北極冒険家荻田泰永のブログ 北極点を越えて

日本人初の北極点無補給単独徒歩到達を目指しています!

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空白の五マイル

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友人の角幡唯介さんが、集英社による今年の第8回開高健ノンフィクション賞を受賞しました。

角幡さんと出会ったのは、今から8年くらい前のこと。地平線会議という、冒険探検を行う人が毎月行動を発表する場があるのですが、そこで出会ったのが初めてでした。

出会った当時は早稲田大学探検部に属していて、「朝日新聞に就職することになった」と言っていたころでした。

その後、角幡さんは朝日新聞記者として富山に赴任し、私は相変わらず北極に通い続け、別々の道を歩んで年賀状やメールのやり取りはありましたが全く会っていませんでした。

角幡さんが5年勤めた朝日新聞を辞め、ヒマラヤに雪男を探す隊に参加したり、フリーライターとして活動するようになり、東京に住まいを構えるようになったこともあって去年あたりからよく会うようになりました。

7月に私が地平線会議で北極の発表をさせていただいたのですが、その時の二次会で「明日、開高健賞の発表なんだよね」という話を角幡さんがしており、周囲からは「今回は大丈夫だろー!」と言われていました。

角幡さんは実は去年の開高健賞にも最終選考まで残っており、惜しくも受賞を逃していた経緯があります。今年は新作での再応募でした。

翌日、ネットで速報を調べていると「開高健賞に角幡さん」という結果を見つけ、嬉しくなって思わず携帯に電話すると、淡々と「いやー、取っちゃったよ」

で、その二年越しの受賞作。「空白の五マイル」がいよいよ今日、集英社から発売されました。

私もさっそく書店に走り、平積みされているのを確認して一冊購入しました。となりに平積みされている別の本の上にもそっと置いてみたりして。スイマセン。

この作品は、チベットに流れるヤル・ツァンポー河を角幡さんが単独で踏査した体験記です。この地を訪れたのは2003年と2009年の二度。チベットという政治的にも微妙な場所であることも手伝って、ヤル・ツァンポー河はこの時代になっても全容が分かっていない地上まれにみる「探検」の出来る場所なのです。

特に昨年2009年の単独踏査行では、中国政府の許可が得られなかったため、無許可で潜入し、またそのせいで刺激的な展開になっていくのです。

今どきの冒険探検は、とかく「大義名分」が求められます。かくいう私も大義名分を掲げる一人なのですが、角幡さんの「探検」は、「そこに何があるか見たい、知りたい」という純粋な無意味を追い求める人間の根源的な行動なのです。

意味の無いことの美しさ、純粋さは芸術に通じます。

何かにつけて「意味」を求める現代において、「無意味の意味」という人の純粋な気持ちを全力で表現することの美しさを見るには最適の一冊です。

読み物としても最高に面白く、探検やら冒険やらとそんなこと興味ないわ、という方にも楽しんで読んでもらえるでしょう。

絶対に面白いので読んでくださいね。目指せ!重版!!

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荻田泰永 北極冒険家
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