|
走るように歩いている女がいる、息の乱れはない タミいまは”サスケ”と名のっている。 浜松から甲府に入った、武田信玄の動きをさぐるのが目的である。 山道もすべるように歩いている、 突然、サスケの足が止まった、ふっとしゃがみこむと草に埋もれて姿が見えなくなった サスケの消えた所の周りでザワザワと木々の枝が揺れる 「どこに行った小娘、あの足の運び ”らっぱ”に違いない捕まえて 御領主に渡せばたんまり褒美がもらえる、さがせ!さがせ!近くに隠れているはずだ」 あちこちの木の後ろ、茂みの中から獣の皮をきたむさ苦しい男たちが出てきた このあたりを支配している山賊だ。 斧を手にするもの、大刀を縄で背中にくくりつけている者、鎌を持つ者 それぞれの得物は山中での実戦に即したものだ。 「お頭、娘を捕まえたらそのなんだ・・・うん」 「なんだ、早く言え!」 ニタニタとうすらわらいを浮かべてあごひげを撫でながら猪の皮を腰にくくりつけている 男が頭らしき男に耳打ちする。 「捕まえたら、好きにするがいいさ」 クマの皮をきた、頭が部下たちに目配せで合図を送る !いたぞ〜、あそこだ木の上だ! サスケは山賊に気付きしゃがむと見せて飛び上がったのだ すかさずに矢がサスケめがけて飛ぶ 影が木を離れ宙を飛ぶ、そこに次々と矢がはなたれ一本が当たり ドスンと落下して動かない。 「やった!」 山賊達が両手をあげて駆け寄ると うずくまった着物の塊が矢が刺さったまま転がっていた。 「かわり身の術か!」 山賊の頭はすでに娘がまんまと逃げ去ったことをにがにがしく感じていた。 |
全体表示
[ リスト ]




