飼い主のために頑張る牛
牛は愛情を注ぎ込んでくれる牛飼いや家族たちの喜びの為に頑張ってくれているんだと、中山慶作牛舎の名牛『小杉』をみてそう強く感じた。
もちろん一概には言えない、ただ少なくとも『小杉』という牛はそうなんだと思った。
小杉は足を痛め10月場所を欠場した。
原因はいまいち不明、角突きか、牛舎がかわった為の影響?天神があんまり威張ってるためのメンタル?歳か??
牛飼いの献身的なオモイを他所に辺りの憶測は飛んでいた。。。
実際、小杉の体調は良くなかった。
見た感じはそんな悪くなかったけど、私自身、昨年に若桜が同じように肉が落ちるのを経験していただけにどうしてもカブってみてしまった。
日々身近にいる人ではそんなに目につかない、けど、他所からたまに見る人には変化が映った。
前向きにいい面を探しに探し上向きを信じる関係者、しかし現実は否めないのも解っているからこそ辛いとこだ。
このたびの千秋楽で、『小杉』は『六右ェ門』との対戦を行なった。
実際、今年度の小杉の圧倒的な強さから、まさか千秋楽でこの対戦が組まれること事態、誰しもが予想だにしなかったことであろう。
その背景には小杉が年下にチャンスを与える機会があればとの日ごろからのスタイルもあってのこと、そして不調説と組めるチャンスは今しかないとの理由づけでの他の審議員たちのオモイ、確かに状況、チャンスもあってのことだったのだろうけどヤハリ「六右ェ門」の札持ち審議員のわたしとしては不安そして困惑がイッペだった。
それというのは、格上牛は調子はいいのであればそれなりきに対応してくるだろうし、挑戦者としてはそのほうが結果はどうであれスッキリできる。しかし、『小杉』が自分の体調も考えてノッケカラ本気モードでこられたらさすがにマズイとのオモイ、なによりは横綱ランクに対しての挑戦者の礼儀に反してないか。。。最後の最後で信念が揺らいでたのかもしれない。
11月2日、小千谷闘牛千秋楽。
不調はみせない。
土俵で小杉はキゼンと振舞ってた!!
さすがであった!!!
角突きは序盤スローペースも予想されたが、途中に六右ェ門の角がハチに入ったと思いきや小杉の右フックが左目に直撃、あまりの衝撃に考えた六右ェ門、その後刻みだした小杉の圧力に必死に応戦の姿勢をみせた六右ェ門! 素晴らしく頑張ってたとオモウ。
他の人はマダマダといってたし、もう5分だなんだ突いても勝負はつかなかったとオモウ。
しかしながら、あのタイミング以上やってたら、挑戦者の冬、次年度への弾みにはならなくダメージが残ったと私は思った。
いいとこで分けていただいたのではないかと。。。
このカキコでのオモイはこの後のことである。
対戦を終えた小杉は綱が伸びた後に珍しくフンフン動き、興奮をあらわにしていた。
あんな姿は珍しい。
実際、私自身会場先でのお客さんの見送りがあるので生でハッキリ表情を見たわけでなく、あくまでVTRなのだが、その様子はまるでペース配分を間違えて仕留められなかった悔しさ、牛飼いや家族に結果を伝えたかった、まだまだやれる、褒めてもらいたかったのに・・・ってな感情表出のように見えた。
そうみえて仕方なかった。
あの姿、雰囲気に見覚えがある。
敗戦を喫し、初代健康力は攻め牛だっただけに周囲ではもう突かないだろう、引退だろうとの声が飛び交った。そんな中、牛舎からだした自分を虫亀闘牛場まで引きずるようにつれてってみせたあの時のオジ、あの時のオジの雰囲気と「小杉」の気迫がダブって見えた。
『俺はこんなもんじゃない』『まだまだやれる、信じてほしい』
そんなメッセージとして受け止め、本心から信じてやれてなかった自分を恥じてオジに直接詫びた、その際に突如こぼれ落ちたオジの涙は今も焼きついてる。
これまで体調面で、あまり本場所を休んだことのなかった『小杉』
まして同じ牛舎に若牛がいる。
10月場所の留守番。
千秋楽での見せ付けるかのような気迫は、そんなメッセージに映ってしまう。
昨日、牛舎を訪問した際にはこれまでよかだいぶイキイキしてるようにみえた。
角突きを終えての充実感からなのかとも思った。
13歳で肉が落ちてくるのは逃れられない現実。。。
しかしその上でも自分の存在意義、居場所を確信できて気力はシッカリしてる雰囲気だった。
あえて牛飼いに小杉の前で「この牛は牛飼いの期待に応えようと頑張る牛だね」って伝えた。
牛飼いは「そうだねありがたいね」的なことをいったと思う。
そのときだ、餌を食んでた小杉が頭を上げ、会話をしてるこちらをみてポロポロと涙を流し始めた。
わたしは、ハっとした。
まさに初代健康力や若桜に自宅に戻ろうと伝えたときの光景とかぶった。
コミアゲルモノも感じた。
やはり牛は話ができないばっかで言葉はみんなわかってるんだ。。。
そう思わざるをえないタイミング、そう思いたい自分がいた。
実際は言葉の抑揚や声質、習慣からかもしれない、けども、牛はその研ぎ澄まされた洞察力から、今は自分のことを大切にしてくれてる会話だったんだと解ったんじゃないかと思った。
潤んでる綺麗な目、報われたような小杉の眼つきに私は心が洗われるようだった。
牛が紡ぐ、人が牛によって結ばれる。。。
牛に学ぶ。。。
これはあくまで私自身の妄想世界!!!
ただ単純に、この牛に出会えてヨカッタと感謝した次第。。。
元気をありがとう、来年も貫禄の角突きを楽しみにしているぞぉぉぉ〜〜!!
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