サントリー天然水工場(白州)との井戸水問題・他:白州の森

白州の森が綴る、「サントリー白州工場との井戸水問題」等の「森からの便り」

山の本 読書感想

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武林イヴォンヌのこと:『山靴の画文ヤ・辻まこと』駒村吉重 著-その2



イメージ 1無想庵に三行半をつきつけ、ベルギーのアントワープに欧州一の日本人商社を一代で造り上げた宮田耕三の妻となっていて、もう金に不自由することなく、若き頃女優に憧れた文子は、知り合った映画会社社長も兼務していた中央公論社長に、自慢の娘・イヴォンヌの写真をみせた。
「わが社が女優として迎えよう、しばらくパリで歌と踊りを勉強させてから来日させたら」と。
すぐにパリにレッスン用のアトリエを借り、イヴォンヌを住まわせたが、イヴォンヌはレッスンに身が入らない。
アトリエはたちまち画家志望の若者や留学生の溜まり場になり、酒を覚えたイヴォンヌの生活は乱れ、荒れた。やがて日本人医学生との恋愛をこじれさせ、手持ちの睡眠薬を飲んで命を絶とうとするが、発見が早く、一命を取り留める。
しかし、3ヵ月後、文子が目を離した隙に、二度目の自殺を図る。
二度目の自殺未遂事件のその前に、南仏に居たイヴォンヌが一人、粗末な身なりでパリに舞い戻ってきて、読売新聞のパリ支局長になっていた松尾邦之助に保護を求めたことがあった。
一ヶ月ほど松尾の家に居た彼女は、やっとアントワープに腰を落ち着けた母の元に向かうも、二ヶ月後また松尾家のベルを鳴らす。
「ふたたびパリの土を踏んだイヴォンヌは、もう、二ヶ月前の初々しい朗らかな処女ではなく、何かに強烈に反逆してる”恐るべき娘”になっていて、時々うつ向いて考え込んだり、急に神経質な発作で泣いていた」と『巴里物語』に書き残こされている。
数日するとやっと口を開いて「母親の行状を鋭く非難」した、という。じきに、文子がパリに借りた例のレッスン用アトリエに引っ越す事になるが、一回目の自殺未遂事件はこの直後であり、二回目の未遂事件の後、イヴォンヌは「ママ公は、お金のある人とだけ次から次へと関係し、あたしのことは第二にしているのよ」と、松尾に吐き捨てた、と。

イメージ 2あれこれ文献をさがしていると、パリでの彼女をつぶさに見つめた稀少な記憶が、もう一つ、思いもよらないところから出てきた。
小樽商科大学で教鞭をとった松尾の実弟・正路が退官後に出版した随筆集『地球の春』(春秋社)に「イヴォンヌ パリの憂鬱」という一章が挟まれていたのである。
東京外国語学校フランス語科を卒業した正路がイヴォンヌを知ったのは、兄を訪ねてパリに居たときだという。二度目の自殺騒動の直後、松尾の事務室によくやって来た「細いからだと半透明の蒼い皮膚」を持つイヴォンヌは、つかみようのない謎めいた娘だった。
晩年の老学者がつむいだこの詩的な文体は、彼女が漂わせるはかなさによく似合っていた。

イメージ 3更に続くが、もう止めよう。
すっかり長くなってしまった。
最初に目を通した時、『地球の春』「イヴォンヌ パリの憂鬱」の一章を読み終えた時のあの何ともいえない重苦しい異様さ、不思議さ。
それが、解けた。

イメージ 4
(蛇足)
この「山靴の画文ヤ(辻まこと)」を知る前に読んだ、私にとっての一番新しい辻まこと関係著作は、池内 紀の『見しらぬオトカム・辻まことの肖像』であった。
池内 紀はあとがきでこう書いている、
『副題に「辻まことの肖像」とうたっているが、人間にわたる部分はきわめて少ない。
私自身、他人の私生活にわたることは好まないし、辻まこと自身、もっとも嫌ったところだった。』と書いて、彼自身に語ってもらおうと、まことが書き残した文章を紐解いて書き上げている。

イメージ 5


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「森からの便り」(21編) :ログハウス建設当時の詳細や井戸水問題・環境・原発問題が掲載されています。「続」(26編)、「新」(25編)とエッセイは続いています。
「山野跋渉」 :私、「白州の森」のアルプス遠征(2008年)や、北鎌、北方稜線、前穂北尾根等の山行記録
「星の小舎便り」 :MWV OB会のページ
「オールドローズ」 :「山ノ神」の趣味、オールド・ローズ、イングリッシュ・ローズ、Xmasローズ等


サントリー天然水白州工場との井戸水問題の経緯
その1 :2008/9/5 「内容証明で新井戸掘削に同意を求める書簡が届いた」
その2 :2008/9/7 「同じ内容の同意を求める書簡がまた送られて来た」
その3 :2008/9/15 「1回目のサントリーの説明」
その4 :2008/9/17 「隣接関係者が示した"覚書"案」
その5 :2008/9/22 「隣接関係者が示した"覚書"案に対するサントリー側の覚書対案について」
その6 :2008/9/24 「北杜市地下水採取適正化に関する条例」
その7 :2008/9/26 「"環境保全に貢献した企業の取り組みを紹介し、その成功要因を"のテーマで提出されたレポート例」、皮肉!!!
その8 :2008/9/30 「同意が無い間にも試掘は進み、井戸水汲み出しテストが進行」
その9 :2008/10/1 「サントリーの説明に対して、隣接関係者からの質問」
その10:2008/10/7 「隣接関係者の覚書案に対するサントリーの回答・覚書案」
その11:2008/10/15 「素朴な質問:1回目の説明に対して質問を投げかけた」、そのやり取り
その12:2008/10/20 「山梨日日新聞が報じた:天然水の新工場、12月に着工、2010年春 完成を目指す」
その13:2008/10/24 「吾が井戸の水質検査結果」
その14:2008/10/28 「2回目のサントリー側の説明」
その15:2008/11/10 「覚書の再々提案はまだ出てこない」と「教育委員会への質問」
その16:2008/11/19 「北杜市・教育委員会からの回答」
その17:2008/11/20 「投げかけた質問の内容」
その18:2008/12/9 「井戸調査は完全に徒労に終わった」
その19:2008/12/11 「何と言う無作法な企業であろう!」
その20:2008/12/16 「濾過器のフィルター膜を分析のために持ち帰った」
その21:2009/3/17 「濾過器のフィルター膜の分析結果」
その22:2010/1/29 「サントリー天然水南アルプス(株)白州工場 4/22に竣工」
その23:2010/7/22 「北杜市の水道料金値上げ問題:その1」
その24:2010/7/22 「北杜市の水道料金値上げ問題:その2」
その25:2010/7/22 「国際青年環境NGO A SEED JAPAN 水プロジェクトの白州の現地調査」
その26:2010/8/10 「サントリー白州 天然水 工場見学と涵養林現場調査の落差」
その27:2010/8/22 『日経新聞「私の履歴書」(広岡達郎-西部へ)を読んで』

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