北極冒険家荻田泰永のブログ 北極点を越えて

日本人初の北極点無補給単独徒歩到達を目指しています!

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北極点まで、氷の上をソリを引いて歩いて行く。そう聞くと、多くの人が「ツルツル滑る、スケートリンクみたいな氷の上を行く」という想像をしがちですが、現実はまっっっっっったく違います。

北極の海は、水深4000mくらいの深い海の表面3mほどが凍っているだけの、薄膜のような氷なので、その海氷は海流や風の影響で常に流れ動き、ぶつかり合うことで10m以上の大きな壁のような乱氷を作り、引き合えば大河のような大きな割れ目となります。

海の上を歩いていくということは、標高は基本的には延々と海抜0mです。登山のように標高が上がって行くことはありません。

北極の冒険の最大の特徴は、延々を水平面を進んで行く中に、乱氷帯や割れ目(リード)といった障害物が次々と、しかも不規則不安定予測不能に現れてくるということです。

そんな中を、100kgの荷を積んだソリを自分で引いて、800km先の北極点を目指す。気温がマイナス50℃以下になり、どこからホッキョクグマがやってくるかもわからない、という環境なわけです。

今日は、北極海で発生するリード対策の、ドライスーツとフォールディングカヤックのテストと訓練に行ってきました。

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海の上を進んで行く北極海の冒険では、はるか昔からリードとの闘いでもありました。

乱氷帯は、頑張れば通過できます。進行速度は極端に落ちますが、頑張れば少しずつは進めるのですが、目の前にアマゾン川みたいな、対岸までの幅が数kmもあるような巨大なリードが横たわっていると、まった進むことができずにそのリードが動いてまた閉じるのを待つか、表面が再凍結するのを何日も待つか、という選択肢しかありませんでした。

2000年代以降になって、幅が数百メートル以下のリードであれば、ドライスーツと言う水を通さない、水に浮くスーツを着て泳いでリードを通過すると言う手法が現れました。

ドライスーツの登場で「リードは泳げ」というのが一般的になりました。

しかし、ドライスーツで泳ぐにも限界があります。ゆっくりゆっくりと、仰向けになって両手で水を掻くように泳ぐので、何キロにも幅が開いたものは泳ぎきれません。また、時間もかなりかかります。

ここ数年間、多くの北極点を目指す冒険家が、幅が数キロにも開いた巨大なリードに足止めを受けて、リタイアせざるを得ないということが起きています。

ドライスーツで泳ぐというのは、この10年くらいで極地に起きた「新手法」の革命だったわけですが、さらに効率化、確実性を増すためには、私はフォールディングカヤック(折りたたみ式カヤック)を使うことを考えました。

荷物を載せているソリは、水に浮きます。ソリは、カヤックの後ろに連結してパドリングして進みます。

今回、私が用意したカヤックは、姫路のカヤックビルダー高嶋さんの制作による「バタフライカヤックス」です。http://www.bfkayaks.com/

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高嶋さんとお会いし、実際に北極の極低温下で使用することを考慮した仕様変更をいくつかお願いし、船体布の生地やエアチューブを使わずに幅をやや広くすることで安定感を増すなどの「極地仕様」に作って頂きました。

気温がマイナス27℃ほどでしたが、船体布が凍ることもなく、表面に凍り付いた氷も手で払うと綺麗に剥がれ落ちます。
ソリをカヤックの後ろに連結し、パドリングしてみると、ソリの喫水が浅く、水の抵抗が少ないので思った以上に軽く感じました。
水に入るときや、上陸するときなど、事前に一番リスクが高く、ポイントとなるであろう行程に関しては、もう一度シミュレーションが必要なことも分かりました。
ただ、全体的に、カヤックがかなり有効であることを実感しました。

これまで、北極点を目指す冒険の中でフォールディングカヤックを使用した人はいなかったと思います。

ソリ二台を横に連結し、スキーなどでイカダのように組みあげると、実はその上に人が乗って大きなリードも通過できるのです。

じゃあ、それでいいじゃないか?という意見もあるんですが、それだとすでにある手法をそのままなぞっているだけのような気がして、あまり面白くないと言うか、なんか物足りない。
実は、ソリを引いて氷上を歩くよりも、カヤックで荷物を積んでリードを進んだほうが明らかにスピードは速いのです。
フォールディングカヤックが確実に機能することがもし分かれば、これまでただの「障害物」でしかなかったリードと言う存在が、北極点を目指すにあたっての「ハイウェイ」に変わるかもしれません。
この10年以上、毎日のように北極海の衛星写真を見てきて思ったのは、北極点近くになると発生しやすくなる「南北に伸びる大きなリード」を、うまく使えばこれまでになかった手法で北極点を目指せるのではないか!?ということです。

あとは、実際に現地でどのように機能するか?誰もやった事のない試みなので、分かりません。

試行錯誤して実験し、改良してまた試す。その「トライ&エラー」こそが冒険の基本であって、すでに出来上がっているマニュアル的なものをなぞりながらいくら僻地に行って派手なことをやっても、その本質は冒険的とは感じられません。

あと一点。「北極点無補給単独徒歩」をやるんだろう!?カヤックを使って「徒歩」って言えるのか!?というご意見があるとしたら「徒歩」というのはあくまでも「自力」でという表現で使っている言葉であって、英語で表現すると「Unassisted」「Unsupported」「By myself」という表現になります。
つまり、機動力に頼らない、自力での冒険であるということ。自分で運んだカヤックを、自分の力で漕ぐ限りは、自己完結しているのです。

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