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朝鮮戦争後、韓国では、何10万人という戦争孤児が生み出された。当時の大統領李承晩は、「解決策」-ある意味、「厄介払い」−として10万人を超える養子縁組を海外で行う大統領令を発令し、その数は20万を超え、うち15万人がアメリカ、残りのほとんどはヨーロッパに送られ、アメリカでは教会関連組織などを中心に受け入れが進められた。韓国では、混血児に対する差別観念が強く、特に、米兵との間に生まれた混血児は、「洋公主(ヤンコンジュ)」(米兵を相手に性を売る女性の蔑称)の子として、蔑まされてきた。このような子どもたちが、海外で長じて、自分たちのアイデンティティに悩むケースも報告されており、これをテーマにした映画作品やドラマが次々と生み出されている。
この『はちみつ色のユン』もそのような作品であり、ベルギーに送られたユンという子供が、髪の毛や肌の色が異なる両親や兄弟の中で、どう育ってきたのかをテーマにしたアニメ作品で、世界最大規模のアニメーション映画祭『第36回アヌシー国際アニメーションフェスティヴァル』で観客賞とユニセフ賞をW受賞した。フランス、ベルギー両国でロングランヒットした本作の、日本初公開となる。
12月22日(土)より新春ロードショー
ポレポレ東中野
下北沢ハリウッド
なお、この養子問題をテーマにしたドラマ作品に、『ごめん、愛してる』(2004年、KBS)があり、この作品のテーマ曲には、中島美嘉の『雪の華』の韓国語バージョンが使われている。『雪の華』を含む中島美嘉のCDアルバムは韓国内で爆発的な売れ行きを示し、私の知る限り、少なくとも5人以上の韓国の歌手によってカバーされている。さらに、MBCの製作した『アイルランド』も、この問題を扱った作品。いずれも、最寄りの、レンタルビデオ屋で入手可能でしょう。
『ごめん、愛してる』の公式サイト。放送は終了しているが、DVDで容易に視聴可能。「お涙ちょうだい」と言えばそれまでだが、ドラマとしての出来は良い。
さらに、映画作品としては、『英語完全征服』(2003年)、『ラヴ〜最愛の人』(1999年)、『親切なクムジャさん』も、養子問題を扱ったものである。日本でもファンの多い『ホテリア-』(2001年、MBC)では、アメリカに養子にだされて成長した韓国系アメリカ人をぺ・ヨンジュンが演じている。
少なくとも、ここ10年、このテーマに、韓国の映像芸術が取り組んでいること自体、大変興味深い。というのも、海外で養子として育った韓国系の人々が、ここ十年自分のルーツを確かめるために韓国を訪れるケースが増えているのだという。
日本でも、ベトナム戦争期に、戦場に駆り出され、アジア系に対する露骨な差別を体験した日系アメリカ人三世が、アイデンティティクライシスに陥り、日本を訪れたことがあったが、彼らは日本社会からは相手にされず、また、アメリカべったりの日本社会に失望して、帰って行った。太平洋戦争後も、米兵との間に生まれた混血児は、敵国に体を売ったパンパンガールの子と蔑まされて、居場所がなく、彼らの多くを受け入れたのは、澤田美喜のエリザベス・サンダース・ホーム、作家のパール・バックが運営していた、ウェルカムハウス等であった。総じて、彼らの人生は波乱に満ちたものであったが、彼らの苦悩や葛藤をテーマにした日本の映像作品を私は知らない。
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