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Ryo・・・覚えてる? (日本)という言葉はボクにとって、(Ryoのこと)だったんだよ。
小学生のとき、8月にはいつも施設に来て、みんなにプレゼントをくれていたでしょう。
ボクはこっそり「8月のサンタクロース」って呼んでいた。少ししか話したことがなかったけど、
アロハの肩口から見えているひどい傷あとに、ボクは驚いて、悲しくて、涙がこぼれちゃった
ことがあった。
遠くから見ていただけなのに そばに来てくれて、
(もう痛くないんだ。安心して…)
って言って、左手の人さし指でそっとぬぐってくれた。
『ボクの小さなサンタクロースさんは、どこから来たの?』
「…日本…」
そう言ってキミは笑ったよね。(きれいな男の子だなぁ)って、みとれちゃった。
そのときからだよ。ボクたち、話さなくてもお互いの心がよくわかるようになったのは…。
★ 『お金はいりません。お願いです。そんなこと、言わないでください。
ステキな思い出だったのに、悲しくなります』
ボク、絵が好きで、みんなを描くんだけど、お金で買わせたことなんかない。
(買いたいけど、いくらがいい?)なんて、少し、怒ってた。
ボクは7歳だったけど、もう十分大人だったし、ほしいからって
簡単にお金を払うというのがイヤだった。
理事長先生はあわててボクの口をふさごうとしたけれど、でもリリノエは何度もうなずき、
先生の制止して かがんでくれた。ボクの顔をまっすぐ見つめるために。
「ごめんなさい。私が悪かった。何にでも値段をつけるのは良くないことだって、キミに
教えてもらったね。
では、素敵な絵なので、今日の思い出に私にゆずってくれないかね?
もちろん、キミが、良ければだけど・・・」
「エルフ! 差し上げなさい! あなたなら、こんな絵、またいくらでも描けるでしょう?」
ボクが眉をひそめるより早く、リリノエの目が、いっしゅん妖しく光ったので、ボクは
びっくりしたよ。
でも、ボクを見るときは、また優しくなって、理事長先生の言葉に傷ついた
小さな心がいやされた気がしました。
(この人は・・・こどもの気持ちがわかる人なんだ。・・・じゃあ、もう友達だね)
ボクはうれしくなって、画用紙をLilinoeに渡した。そしたら、ふしぎな言葉を言うんだもの、
また驚いちゃった。
「おばさんと(日本)にきて、たくさん素敵な絵を描いてみないかい?」
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