絹子の創作物語

事実を参考にした創作です

SF シーロード

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 * 始めはここから http://blogs.yahoo.co.jp/okaikosanmau/32591795.html



武は不思議な顔をして上を見上げた。

「そうだ、空のずっと上には洪水前に人類がつくった惑星航海用の宇宙船が、

 いまも地球の周回軌道をまわっている」

「しかし、放置されてから500年以上たっているぞ、動くのか」

入鹿は自信満々で言い放った。

「惑星航行用の宇宙船だ、何百年たとうがびくともせんよ、我々は地球の大気圏を脱出する

 ロケットを作るだけでいいのだよ」

入鹿が部屋を出て行ったあと武の頭の中には壮大な考えが広がっていた。

・火星の地下深く、太古の海には人間は生き延びる為に、

 水棲人になっているかもしれない、地球人が地球で生き延びるために水棲人になったように

 奇妙な偶然が人間同士はるかな宇宙空間をとうして結びつけているのかもしれない・

「よし、火星プロジェクトを進行させよう」

・・・・・

 氷上からゆるやかな弧を描いて誘導路が蒼い空に吸い込まれている、

ロケットはリニア駆動の力で誘導路に導かれ猛烈な加速を受ける、

わずかな推進剤だけでロケットは大気圏外に飛び出せる。

「あなた、もうすぐね、私達の息子が火星に向けて宇宙に飛び立つわ」

ゆったりとしたソファーに武と美紀はすわり、立体テレビを見ている。

「入鹿、見えるかおまえの夢が飛び立つぞ」

すでにこの世を去った入鹿の顔が武によみがえる。

スルスルと音もなくロケットは誘導路を加速していき、あっという間もなく見えなくなった。

 白く輝く地球を背景にロケットは惑星航海船にむかって行く、

 人間の新しい歴史が二つの惑星から始まる。


** おわり **

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 深い狭谷の底は硬い外皮に守られた緑の葉に覆われていた。

「これは火星の居住区にあるカメラからの映像だ、そして、次はメインコンピューター

 に残された記録データーだ」

・もはや我々は地球から見放されたらしい、補充船がこなくなってから十年が過ぎた、

 地球は大洪水によって宇宙船と発射基地は全て破壊され、人類は宇宙に出る能力を失ったようだ、

 火星にいる人間は一万人、我々は自信の力で、火星で生き延びるしかない・

「記録はここからいっきに百年跳ぶ」

・見つけた!ボーリングが地下の氷の層に到達した、これで我々二千人は生き延びられる・

「記録はかなり断片的だ」

・火星の地下に閉じ込められた太古の海で我々は火星人として・・・

「これですべてだ! 彼らが、火星の地下深く厚い氷の下に守られた海で

 今も生きていると俺は信じる」

武は入鹿の方に向き直ると、

「火星にいきたいのか?だが宇宙船を作り上げるまで50年以上かかるぞ」

入鹿は笑顔になると、

「すでに、あるじゃないか」

武はけげんな顔をして

「なにを言ってるんだ」

入鹿の手が上を差した。
 太陽系、三番目の惑星地球は白く輝いていた。

地球誕生から二回目の全面氷結していた。

メタンと二酸化炭素の悪循環で温暖化した地球は、海面が表面積の八割を占め、

猛烈な勢いで水蒸気が厚い雲をつくり、太陽からの熱と光を遮断した。

海面は氷結しわずかな陸地には雪が降り地球は白くこおった。

厚い雲が晴れた後も氷結した地球は太陽のエネルギーを反射しますます氷は厚くなっていった。

地表の生物全ては死滅した。

 「市長、入鹿 科学長が到着されました、お通しします」

「いそがしそうだな、武市長」

「おう、それにしても、おまえが科学長とはなー」

「それは、お互いさまだぜ、武」

二人とも頭がだいぶ白くなっている。

「武、今日はすごい情報をもってきたんだ、これで宇宙予算を増やせるんじゃないのか」

ニコニコと入鹿が、手のなかの光る記録媒体をモニターにかざす。

「君も知っていると思うが、洪水前に人類は宇宙に進出していた。

 月や火星に居住区をつくった、そして、人類は洪水のため見捨てた」

武もはるか昔の出来事として話はきいていた。

「だが、武よ、機械はかすかにまだ生きていたんだ、科学省は電波による

 遠隔操作に成功したんだ、そしてだ!
 
 驚くなよ!!」

モニターに映像が映しだされる。
 乾季の容赦ない太陽が照りつける青い海面にそびえ立つ銀色のビル。

屋上に、バタバタとジャイロコプターが降り立つ。

「よかった、これで母さんの病気を治してもらえるのね」

検査室へと運ばれた母親を見送ると、美紀は安堵していた。

水面下にある市長室で美紀と武はヤマト市長にお感謝をつたえている。

「ところで、二人とも決心してくれたのかい、ヤマト市民になることを、

 君たちのような優しくて、勇気のある若者がヤマト市には必要なんだ、

 もちろん、”エラ ”のついた両棲人間になることには抵抗感があるだろう、

 だが今、地球の八割は海水に覆われてしまった、地表は熱波と暴風、強烈な紫外線で

 もうじき人間は住めなくなる。

 人間は海の中に生活圏を移すしか生き延びる方法はないんだ」

美紀と武困ったように顔を見合わせている。

「入鹿さんはどうするのかしら?」

「おお、あの若者なら元気にしているよ、トレーニングセンターに

 居るはずだからモニターで見てみよう」

画面にはたくさんの子供たちが空を飛ぶように漂っていた。

「コンピュウター入鹿につなげろ」

青年がカメラにむかってまだぎこちない泳ぎでやってきた、

「入鹿君、どうかねヤマト市民になった感想は」

「やあ、おもしろいぜ、俺の世界が上下にもひろがったからなー」

「わしの隣には、武君と美紀さんもいる」

入鹿、右手でカメラをさすと

「武、美紀、後悔はしないぜ、俺が見本だ」

首の”エラ ”を広げると海水をめいいっぱい吸い込み、

再び帰って行った。

笑顔の市長と武の瞳をじっとみつめる美紀がいた。


 ヤマト市はかって東京と呼ばれ”ノアの洪水”がおきたとき以後トキオと呼ばれていた。

洪水はいきなり起きたわけではなく、少しずつ海水面が上がっていったのだ。

世界の主要都市は全て海に没した、

人々は都市を捨て、標高の高い所へと移住していった、だが地球のガイヤは容赦なかった。

気候は激変、少ない食糧と資源をめぐって世界は争いにあけくれていった。

日本でも四季は失われ、雨季と乾季に分かれた。

文明は失われ、わずかに生き残った人々は細々と命をつないでいたのだ。

 ふかふかしたベットの上に身体を横たえて入鹿は考えていた。

・俺もあんなすごい船を動かしてみたい、ヤマト市の市民になればいずれは

 訓練して出来るかも知れない、だが! だが!

 武も美紀もジャイロコプターで空を飛んで母親を迎にいっている。

 二人はどうするつもりなんだろう?・

壁の一部の色が変わり、声がする、

「入鹿さん、入っていいですか」

「ああ、いいよ」

壁が開き、若い男女が入ってきた。

「どうですか、ヤマト市民になっていただく決心はつきましたか、

 入鹿さんのような勇気のあるかたをヤマト市は今、必要としています」

困った顔をして入鹿、若い男女を見つめた。

「市民になるということは、君達のようになるということだよね!」

笑顔で答える若い男女の首にはヒクヒクと動く ”エラ” があった。

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