ホッキョクグマがアザラシを食べた跡。真っ赤な血が氷上に…。アザラシの姿はなかった。
初めて読む方は8月27日からの続きですので通して読んでみてください。
十八日目
日記より
「4月26日 晴のち曇り 夕方から強風東風
6時半起床。9時10分出発。今日も天気は良い、が、風が東から吹いてくる。うーむ、気になる…。
弱い風を正面に受けながら東へ進む。海氷は平らである。歩いているとよくレイバン(ワタリガラス)が頭の上を飛んで行く。人間を観察しているのか?「カポンカポン」という鳴き声を出しながら、時々頭上でホバリングしていく。
きょうはなるべく止まらずにできるだけ長時間歩くように心がける。最低でも一時間は足を止めずに、長い時は一時間半ほど、一息ついてまた歩く。
今日は特別変わったこともなくひたすら歩き続け、6時前にキャンプ。しかし、4時半ごろから東風が強くなってきている。日記を書いている今、8時半には外は強風、東からだ。空も雲が広がっている。しかし雲の動きは南北方向に動いているように見える。うーむ、明日の天気はどうなのだろうか?グリスフィヨルドまでついに100kmを切った。あと4日で着くのだが…。まあ、人間がいくら考えたって天気はどうにもならん。明日ブリザードなら一日寝てよう」
北極での徒歩行の場合、着ているウェアは意外と薄着です。マイナス40度の気温で歩くとしても、下半身は化繊のタイツとフリースのズボン、その上にゴアテックスのビブを履きます。足はウールの靴下を二重に履きます。上半身は化繊のTシャツのアンダーウェアと長袖の化繊のアンダーウェア、その上にフリースのジャケットを着て一番上にゴアテックスのジャケットです。気温によってアンダーウェアの枚数を減らしたり、暖かくなってくるとフリースを抜いたりして調節します。歩いている間にもジャケットのジッパーを開けたり閉めたりしながら体温調節して、なるべく汗をかかないように気をつけます。
そりを引いて歩いていると運動量が激しいので汗を多量にかきます。汗をいかにかかないかが一つの技術にもなりますが、どう頑張っても汗はかきます。
外側からの水分(雨など)は防ぎながら、内側からの蒸気は外に発散させて蒸れないようにするのがゴアテックスの特徴ですが、北極では体からの汗を外に発散させる前に水分は凍りついてしまいます。
汗は外に発散される前に、ゴアテックスのジャケットのインナーとアウターの生地の間で凍りつきます。私はジャケットの内側の生地の一部分をナイフであらかじめ切っておくのですが、一日歩くとそこから凍りついた汗がジャラジャラ音を立てて出てきます。野球のボールくらいの氷玉ができるくらいの量になります。
続きはまた明日。
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