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たまに英語国民(特に米国人が)口にする言葉に、John Wayne's Protective Shieldというのがある。訳せば、「ジョン・ウェインの防御シールド」ということになるだろうか。つまり、銃弾の雨の中をくぐっても、主人公には絶対当たらないという、映画などで良く観る光景を、半ば揶揄するときに使う言葉である。
ジョン・ウェインというのは、言うまでもなく、アメリカの俳優であって、劇中では、典型的なアメリカンヒーローを演ずるわけで、主役でヒーローなんだから、いくらドンパチをやろうが、敵の弾丸がジョン・ウェインに命中することはない。つまり、ジョン・ウェインは、映画では死なないのだ。一作だけ例外があって、それは『硫黄島の砂』という、「アメリカ万歳」の映画である。その中で、ジョン・ウェインは、日本軍の弾丸に斃れるが、これはもう例外中の例外である。
観る方は、こんなところで主人公が死ぬわけがないから、「当たらない」ということは、予定調和的に知っていて観ているわけだが、それでも、「こんなんありえん」と観る方が思わないような微妙な演出の綾ってのはあって、そこんところのさじ加減を間違えると、ちと興ざめとなる。私が今見ている、『アイリス』という韓国のドラマがどうもそれだ。実は、まだ最後まで観ていないのだが、主人公を演じるのはイ・ビョンホンで、一種の政治陰謀ドラマである。イ・ビョンホン演ずる、韓国の特殊部隊要員が、このドラマの場合、一応鉛玉を食らう事は食らう。だが、致命傷とはならず、生き延びる。まあ、当たり前だ。
問題は、そこまでの過程で、凄まじい逃走劇が繰り広げられ、狙撃ライフルに狙われるは、銃弾が雨のように降り注ぐは、ロケットランチャーまで出てくるは、何でもござれなのに、弾が、呆れるほど主人公に当たらないことである。それも、狙うのは、北朝鮮の精鋭狙撃チームである。親分はかなりクールな実力者で、つわものっぽい雰囲気を醸しているのに、逃走する主人公を捉えられない。ニアミスというか、ほとんど目前に追い詰めていて、何百発も打つのに、全く当たらん。クールに装っているが、間抜けとしか言いようがない。ある場面では、丁々発止のカーチェイスが繰り広げられ、お互いかなり至近距離からぶっ放し、ドアやフロントガラスに次々と穴が開くのに、その後ろの人間は平気の「へー」なのである。主要キャラが早々に死なないのは、観る方としても折り込み済みとはいえ、ここまでいくと、「おい、もうちょっと、微妙にやれ」と言いたくなる。
John Wayne's Protective Shieldと言う言葉を、思いっきり使えるドラマに久しぶりに出くわした。
さて、このドラマ、話題の美人キム・テヒが出ている。日本のドラマにも出演した。彼女、美人なんだが、口角がやや下がり気味で、黙ってるときに、口が「への字」なんだけど・・・・・。まあ、でも、美人には違いない。典型的な美人・美男路線は、日本では80年代で終わったと思うけど、韓国ドラマの場合、主役はもちろん、主要キャラは、絵に描いたような美人、美男が登場し、そういうのを却って懐かしく思う日本人も多いだろう。年齢的に見れば、やっぱり、40代以上ってことになるだろうけど。
と、まあ、なんとなく批判めいた事を書いたけれど、『アイリス』、かなり面白い。スピード感は相当だし、展開が速く、惹きこまれる。日本やヨーロッパも舞台になり、相当のお金をかけている。「なくもがな」なのは、お互い特務機関の要員にしては、あまりにもラブラブの主人公とヒロインが、歯が浮くセリフを連発しまくる秋田でのシーンが、全体から完璧に浮いていること。それと、大統領でさえよく知らない特務機関の要員が、休暇中、お忍びで秋田にデート旅行して、本部が、彼らと連絡がとれない状況になってるてのは、著しくリドラマ的アリティーを欠くのではないか。ジェームズ・ボンドも、ボンドガールといちゃついたりするけど、それほど無防備にはなってないはずである。
というわけで、『アイリス』観てます。今頃・・・・
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