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久しぶりに、横浜駅界隈を散策した。高島屋に、ホテルシェラトンと、ずっと以前から変わらない
眺めが続く。その間を奥へ向かって進み、細い商店街へ入った。かなり雰囲気が異なる店同士が
隣り合っている。
「これは何屋なんだ」
一見だけでは見当がつかない店もあれば、何処の駅近くでも見飽きているマクドナルドやドトール。
聞いたこともないカタカナ表現の店が次々と並んでいる。間口が1メートルもない店が、1区画の建
物を4等分している。しかも、3階以上はある。
「上に上がると、どうなっているのだろうか」
好奇心は募るが、何となく引ける思いになって、素通りを決め込んだ。
しばらくブラブラしていると、坂になった。
「おやっ」
1軒の喫茶店が眼にとまった。その佇まいが、無性に懐かしさを呼び覚ます。
「此処は、川の袂にあった喫茶店じゃないか」
その川がなかった。背伸びしても、店の間の横壁から遠くを透かして見ても、視界に入るの
は建物ばかりだ。
気が引ける思いを押し殺して、肩の幅くらいしかない路地に入り込んだ。1歩、2歩と、壁伝い
に歩みを進めた。振り返っても、通りが透かせない所まで入り込んだとき、見覚えのある汚らし
い情景が開けた。
川っ縁に、古びた丸太組みが並ぶ。布団干しにも使えそうなほど、太い。その向こう側に、すき
ま風が音を立てそうなくらい古い家が、長屋状に並んでいる。その軒先には、人目もはばからず
に女性用の下着が吊され、どぶ臭い空気の中を漂っている。そこは、まさに、夜の蝶という言葉
が通用していた時代の名残りだった。
「歓楽街とは言えなくも、まだ夜の営みは続いているのだろうか」
そんな思いにかられる男の街の一角を見た。
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