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昨日、「南京・史実を守る映画祭」という、泣く子も黙るテーマの催しに足を運び、関係者と話をする機会を持った。場所は、世田谷区民会館である。戦争責任を巡る映画ひとつ上映するだけで、右翼の街宣車が映画館の周りを走り、主催者や上映館に上映中止を求める−もとい、迫る−正体不明の電話が入るなどする昨今に、何と、南京事件関連の映画を、4本も連続して上映しようという、思わず「命が惜しくはないのか」と言いたくなるような、大胆なる企画である。 南京大虐殺というと、犠牲者の数がよく問題にされ、それこそ、30万から0まで、多岐にわたるが、その件は、あまたある左右の書物にあたっていただくとして、会場の周りは、それこそ騒然とした状態になっているかと思いきや、拍子抜けするほどに静かであった。右翼関連団体の方もお見えになっていたようだが、主催者もそのあたりは、計算に入れたうえでのことで、警備要因を前もって配置し、準備怠りなしである。さらに、この場合、警備要員が、警官などではなく、主催側のスタッフになっていたところもなかなかだ。この問題に関わっている、弁護士などもズラリと並び、入場者の数も、年齢層も多岐にわたり、それ相当の成果を収めたと言ってよいようだ。ヨーロッパやアメリカの方々も散見された。 世田谷での上映に先立ち、福岡でも同様の催しがあったが、これは福岡市が共催した。現今、日本政府に戦争責任についての保障を迫る動きを見せている自治体があるが、福岡市もその一つである。 映画上映の合間には、シンポジウムも行われた。主催者は、色々な人物に出演依頼をしたようだが、随分断わられたようである。で、登場したのは、これまた泣く子も黙る、「新右翼」一水会の鈴木邦夫氏である。彼は、全共闘時代に、左翼勢力と対峙し、それこそ、このような催しに殴り込みをかけていた立場の人間だが、最近では「言論の自由」は、左右に関係なく重要であることを主張し、排外主義者からは「非国民」扱いされている。鈴木氏は、左右に限らず、くだらない運動は「くだらない」というほかないという前提にたち、見もしないうちから映画館を脅迫するアンポンタンは小学生以下であると結論づける。要するに、「人の話を聞く」「自分の考えと異なる書物や作品に接する」「見てから議論する」などは、まさに小学生が学校で教わるレベルの話であり、それすらできない人間は、小学生の爪の垢でも煎じて飲め、といわけだ。まあ、それは、その通りだろう。 鈴木氏によれば、排外主義者というのは、意外と一次情報に疎く、産経系のメディアがネット上で流す断片的情報や「週刊新潮」あたりの煽り記事に反応して行動している場合が多く、このたびの催しは、朝日新聞や「週刊金曜日」などには広告が登場していたが、おそらく見ていなかったのだろう、とのことである。私など、「正論」あたりは、結構愛読しているのだが・・・ ともあれ、上映された映画は以下の通り。 『南京』ビル・グッテンタグ監督 2007年・アメリカ 『アイリス・チャン』ビル・スパヒック、アン・ピック監督 2007年・アメリカ 『南京・引き裂かれた記憶』武田倫和監督 2009年・日本 『チルドレン・オヴ・ホァンシー』ロジャー・スポティスウッド監督 2008年・独・中・豪合作 以上のうち、『南京・引き裂かれた記憶』は、渋谷のアップリンク・ファクトリーという映画館で、来年の一月まで上映されおり、目下「絶賛上映中」だそうである。右も左も、行かれてはどうか。しかし、ゆめゆめ、小学生以下の行為は慎まれるようお願いしたい。なお、同作品は、来年のベルリン国際映画際で上映される計画であり、目下、知人が字幕を製作している。
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2009年12月14日
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