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まずはお知らせから。 旭川市でスライドショーをやります。10月16日(土)18:00より、参加費無料、場所は旭川市市民活動交流センターCoCoDeです。旭川市科学館サイパル隣りです。 今年の旅の報告、北極点挑戦にむけてお話します。参加希望の方はメールにて、yasu@ogita-exp.comへ、参加人数と代表者名をお知らせください。詳細はhttp://www.ogita-exp.com/homepage/10-16.htmlをご覧ください。 また、スライドショーの告知も兼ねて、今週土曜日9日の17:00より、FMノースウェーブの「STATION DRIVE SATURDAY」に電話で出演します。DJはヒロ福地さん、北海道の方は聴いてみてください。 ということで、前回の続きです。初めての北極単独徒歩行レゾリュート〜グリスフィヨルドへの単独行紀行文です。 2002年、初めての北極単独行のスタートを切った私は、レゾリュートの村から一人出発しました。キャンプ道具や食料、燃料といった必要なもの全てを積んだそりを体に付けたハーネスと結び、手にはストック、足にはスキーを履いてゆっくりゆっくり歩いていくのです。そりの重量は約60kg、中間地点までの2週間分の食料と燃料を積んでいます。 目的地のグリスフィヨルドまでは500km、一カ月弱かかる予定です。中間地点でレゾリュートからスノーモービルでの補給を頼んでいます。知り合いのイヌイットに来てもらうことを頼んでおきました。 ベテランの冒険家であれば500kmの距離で一か月分であれば補給を受けずに充分到達できるでしょうが、私はこれが初めての一人旅で、初めての自分自身の旅です。あえて無理をしないで確実に到達できることを重視して計画を考えました。 レゾリュートで私のサポートを行ってくれるのがテリー・ジェスダーセンさんというカナダ人の女性です。テリーさんはかつて夫のベーゼルさんとともにレゾリュートでロッジを営んでいました。 世界中の冒険家は皆ベーゼル、テリー夫妻の世話になり、北極の冒険を行っていたのです。二人がロッジを始めたばかりのころに世話をしたのが植村直己さんです。植村さんの本にも二人の事が出てきますが、植村さんのグリーンランドからアラスカまでの旅、その後の北極点への旅でも植村さんは二人の世話になったのです。植村さんは日本の自宅にベーゼルさんを招待したこともありました。 しかし1995年に夫のベーゼルさんが突然他界し、テリーさんはしばらく一人でロッジを切り盛りしていましたが、1999年にロッジを閉めてしまいました。 テリーさんはこの冬が終わったら南の生まれ故郷に帰る予定で、最後に私の旅をサポートしてくれることになったのです。 初日のスタートは午前11時。次第に遠くなるレゾリュートを振り返りながら、一歩一歩確実に進んでいく。北極の徒歩行はスタート直後が最も厳しいといえます。食料や燃料は毎日消費するごとに減ってそりは軽くなっていきます。つまりスタート直後が最もそりが重く、また体もそり引きに完全に慣れていないので非常に疲れます。15分歩いては一度立ち止まり、息を整えてからまた歩く、ということをひたすら繰り返すのです。しかし一週間も過ぎる頃には体も慣れ、1時間でも2時間でも立ち止まらずに歩き続けることができるようになります。 レゾリュートを出発してからは海氷上をひたすら進んでいきます。島の点在する地域なので、一直線にグリスフィヨルドを目指せるわけではなく、島を回りこんだり島を越えたりと多少蛇行しながら進みます。 当時の日記より 4月9日 マイナス20度くらい 寒くない日 いよいよ出発の日である。朝7時起床、朝食をとり今日の出発を11時と決める。パッキングの最終確認、テリーさんといくつかの打ち合わせ。宿の支払い、部屋の片付け、なんだかんだで11時。 テリーさん、コレットさん、カナダ人の冒険者イワン、レンジャーの人々に見送られながら写真などを撮りつつ出発する。 特別な感情は無い、なごりおしくもなければ楽しいわけでもない。 最初はゆっくりゆくっりと思いつつも、つい足が速くなってしまう。声に出して「ゆっくり行こう」と自分に言い聞かせる。 そりも思ったほど重く感じずスムーズに引ける。天気は快晴、風もなく最高の出発日よりである。 しばらく歩くとあっという間にレゾリュートが小さくなっていく。島に沿うように、沖には出ないで歩く。ビーチが広く歩きやすい。途中一度だけクマの足跡を見る、古いものか? 午後5時過ぎまで歩き、テントを張る。7時、テリーさんに電話。位置と状態を伝えて終了、食事をして今日は寝る。15km進む。 「電話」というのは通信手段の衛星携帯電話のことです。え!?携帯電話!?と思うかもしれませんが、人工衛星経由で電波を飛ばすことで、地球上であればどこからでも通話が可能な電話があるのです。 今や極地での旅も通信手段は衛星電話を使います。 こうして初日の日程を終了しました。初日の進行距離は15km。目指すグリスフィヨルドはまだまだはるか遠くです。 レゾリュート出発二日目 当時の日記より 「朝から風が吹いている。空は青いが風が強いようだ。朝食を済ませ、外に出てテントをたたむ。きのうは岸沿いを歩いてきたが、沖の海氷状態が良さそうなので沖へ出る。沖の海氷は最高、まっ平ら。ただ、風が向かい風(東風)なのがつらい。体がそり引きに慣れていないのもあって疲れる。 ランカスター海峡をひたすら東に。氷の状態はほとんど問題ない。が、やはり疲れる。3,4日は辛抱の日々であろう。午後2時くらいから急に雲が多くなりだした、風も強い。4時半、向かい風が強い、体はグタグタ、これ以上歩いても疲れるだけだ。今日はここでキャンプをする。空は一面の雲、うーむ、明日の天気は大丈夫だろうか?」 北極の徒歩行は自分の体と自然との対話のようなものです。って、ちょっとカッコつけて言ってしまいましたが、向かい風がきつくて歩けなければ、歩くのはやめてさっさとテントを張ります。いつもではないですが、極力無理はしません。ただ、あくまでも「極力」なわけで、もともと北極を歩くということ自体が無理があることなので(イヌイットだって犬ぞりやスノーモービルには乗るけど歩きはしない)難しいところですが。
スタート直後はとにかくのんびりと、体を慣らしながら進むことが肝心です。 つづきはまた明日。 |
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2010年10月05日
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