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北極点から計画変更し、カナダ北極圏からグリーンランドまで歩くという別計画で今年は実行します。 北極点をやらないからと言って、今年のルートが簡単なのか?と言えば「否」です。 カナダ極北部の島嶼地帯は、北極海とはまた違った難しさがあります。 今回のルートも、難易度としては決して易しくはないです。 というか、けっこう高いです。 まず、グリーンランド側の海峡に抜けるまでが気温が低い。マイナス45℃はざらだと思います。 それから、ホッキョクグマが多い。一番気をつけないといけません。 島越えのルートが詳細不明。カナダ北部のエルズミア島をグリーンランド側に抜ける谷は「スベルドラップパス」と呼ばれています。100年ほど前にこの地域をはじめて探検したノルウェーのオットー・スペルドラップが通過して発見したルートです。 氷河が削った深い谷間に、目前まで氷河が迫り、夏の解氷時期の様子によって冬の様子が変化するようです。 かつて通った人の報告では、この谷にアイスフォールのような凍った滝があって通過するのに非常に苦労したという話しもあります。 グリーンランド側にわたると、目的地のシオラパルクまでは氷床を100kmほど横切って、最後は大きな氷河を下って海に出ます。その氷河自体は、2004年に私がグリーンランドを犬ぞり縦断した時にも通過したことがあるのですが、もう12年前の話し。 下る氷河を間違えたりとか、ルートを誤るとクレバス帯に入ってしまいます。 最大のポイントはカナダとグリーンランド国境にあたる「スミス海峡」です。 南部の広いバフィン湾から北極海への通路として、歴史の深い海峡ですが、ボトルネックのように幅50kmほどに狭まった箇所は流れが速く、一旦解氷が始まると堰を切ったように北から氷が押し流れてきます。 フローエッジと呼ばれるアーチ状に海氷が凍結した箇所を、風や潮汐の様子を見て、渡れると判断した時に素早く通過する必要があります。 スミス海峡は、北極の探検史を学ぶ中では多くのドラマを産んできた地域です。その現場に行けるというのは楽しみでもあります。 この場所は、長い人類拡散の歴史で昔のイヌイットが何度も行き来してきた海峡です。 かつてはグリーンランドのイヌイットたちもカナダ側に狩りに来たりと、頻繁に行き来もありましたが、最近の環境変化で海峡が凍りにくくなり、ここを越えるイヌイットもいなくなってしまいました。 ただ、今年はこの海峡の結氷は例年よりも早いようです。今の様子を見ると、きっと渡れるでしょう。 この地域は、海峡が複雑に入り組むことで、海峡ごと湾ごとの海氷状態が様々に異なります。それにより、二つの海峡がぶつかり合う箇所などは北極海以上の巨大な乱氷帯を形成することもよくあります。 切り立った海岸線の近くであるとか、流れの速い海峡には「ポリニア」と呼ばれる不凍結箇所がスポット的に発生します。昨年、私がいつも入るレゾリュート村の北側で、オランダ人の2人組が徒歩冒険中にポリニアに落水し、2人とも亡くなるという事故もありました。 ただ、海峡ごとの海氷状態の傾向であるとか、ポリニアの発生しやすい箇所と言うのはおおまかには例年の傾向は決まっています。 私はこの15年ほど、この地域の海氷をずっと観察し続けてきました。ですので、海氷状況の傾向に関しては自信があります。 海氷状況を観察する時に役立つのが、衛星写真とともにEggCodeと呼ばれる海氷のチャート図です。 カナダの環境省による、天気予報ならぬ「海氷予報」です。 このエッグコードはちゃんと見方があります。見方を覚えると、この地域の海氷を理解するのにとても役立ちます。 冒険は体力とやる気に任せてやればいいというものでもありません。しっかりとした下調べと勉強に裏付けされてこそ、大胆な行動がとれるはずです。 そこに「冒険」と「無謀」の境があると思っています。
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クレイジージャーニーのお気に入りでまた取り上げられてましたね。
今回は北極点を目指さないにしても、またまた危険そうですね。
たっぷり人の温もりを今のうちに感じておいてくださいな。
2016/1/25(月) 午後 10:06 [ bri*i*h_c*med*_no* ]