北極冒険家荻田泰永のブログ 北極点を越えて

日本人初の北極点無補給単独徒歩到達を目指しています!

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十四日目

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歩いていると、時々ホッキョクギツネが足元まで近付いてくる

初めて読む方は8月27日からの連載ですので通して読んでみてください。

十四日目
日記より
「4月22日 晴 マイナス21度 北西風
6時半起床。朝食をとってテリーさんに電話。9時少し過ぎ、今日のスタートを切る。岬を越えるルートを選んだが、雪がモウレツにやわらかい。ゆるやかに下っているにもかかわらず、そりが重い。ついて来ない。こっちのルートは大失敗だったらしい。11時に再び海に出る。
ヴィックスフィヨルドを出て、Boat Pointに向かうあたりで北西から強い風が吹き始めてきた。東に向かっているので左後方からの風だ。Windyだ。ヴィックスフィヨルドの出口はけっこう荒れている。大きい乱氷はないが、小さいものが一面に広がっているカンジ。このくらいの氷が一番歩いていて楽しい気がする。真っ平らだと飽きてきて、なかなか時間が経たない。しかしこういう氷はルートを選びながら行くので時間があっという間に過ぎていく。BoatPointはもう見えている。ひたすらそりを引き、6時前にPointに着くが、辺り一面乱氷でクマの足跡も多い。こわいのでとりあえず歩き続ける。すると氷が平らになってきた。6時半、キャンプを張る。外はあいかわらずの強い北西風。この風は吹き続けるだろうか?」

北極の海氷上で如何に進路を知るか、ナビゲーションは最も重要な技術の一つでしょう。海の上を進むということは、基本的に目標物のない水平線を見ながら歩かないといけないということです。
極地のナビゲーションはいくつもの要素を組み合わせて行ないます。まず行なうのは、一日を通しての進行方向を出発前に決定すること。それは地図とにらめっこしながら決め、例えば今日は真北よりも30度東よりの方向に進む、と決定するとします。
私は方向を360度で考えて頭で整理します。真東は90度、真南は180度、真西は270度、真北は360度です。
今日の進行が30度と決定したら、その方向を向いて足下を見ます。多くの場合、雪面には風紋と呼ばれる筋状の模様が刻まれています。風紋は一定方向からの強い風によってできたもので、広いエリアに渡って同じ方向に刻まれています。履いているスキーと風紋の角度を覚えておけば、その角度をキープしながら歩くことで真っすぐ進むことができます。風紋と同様に風向きも方向を決める要素となります。

太陽は最も大事なナビゲーション要素です。太陽は真夜中の12時に真北に移動し、昼の12時に真南ににきます。小学校の理科で習う正中と南中です。
赤道付近の低緯度地域では太陽の軌道は頭上高く上がってしまって、方角は分かりにくいですが、北極や南極のような高緯度地域では太陽は常に地平線から近く低い高度で移動していきます。その為に太陽の位置と時間から方角を割り出すのが容易です。
ただし、注意するのは南中が必ずしも昼の12時ちょうどとは限らないということ。その土地のローカル時間と太陽の動きは必ずしも一致はしません。日本でも北海道の知床半島と沖縄の石垣島は同じタイムゾーンかもしれませんが、同時刻の太陽の位置(方角)にはかなりの差があります。
私はいつも出発地点の時間と太陽の動きの差を頭に入れておきます。つまり出発地がレゾリュートであれば、昼12時に太陽がどの方角にあるかを村にいる間にチェックしておきます。
12時に180度の真南ではなく、170度の位置にあれば、時間と太陽の動きに10度の差があるということ。朝6時の真東90度に太陽がくるべき時間には、実は80度の方角の真東から10度北よりに太陽があることになります。

さらに補足すると、自分の移動が東西に広がり、出発地点との経度の差が大きくなると、時間と太陽の動きの角度の差が変化します。
東西方向に経度を15度移動すると太陽の動きが一時間分(角度にして15度)変わります。目指す進行の角度、太陽の位置、時間と太陽の動きの角度の差、出発地と現在地の経度の差、それらを頭の中で整理しておくと、太陽の位置さえ分かればあとは時間を見ることで正確な方向を割り出すことができます。

おそらくこれを読んでいる方々は、方位磁針(コンパス)は使わないのか?と思うかもしれませんが、私は全く使わいません。いざというときの為にコンパスは持って行きますが、私は上記の太陽と風紋のナビゲーション方法の方が正確に歩くことができます。
コンパスを使うとしたら、その日の進行方向を地図上で決めたあとに、実際にそれがどちらの方向かを知る為だけであって、それはGPSの方が正確で簡単です。コンパスはGPSが壊れたときのバックアップに過ぎません。また、北磁極に近いカナダ北極圏は磁場が不安定で、磁北と真北の偏差が大きくコンパスの精度に欠けます。
上記のような風紋、風向き、太陽と時間、これらを組み合わせることで目標物のない海氷上を真っすぐ歩くことができます。
つづきはまた明日。

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