される可能性もあるから、とりあえず以下にあげておきたい。ロマン性を表に出した、この曲の理想的名演である。録音もよく、真っ先にすすめられる。是非、聴いていただきたい。
注目ディスク
ポール・デュカス
交響曲ハ長調
歌劇「マリアーヌと青ひげ」~第3幕への前奏曲
ジャン・マルティノン、指揮
フランス国立管弦楽団
EMI(廃盤)
Performance: 10
Sonics: 8
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