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梨壷の五人(枕草子)

「枕草子」の「分類」という項目は、簡単に地名などが並べられているだけです。
それを一つ一つ調べていくと、気づくことがいくつかありました。

清少納言がどうしてこの地名を挙げたのか、と考えながら読んだのですが、
ひとつは父の元輔ゆかりの地があがっていたり、天皇や公家たちの禁野あるいは
別荘地であったりします。

そういう中で、万葉集に出てくる地名が出てきてちょっと違和感がありました。

奈良・島根・和歌山と出てくると、「あれっ?ちょっと古いかな」と思います。

都は京都に移っているのに、なんで万葉時代の歌によく出てくる地名が清少納言の
「枕草子」に出てくる?

この「万葉集」ですが、現代読む古典の本の注釈には「万葉集」のこの歌が本歌とか、
参考とかと書かれています。

でも、この注釈に不審を持ってました。
「古今和歌集」に書いてあったりすると、ホントかな?とつい思うのです。

「万葉集」は文字が違っていて「万葉仮名」で書かれています。
とても難しい。
大学で「万葉集」を学ぶと、まず最初にこの万葉仮名の話から始まりますが、わたしには無理!
すぐとん挫。

歴史で「梨壷の五人」というのを習いました。「万葉集」の訓読をした、というたったこれだけの記述ですが、
実はこれはものすごい功績だったのです。
それに気づくのに、半世紀かかりました。

九五一年、村上天皇が「万葉集」を訓読するように大中臣能宣・源順・清原元輔・坂上望城・紀時文の
5人に命じます。
昭陽舎という後宮の一つに集まって「万葉集」の訓読を始めます。
この昭陽舎には梨の木が植えてあったので「梨壷」と呼ばれていました。

そこで「梨壷の五人」と言われるようになったのです。

何年かかったのかわかりませんが、「万葉集」4500首のうち、4000首ほどを読み解いたそうです。
この時の読み方を「古点」といいますが、残念なことにこれの書かれた本は残っていません。
その後、長い年月何人もの人が訓読します。この時、三百数十首の歌が訓読されます。この時の
訓読を次点というそうです。それから1246年、仙覚が鎌倉将軍藤原頼経の命により、難解と言われた
152首に訓読が施されます。これは新点と言われます。
この152首を訓読するのに7年の歳月がかかっています。

このことから考えると、「梨壷の五人」が4000首の歌を訓読するのには相当の年数がかかったと
思われます。

清少納言たちの時代、万葉集は古いものだありながら、実は初めて日の目を見た新しいものだったのですね。

だから、分類の中には「万葉集」にかかわる地名が出てきます。
わたしたち現代人から見ると、万葉も古今和歌集も枕草子も源氏物語も十把一絡げの「古典」ですが、
万葉集は、平安時代の人にとってはすごい古典だったのです。

そういえば、「古事記」も江戸時代まで誰にも読み解かれず、本居宣長が読み解いたのですよね。
奈良時代と平安時代には隔世の感があります。

それは自分の国の言葉を文字に表すことができるようになったことと大きく関係しているのです。

話がどんどん広がってきていますが、簡単に言うと、「梨壷の五人」が苦労して読み解いた
万葉集が日の目を見て平安貴族たちはそこに新鮮な驚きと興奮と憧れを感じ取ったのだと
思います。

それが、清少納言の「分類」という「何とかは」という地名に挙げられたのです。

わたしは最初、お父さんの仕事を誇りに思って書き込んだのかな、と考えましたが、
そういう個人的なことではなく、当時の貴族たちの「万葉集」に対する新鮮な興味だったのですね。

「枕草子」は奥が深いですよ。

この「分類」の段を読んでいると、清少納言たちの時代の日本の様子が目に浮かんできます。

とても重要な段です。


閉じる コメント(2)

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「万葉集」って、あの時代の人にとって、そんなに大変な「言葉」だったのですね。(^_^;)

今の時代でさえ「方言」など、地方独特の言葉で歌を詠んだなら、その地方の人は兎も角全く地域に違う人にとっては「同じ日本語」では無かったのかもしれませんね。

同じ床を意味する漢字の使い方もバラバラですから、パズルや暗号を説く事にも等しい程の大作業だったのかもしれませんね。

それを思うと、今と云う時代は・・・

「いい時代ですね。」(^_^)/

2017/8/21(月) 午後 10:08 angela

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angelaさん、いまだに読めない歌があるそうです。漢字を日本語に当てはめるのって難しいのですよね。しかも、同じ音でも漢字の使い分けがあって、それがなおさら難しくしている。現代人は古人の苦労があっていとも簡単に内容だけを読みますが、ホントに先人たちには敬意を表します。

2017/8/21(月) 午後 10:30 [ 秋流カエル ]


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