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私が冒険を行っているのが「北極」です。
地球の反対側には「南極」があるわけですが、それぞれがどう違っているのか?説明したいと思います。
なかなか普段、北極だの南極だのと意識することもないと思います。
その前に、じゃあ「北極」っていったいどこなのか?と言ったら、地球の北の方はだいたい北極、くらいでいいと思います。
では、北極点は?と言うと、地球の自転の軸である北緯90度の一点だけです。厳密に言えば、北極点に立って、そこから一歩でも横に動けば北極点ではなくなる訳です。
北極圏という言葉もありますが、北極圏とは、北緯66度33分以北の地域がすべて北極圏です。
地球の自転軸が、太陽に対して23度27分傾いているため、北緯66度33分以北の地域では一年のうちで一日以上の白夜の日があり、その地域を北極圏と呼びます。
以上の文章の「北」を「南」に置き換えると、そのまま南極の話になります。
で、北極と南極の違いですが、世界地図がある方は見てもらうと分かると思いますが、北極は大部分が海に覆われていて、北極点の周囲も北極海が広がっています。
南極は、大部分が南極大陸で、南極点も南極大陸のほぼ中心部にあります。
つまり、大雑把に言えば、北極は海、南極は大陸、という事です。
ホッキョクグマは、名前のとおりに北極にしかいません。南極にいるのはペンギンで、北極にはペンギンはいません。
どっちの方が寒いのか?という疑問があると思います。どちらも広いので、観測する場所によって全く事情は違ってきますが、北極点と南極点で比べるならば、明らかに南極点の方が寒いです。
南極点では最も暖かい12月の平均気温はマイナス27度ほどで、最も寒い7月ではマイナス60度近くにもなります。
一方、北極点では、観測基地がないので具体的な数値は不明ですが、平均は夏季には0度ほど、冬季でもマイナス30〜40度ほどであると思われます。
なぜ南極の方が寒いのかといえば、南極は大陸の上を厚い「氷床」が覆っています。「氷床」とは、分厚い氷のかたまりで、最も厚いところで標高4000メートルにもなります。4000メートルの厚さの富士山よりも高い氷のかたまりが地面を覆っているわけです。
南極点でも標高は2835メートルあります。標高が上がることで、自動的に気温も下がります。また、北極であれば海水の温度である程度大気が温められますが、南極ではそれがありません。
つまり、より寒いのは南極であるという訳です。
「じゃあ、南極の方が冒険をする上でより過酷なんでしょうね」という事かといえば、実はそうではありません。
南極で冒険を行うのは、南極の夏にあたる12月から2月までです。そのころは、南極点付近でも平均気温がマイナス27度ほど、より海岸線に近い標高の低い地域ではさらに気温が上がります。マイナス10度台の地域もあるでしょう。
一方、北極で冒険を行うのは、冬の終わりにあたる2月から5月までです。5月になると気温もマイナス10度台にも上がりますが、2,3月では、マイナス40度は当たり前で、時にはマイナス50度にもなります。
つまり、南極の夏と、北極の冬の終わり、を比べると、北極の方が寒いのです。
さらに、南極は大陸の上であるために足もとの氷は平坦で動きません。延々と続く平坦な地平線を進むわけですが、北極の海氷は常に動き、あちこちで巨大な乱氷や、氷の割れ目を作り出して前進の障害となります。そして、北極では最も脅威でもあるホッキョクグマがいつどこからともなくやってきます。
私を北極へと導いてくれた冒険家の大場満郎さんは、北極海と南極大陸の両極の単独横断という世界初の冒険を達成した人ですが、大場さんは「北極の方が南極よりも10倍難しい」と言っていました。
そして、北極には昔からイヌイットの人々が住みついていましたが、南極大陸は完全に孤立した大陸として人が住むことがありませんでした。
北極は、カナダ、アメリカ(アラスカ)、ロシア、デンマーク(グリーンランド)、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、アイスランドの8カ国がそれぞれの領土から北極点までの領海を自国としていますが、南極大陸はどこの国にも属さない、平和利用に限った活動しかできない地域として、南極条約によって国際的に保護されています。
一口に南極、北極と言っても、なかなか大きな違いがあるのです。
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