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レゾリュートより、荻田です。
先日、無事にレゾリュートに帰ってきました。
復路の途中ではありましたが、今回は一度折り返し地点の北磁極に引き返し、イギリスの環境調査チームのチャーター飛行機をシェアするかたちでレゾリュートに戻りました。
戻った理由は、異常な海氷状態の悪化です。
今後、ホームページなどで詳しくお知らせしていきますが、レゾリュート周辺の海域が今年は特にヒドくて、例年よりも一ヶ月半から二ヶ月ほど早く海氷が割れ始めています。
今回、復路のレゾリュート到着を5月20日までにはできるだろうと想定していました。通常であれば5月中は海氷状態は問題なく、6月中旬辺りから海氷は割れ始めます。ところが今年は4月の下旬にはレゾリュート周辺は氷が割れ始め、5月20日までは保たない可能性が非常に高くなってしまいました。
レゾリュートの気象観測所で30年間気象と海氷の研究をしているウェイン・ダビッドソン氏からも「今年は自分も見たことの無いスピードで氷が割れている。今まででは考えられない状況。これではオギタがレゾリュートまで海氷上を歩いてくるのはまず不可能。危険すぎる」という助言もあり、一度は北磁極からの復路スタートしましたが、危険を回避して北磁極に引き返しました。
まあ、今回は北極点へのトレーニングとしては前半戦のレゾリュート〜北磁極が8割を占めています。120kgのソリを引いて、マイナス30〜40度の低温下で行動するという経験は、多くの反省点や改良点を見出させてくれました。
4月中旬以降は今年は特に気温が上がり、ソリも軽くなっている後半戦は正直に言ってただレゾリュートまで帰るだけの作業になってしまい、マイナス一桁台の日も多くなれば暑さとの戦いとなって、北極点へのトレーニングにはなりません。なので、今回は収穫も多くあったので非常に満足しています。
気温が上がってきた、と書きましたが、私が北磁極にいた4月22日には、なんと20分ほど雨が降りました!!!!!!!!!これにはビックリしました。
北緯79度42分の高緯度で、4月中に降雨を経験するなんて有り得ません。その日もマイナス3度くらいでものすごく暖かい日だったのですが、さすがに雨が降るとは思いませんでした。
地球が温暖化しているのかどうかは色々な議論がある所ですが、正直言って私が今年体験した北極の気候、海氷の現象は「異常」なものばかりでした。
北極の海氷は猛烈なスピードで減少しています。これは比喩や誇張でもなんでもなく、本当に「異常なほどの急速度」で減少が進んでいます。気象観測所のウェインは「あと数年で北極点への冒険は不可能になるだろうね」と予測しています。数十年ではありません、数年です。
わたしも今回はいい勉強をしました、身をもって。
いずれにしろ、往復は途中で回避しましたが、北磁極への無補給単独到達という結果を残して多くの収穫を得ることができたことは満足しています。
多くの皆さんの応援も頂き、日々の衛星電話での定期交信でも応援メッセージを聞いていました。本当にありがとうございました。たった一人で毎日ひたすらソリを引くだけの毎日の中では、皆さんの応援が本当に力になります。辛いときなんかにはつい妥協したくなりますが、応援をしてくれている人たちを思うことで本当に力が湧いてくる場面が多々ありました。
また、日々ホームページやブログを気にしていただいて見てくれた皆さんにも本当に感謝です。ありがとうございました。
帰国は5月21日の予定です。レゾリュートでの後片付けや、北極点への情報収集など各地で行ないながら日本に帰ろうと思います。
とりあえず無事に帰ってきたお知らせでした。いやー、疲れた。ご飯が美味しい!
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