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【6月5日 天声人語より】

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明治時代以降、日本人は西洋に憧れを抱き、見よう見まねで西洋人に近づこうとした。
長い戦争を経験した後も、日本の西洋化は止まらなかった。
日本独自の文化は身を潜め、国の発展とは裏腹に失われた国の形もあった。
衣食住に関する様式の変化はより強烈な影響を与えただろう。
経済成長も止まり、世界の経済も破綻しつつある今日、資本主義の姿勢を貫く限り、
私たちはモノに代わるビジネスを展開させなければならない。
クールビズはもちろん、日本の気候、風土に合うスーツを作ろうとの
志向から生まれたものではあるが、スーツを日本化しようとの志向も又、その根底にはあり、
更に言えば、西洋化の流れの一つだとも言えよう。

ともあれ、クールビズは便利である。
夏の厳しい暑さを和らげてくれると同時に、日本経済の発展に一役買っている。
それが日本独自の文化にもなりつつあるのだから一石二鳥、いや、三鳥である。
これを受けて、今年の夏は切実な節電と相まって「スーパークールビズ」までも出現した。

コンセプトは良かったが、ここまでの肩入れにはリスクも当然生まれよう。
相手は自然である。ビジネスに先を見越す力は必要不可欠な要素ではあるが、
ありとあらゆる視点で物事を推察する力も重要な要素ではないか。
この場合、冷夏であった場合のことである。

そもそも、モノを作るという行為自体節電ではない。
スーツ製造の過程で沢山電気を使うわけであるから、節電であるはずがないのだ。
だが、世の大人たちは、これ見よがしにクールビズでストイックに電気、クーラーをつけずに仕事をしている。
節電の本質を間違えている気がする。

以上のように考えて、われわれが考えるべき問題はパフォーマンスではない節電をどのように
追求していくかであろう。


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