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トビラシマリマス
ぷつんと身体の力が抜ける
私は陽の当たる席に腰を下ろし
揺れる列車に身を任せる
―瞳を閉じればゆめうつつ
とろけたまぶたの裏側は
どこか微かに明るくて
巷の音が遠くに聞こえる
ゆらゆらと
ふわふわと
夢と現の狭間をきらきらと
しあわせだ
潤んだ唇が朧げに呟いて
それから再び自分の寝息を聞く
そんな時間が一番好きで・・・―
錆びた音を立てて扉が開く
生温い湿気に乗って
忙しない足音が身を包む
渇いてからっぽの瞳は泳ぐ
やまない足音
消えない人ごみ
まもなく私は
あの人ごみと同化する
あの人ごみに
トビラヒラキマス
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¶\詩/
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自作の詩をあげていきます。
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けだるい仕事の帰り道
背から射す落ちかけの陽の光で影が出来る
見れば見るほど憂鬱になる影
振り切るように空を見上げ、ため息をつく
風はほのかに冬の匂いを漂わせている
ふと立ち止まり、耳を澄ませる
時間を忘れて走り回る子供たちの無邪気な声
風に揺られてカサカサと木の葉がこすれる音
屈託の無い、自然な音に耳を済ませると
「私は一体何をしているのか」
と胸にある得体の知れない何かが騒ぎ出す
街灯がつき始める頃
子供たちの声はいつしか消え電車はラッシュを迎える
仕事を終えたサラリーマンはけだるそうに煙草を吹かしている
それとは裏腹に遠くの街は光を帯び、活気に満ち溢れて見える
夜の街は嘘つきだ
まばたきをひとつし、再び影に目をやる
誰なのだろうかこれは
得体の知れない何か、が映っているのだろうか
やけに姿勢の悪い子供の影のようだ
子供の影はこう聞いた
「夢、ドコニアル?」
背筋が凍ったのも束の間
風がざぁっと吹いてきて、いつの間にやら影は消えていった
はっと我に返り、ずいぶん足取りが重かったことに気づく
明日はもっと早く歩こう、そう思った
けだるい仕事の帰り道
同人誌、「宇宙詩人」に載せて頂いた作品です。
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一人でいる寂しさを、 |
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こだまする |




