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1987年春、僕は大学を卒業し、東京駅近くの金融機関に就職した。
今までの夜型のだらだらした生活を脱却し、朝方の生活のリズムに慣れるまで、半年位かかったように思う。当然、「夕ニャン」なんて見ることもできず、日々の仕事に時間は忙殺された。まもなく、そんな事が起きようなんて、微塵も予測してなかった。
ある日、仕事帰りくたびれて銀座線に乗っていた。前の座席に座っていたサラリーマンのタブロイド紙からとんでもない文字が飛び込んできた。
「高井麻巳子結婚!!相手は秋元康」東スポではない!これは事実なのか?
動揺を抑え、社員寮近くの定食屋に飛び込んで、焼肉定食をかっこんだ。でも、相手が秋元康ということであろうか、腹は立たず、妙に納得した心境であったことも事実だ。
でも、アイドルウォッチングはその日を境に卒業した。
話は前後するが、社員寮に引っ越す前、僕は10本位のビデオ(アイドルやMVTもの)を処分した。なぜなら、引越し先は5畳の狭さ。人事の人に「荷物はできるだけ軽く」と云われていたのだった。後で振り返ると捨てたことは社会人になるという何かの暗示だったのかなーと思う。その中はアイドルものだけでなく、ピーター・バラカン司会の「ポッパーズMTV」を欠かさずに録画した、ライ・クーダーやエルビス・コステロ、ハウスマーティンズなど、現在ならマニア垂涎のお宝のミュージックビデオが入っていたのだから。今、思うとちょっと惜しい気がする。
それでも、有難いことに東京に在住していたので、レコードとCDだけは買いつづけ、ライブにも時間が許す限り足繁く通った。ポピュラー音楽だけが、僕の最後のモラトリアムだと実感していた。
現在もう、不惑の年になったが、相変わらずドキドキビクビクしながら生きている。そんな、僕の心の支えとなったマスターピースであるアルバムを次回から紹介したい。
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