今日はまず、おススメの本の紹介から。タイトルは「父さんのからだを返して」です。
この本は、父親を骨格標本にされたイヌイットの少年の人生を綴ったノンフィクションです。
話の内容は、この本の裏表紙に書かれているあらすじを紹介します。
「1897年、北極探検家ピアリーは、幾多の手土産とともにニューヨークに華々しく凱旋した。その中には、珍種動物同然の扱いを受けることになる6人のエスキモーがいた。彼らはニューヨーク自然史博物館の学者たちが追及する「人類学」のために連れてこられたのである。
北極地方とはかけ離れた暑さと湿気に冒され、エスキモーたちは次々と倒れていく。共に来た父に死なれたエスキモーの少年ミニックは異邦で孤児の身になってしまう。ある日、埋葬されたはずの父が、博物館で骨格標本として陳列されている姿を見つけたミニックは、遺骨を取り戻そうと、絶望に陥りそうになりながらも懸命に手を尽くすが…
文明の傲慢さと無理解に翻弄され、肉親も故郷も失い、北極とアメリカという二つの世界に引き裂かれてしまった少年の彷徨を、20世紀初頭の探検熱と人類学のありようを批判的に俯瞰しながら描き出した衝撃の物語」
という内容です。この本のまず素晴らしいところは、筆者であるケン・ハーパーの取材の細かさです。登場してくる人物が残したメモ書き一枚から、その周辺への取材がものすごく緻密で、「そこまで調べるか」とツッコミを入れたくなるほどに細かく取材しています。
そしてなによりも内容が抜群に素晴らしい。北極に興味がない方でも読めると思います。20世紀初頭のアメリカ社会、学問と人権、イヌイットの文化、それらをよく学ぶことができる一冊になっています。この本は是非読んでみてください。おススメします。
ここからは昨日の続きを。初めて読む方は8月27日からの連載(にするつもりはなかったんですが、連載になってしまいました)なので、ちょっと長いですが読んでやってください。
レゾリュート出発二日目
当時の日記より
「朝から風が吹いている。空は青いが風が強いようだ。朝食を済ませ、外に出てテントをたたむ。きのうは岸沿いを歩いてきたが、沖の海氷状態が良さそうなので沖へ出る。沖の海氷は最高、まっ平ら。ただ、風が向かい風(東風)なのがつらい。体がそり引きに慣れていないのもあって疲れる。
ランカスター海峡をひたすら東に。氷の状態はほとんど問題ない。が、やはり疲れる。3,4日は辛抱の日々であろう。午後2時くらいから急に雲が多くなりだした、風も強い。4時半、向かい風が強い、体はグタグタ、これ以上歩いても疲れるだけだ。今日はここでキャンプをする。空は一面の雲、うーむ、明日の天気は大丈夫だろうか?」
北極の徒歩行は自分の体と自然との対話のようなものです。って、ちょっとカッコつけて言ってしまいましたが、向かい風がきつくて歩けなければ、歩くのはやめてさっさとテントを張ります。いつもではないですが、極力無理はしません。ただ、あくまでも「極力」なわけで、もともと北極を歩くということ自体が無理があることなので(イヌイットだって犬ぞりやスノーモービルには乗るけど歩きはしない)難しいところですが。
スタート直後はとにかくのんびりと、体を慣らしながら進むことが肝心です。
つづきはまた明日。
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